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 「自分で守れ、君のカラダ、君の人生!」

 40年以上にわたって、中高校生に向けてこう語り続けてきた北村邦夫です。今回から、このコーナーを担当することになりました。1978年に自治医科大学医学部を卒業。第一期生であることを誇りにして今まで生きてきました。

 一応、産婦人科医ということになっていますが、保健所勤務からスタートした僕は、基本、公衆衛生を志してきました。地域や社会という大きな視点で、人々の健康を考えることですね。だから、僕自身は社会に問題提起をし続ける婦人科医、正式な名称はありませんが、「社会婦人科医」と称しています。

 現在は、一般社団法人日本家族計画協会の会長兼理事長、主として、東京・市ケ谷のクリニックで思春期の子供たちを対象とした電話相談や診療に励んでいます。

 このコラムでは、これから恋愛をする、もしくはまっただ中にある中高生(時にはもっと大人の人たち)に、自分や異性の体のことをより理解し、すてきな人生につなげてほしいという思いで、知っておいてほしいことを書いていきます。

 ちなみに僕のイラストは、朝日新聞の本紙生活面「オトナになった女子たちへ」で連載されている漫画家の伊藤理佐さんに描いてもらいました。伊藤さんいわく「同じ紙面を飾れたら良かったのに……」と。しばらくの間、お付き合いください。

クリニックに駆け込んできた女の子

 今にも泣き出しそうな表情で僕の前に座ったAさん(16歳)。聞けば、付き合い始めたばかりの彼との初めてのセックスでコンドームが破けてしまったとのこと。

 彼は1歳年上の高校3年生。「コンドームを使えば大丈夫だと思っていた」と。インターネットで「コンドームが破けた時」と検索を掛けたら、出てきたワードが「緊急避妊」でした。

 「緊急避妊」は、セックスをする・しないに関わらず、自分やパートナーを守るためにぜひ知っておいてほしい言葉です。避妊しなかった、避妊に失敗した、レイプ被害に遭ったなどのセックス後、妊娠を阻止するために行われます。

 一般的なのが、ホルモン剤を服用する方法です。性交から72時間以内に、「黄体ホルモン」というホルモン製剤の一種であるレボノルゲストレル錠1.5㍉グラムを1回服用します。この薬は、正しく服用すれば妊娠の可能性を90.8%減らせるといいます。

 薬は医療機関で処方してもらう必要があります。公的医療保険は適用されず、費用は施設によって異なりますが、9千円前後のところが多いようです。ちなみに僕のクリニックでは、低用量ピル1カ月分をつけて8千円ほど。

 ところで、緊急避妊を必要として受診した485件の理由をみると、コンドーム破損31.8%、避妊せず23.1%、コンドーム脱落15.7%、腟外射精15.3%、コンドーム腟内残留6.6%、レイプ3.9%、その他となっています。

 なお、レイプ被害に遭ってしまった場合は、犯罪被害者に対する医療支援事業の一環で、緊急避妊薬が無料で提供されます。

緊急避妊薬をのめば万事OK、ではない

 それでは、この緊急避妊薬を72時間以内に服用することで、どうして避妊ができるのでしょうか。

 はっきりとした理由がわかって…

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