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 子どもの朝の支度を「早く! 早く!」と何度もせかしていませんか? 子どもが自立して朝の準備ができればいいと思いませんか?

 ADHDの主婦リョウさんもまさにそんな親の一人です。もうすぐ小学校に入学する娘のために、朝の準備がひとりでできるよういろいろ工夫しているところです。

 前回は、朝の準備で必要な作業を、ホワイトボードに10分刻みの枠を作って、順番に配置していくというアナログな方法をお伝えしました。

 しかし、小学生くらいの子どもは10分間という時間感覚を持ちにくく、ホワイトボードを見ながら準備を進めるという並行作業が難しくもあります。こうした難点をごく自然に補ってくれる「ルーチンタイマー」という無料アプリをみつけましたので、ご紹介します。時計を見ながら作業を行うという小学生には難しいところを、アプリが「今から○分間、△をしてください」と読み上げてくれるので、耳だけ貸しておけば作業に集中できます。

<朝準備作戦(デジタル編)>

◇準備するもの

「ルーチンタイマー」という無料アプリをインストールしたスマートフォン

◇手順

①アプリを起動させ、朝準備で行う項目を入力。「作業時間」も設定し、入力する。

②「今から2分間、『トイレに行く』を始めてください」などと、スマートフォンが作業内容と作業時間を読み上げる。時々「残り30秒です」などと途中経過も教えてくれる。

③一つの項目が終了すると、「今から5分間『着替え』を始めてください」と次の項目を読み上げてくれる。

④すべての項目の時間が経過すると、「終了です」とアナウンスが流れる。

 リョウさん親子も、このアプリを使ってみました。

 1回目はうまくいきませんでした。なぜなら「25分で朝ごはんを食べ終わると思ったけど、本当は35分かかった」という見積もりの間違いがあったからです。これはよくあることです。

 そんなときには、「そっか、35分が正しい見積もりか、訂正しておこうね」とアプリの内容を修正します。「25分で急いで食べなさい」ではなく、あくまで実測に基づく方が無理なく続きます。

 2回目からは、かなりスムーズに行きました。きちっとパズルがはまっていくような感覚で、リョウさんの娘さんも手応えを感じているようで、得意げな表情をしています。子どもの側はこうして、ゲーム感覚で楽しめますし、親の側も毎朝時計を見ながらイライラしなくてすみます。

 最後の作業項目には、リョウさんの夫のアイデアで、ちょっとした面白いことを入れてみました。

 「行ってきます ちゅっをする 1分間」

 これがあるだけで、娘さんは喜びましたし、あんなに慌ただしかった朝にほっとできる1分間が家族みんなに訪れました。

 雨の日、特別な持ち物の必要な日(ベルマーク持参、生活科で使う空き箱を持参するなど)、トイレが長引く、季節の変わり目で服装の調整が必要になるなどに備えて、予備の時間も10分ほどあれば安心ですね。

 親がひと声もかけずにルーチンタイマー通りできた日にはカレンダーに花丸印をつけるのもいいですね。家族みんなで協力し合って、達成できたらキャンプやピクニックなどお出かけをするなんていうのもいいですね。

拡大する写真・図版イラスト・中島美鈴

 子ども向けにご紹介しましたが、おそらく大人用に開発されたアプリです。

 みなさんも朝準備だけでなく、気乗りしない作業や時間までに完了できるか不安な作業などに対して使ってみてはいかがでしょうか?

 私はこれで年末のクリスマスパーティーの料理の準備をしましたが、すべてのメニューをもれなく作ることができました。「このアプリの言うことさえ聞いて動いておけば間に合うんだ」という安心感もあって、本当に助かりました。ぜひお試しください。

生きるのがつらい女性のADHD
仕事も恋愛もつまずいてばかり……。
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<アピタル:上手に悩むとラクになる・生きるのがつらい女性のADHD>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/nayamu/(アピタル・中島美鈴)

アピタル・中島美鈴

アピタル・中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。

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