そこへ下女が床(とこ)を延べに来る。広い蒲団を一枚しか持って来ないから、床は二つ敷かなくてはいけないというと、部屋が狭いとか、蚊帳(かや)が狭いとかいって埒(らち)が明かない。面倒がるようにも見える。しまいにはただ今番頭(ばんとう)がちょっと出ましたから、帰ったら聞いて持って参りましょうといって、頑固に一枚の蒲団を蚊帳一杯に敷いて出て行った。…[続きを読む]

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