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アニメーション映画監督

主人公だけに思い入れさせたくない

 ――「かぐや姫の物語」では、都で息苦しい生活を送る姫が、楽しかった田舎での日々を懐かしみ、田舎そっくりの箱庭を作ります。箱庭というファンタジーに浸って心は一時的に癒やされても、不本意な現実を変える力にはならないことが、はっきりと描かれていました

 癒やし、という言葉が嫌いです。病気になる前の状態に回復するのを繰り返すだけで、その先には進まない。自分の快不快だけに関心があり、他者の存在が感じられない。

 現代のファンタジー、特に日本のアニメーションは、観客を作品世界に巻き込むため、主人公にだけ徹底的に「思い入れ」られる技法を発達させました。一見、観客と同じような凡人が非凡な力を発揮する。カメラが主人公のすぐ後ろから動きを追うショットを多用する。観客は主人公と同じ視点で世界を見つめ、一体化し、ハッピーエンドで共にカタルシスを得る。きわめて主観的に世界を体験することになる。

 ――そういえば、高畑さんの作…

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