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どんな人にも、人生の終わりを奏でる「最終楽章」がめぐってきます。親の終末期に寄り添う方も多いでしょう。最期までどう生きるべきか、心身の老いや介護、看取（みと）りを見据え、どのような準備が必要か――。専門家たちが具体的な事例を交えて語ります。専門家１人につき数週間ずつのリレー方式で進めます。
２００８年秋。松ちゃんを乗せた車は温泉を目指した。この日からアルコール依存症の治療で入院する松ちゃんは朝の集合時間に現れると、酒の臭いがした。こういう事態を僕らは想定していた。本当の診察は午後からだ…[続きを読む]
（それぞれの最終楽章）元ホームレスの物語：３ 「マッチ箱ゼミ」贈る優しさと酒依存(2022/7/30) ２００８年夏。僕らが運営する自立支援住宅に来て３カ月が経つ松ちゃんが「仕事」を始めた。毎朝、わが家に新聞を届けると言い出したのだ。郵便受けから取って、１メートル先の玄関ドアのノブに挟むだけ。「ありが…
（それぞれの最終楽章）元ホームレスの物語：２ 困らせる松ちゃん、我慢比べの日々(2022/7/23) 路上で出会ってから数年経てもホームレス生活を続けていた松ちゃんが２００８年５月、僕らのＮＰＯ法人が運営する「自立支援住宅」に入居した。当時６８歳。 その少し前、僕がいつものようにお弁当を渡しながら入…
（それぞれの最終楽章）元ホームレスの物語：１ 自立「考えとくわ」、松ちゃんに風が吹いた(2022/7/16) 松ちゃんが天国に行って４年。今も実感はなく、そこの角あたりから、ひょっこり顔を出すんじゃないかと思う。「死んだと思たやろ？ そうはいかんよ」なんて言うな。なんせ松ちゃんやからな。 ２０１８年４月１２…
（それぞれの最終楽章）在宅で：６ 何よりのご褒美、「帰ってきてよかった」の笑顔(2022/7/9) ５人の方々のお話はいかがでしたでしょうか？ さて最終回は、私が在宅医療を目指したきっかけなど、個人的なお話をできればと思います。 私が在宅医療に関心を持ったのは、大学２年のときでした。地域医療を学ぶ…
（それぞれの最終楽章）在宅で：５ 岩浪さんの「自然な形」、何度も話し合い(2022/7/2) 最後にご紹介するのは、岩浪智惠子さん（享年８８）です。２年前にご主人を自宅で看取（みと）っていて、ご自身も自宅での最期を希望していました。 初めての訪問は、２０１７年９月。骨折で入院をしたことをきっ…
（それぞれの最終楽章）在宅で：４ テイさん、昼寝をしている間に(2022/6/25) 今回ご紹介するのは、花垣テイさん（享年９９）です。認知症でコミュニケーションをとるのは難しかったのですが、テイさんの表情やしぐさに、訪問する私たちはいつも癒やされていました。 ２０１７年に重症の胆嚢…
（それぞれの最終楽章）在宅で：３ Ｙ子さん 家族一丸、シフトを組み介護(2022/6/18) 今回取り上げる方は、Ｙ子さん（享年８５）です。膀胱（ぼうこう）がんと胃がんを患っていました。今年１月２５日に初めて訪問しましたが、１カ月弱で旅立たれました。 昨年１０月ごろより、おなかが痛いとの訴え…
（取材考記）施設で幸せな最期 看取り介護、充実のために 佐藤陽(2022/6/13) 「多死社会ニッポン」である。昨年の死亡者数は、約１４５万人。超高齢化とともに、今後その数はさらに増えていく。日本の場合、諸外国と違い、病院での「看取（みと）り」が多い。死亡者の場所別割合は、病院約７…
（それぞれの最終楽章）在宅で：２ 妻思いの高橋さん、温かな気遣い最期まで(2022/6/11) 今回取り上げる方は、高橋正孝さん（享年７７）です。奥さんや息子さん一家と農家を営んでいる方でした。前立腺がんを患い、余命２カ月と宣告されていました。 最初に訪問したのは２０２０年９月１４日。歩けなく…
（それぞれの最終楽章）在宅で：１ 住み慣れた家で生き抜いた川島さん(2022/6/4) 私は、千葉県八千代市で、在宅医療専門のクリニックを運営しています。１０年前から、９００人ほどの方を看取（みと）ってきました。訪問看護ステーションと緩和ケア専門施設（サービス付き高齢者向け住宅）も運営…
（それぞれの最終楽章）おひとりさまとして：７ がんが教えてくれた未来、再び「第１楽章」へ(2022/5/28) 「生（しょう）を明（あき）らめ死を明らむるは仏家（ぶっけ）一大事の因縁なり」 曹洞宗の経典「修証義（しゅしょうぎ）」の冒頭の言葉だ。昨年、ある哲学者の勉強会で知った。「明らめる」は文字通り「明らかに…
（ｂｅ ｒｅｐｏｒｔ）介護施設での看取り 必ず起きる未来への心構えを(2022/5/28) 超高齢社会ニッポン。死亡者は増え続け、病院のベッドは足りなくなり、在宅看取（みと）りと同時に、介護施設での看取りを増やしていかないと、立ちゆかなくなります。穏やかに施設で逝くためにはどうしたらいいの…
（それぞれの最終楽章）おひとりさまとして：６ がんのイメージ覆したい、末期でも生き延びる(2022/5/21) 乳がんが見つかって１８年、私はがんのほとんどの段階を経験した。当初はステージ１と２の間の状態で、放射線のピンポイント照射を選んで腫瘍（しゅよう）は消えた。再発予防の抗がん剤をやり、全身脱毛やひどい悪…
（それぞれの最終楽章）おひとりさまとして：５ 「がんへの恐れ」抱え、立て直した生活(2022/5/14) ２０２１年２月、都内の古い賃貸マンションで暮らす私に「取り壊しが決まったので７月中に立ち退いて」という手紙が届いた。 乳がん再発７年目、体調不安を感じ始め、フルタイムの仕事を辞めて能登でしばらく静養…
女性国会議員の道、開くには ７党の現職、語り合う 記者サロン(2022/5/2) ■まなび つながる 広場 女性の国会議員はなぜ、増えないのでしょうか。その障壁や解決策について７党の女性議員が率直に語り合う朝日新聞オンラインイベントの収録が４月、東京・築地の浜離宮朝日ホールであり…
（それぞれの最終楽章）おひとりさまとして：４ 誰もが立ち寄れる「とまり木」を作ろう(2022/4/30) ２０２１年２月下旬、「しばらく京都に気功をしに行ってみませんか？」と知人にメールで提案された。その頃の私はＳＮＳでネガティブツイートを重ねていて、心配して連絡をくれたようだった。 乳がん再発から７年…
みなさんから・編集部から(2022/4/30) ■みなさんから ２３日付１、３面「フロントランナー」は、病院、薬局、患者をＩＴでつなぎ、医療情報を共有することで、薬剤師を支援するカケハシ社長、中尾豊さん。「自分が処方されている薬が本当に適している…
（それぞれの最終楽章）おひとりさまとして：３ 「あと半年で弱る」と医師、生き方変える旅に(2022/4/23) ２０２０年９月、私は能登半島の先端、石川県珠洲市の宿にいた。海を背に少し歩いた山裾にある、数寄屋造りの小さな宿。そこで自由気ままに庭を散歩し、木漏れ日を浴びて日がな一日ぼーっと過ごした。 ここを知っ…
（それぞれの最終楽章）おひとりさまとして：２ 「人生に詰んだ」、目指すはユーチューバー(2022/4/16) 「あなた、かっこいいわよ！ ぜひユーチューバーになって、自分のこと話してほしいなぁ」 今年１月、我が家に訪れた「地域包括支援センター」の調査員は、私の話に耳を傾けた後、そんな感想を口にした。年上の女…
みなさんから・編集部から(2022/4/16) ■みなさんから ９日付１、３面「フロントランナー」は、地方創生プロデューサーの寺本英仁さん。「やってみて失敗したらすぐ軌道修正する」寺本さんのエネルギーや柔軟性に感心した読者の方が多かったようです。…
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