写真・図版  1月12日、投資家は、いわゆる「バリュー株(割安株)」がどこまで上値を追うのか見極めようとしている。写真はニューヨークで2019年1月撮影(2021年 ロイター/Carlo Allegri)

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 [ニューヨーク 12日 ロイター] - 投資家は、いわゆる「バリュー株(割安株)」がどこまで上値を追うのか見極めようとしている。昨年は売りを浴びる場面がほとんどだったが、米民主党が連邦議会を制して追加経済対策への期待が高まり、株価上昇に弾みが付いているためだ。

 銀行株やエネルギー株など景気の動きに敏感に反応する銘柄は、昨年終盤に新型コロナウイルスワクチンの開発が大きく進展したことで大幅に上昇、民主党が今年に入って上院で主導権を握ると一段と上げ幅を広げた。

 米株式市場は景気回復への期待からほとんどのセクターが値を上げて、米国債利回りが上昇している。その中でもこうしたバリュー株の上昇ぶりは突出している。「ラッセル1000バリュー指数」の上昇率は昨年11月初旬以来の14.5%と、テクノロジー(テック)株が大半を占める「ラッセル1000グロース指数」の3倍近い水準となっている。

 これほどのアウトパフォームは、バリュー株の通常の動きを大きく逸脱している。バリュー株は世界金融危機以降、グロース(成長)株に対して大きく出遅れ、特に「ステイホーム」の広がりでテック株が好調だった昨年は、この傾向が顕著だった。

 しかし、投資家が今年の景気回復を見込んでいるため、過去の歴史に従うならバリュー株はさらに上昇する可能性がある。

 複数の経済的要因で構成するバンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチの指標によると、米経済は「景気拡大中盤」の局面に近づきつつある。20年前のハイテクバブル期を除くと、この期間の71%でバリュー株がグロース株をアウトパフォームしていた。バンク・オブ・アメリカは、今年最も有望な銘柄にシェブロンやヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスなどのバリュー株を挙げている。

 また、ドイツ銀行によると、エネルギーセクターに投資するファンドへの先週の資金流入は19億ドルと、2014年以来の高水準だった。一方で、テックファンドへの流入額は6億ドル程度と「低調」だった。

 キングスビュー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は「ロックダウン状態はいずれかの時点で終わる。米金融業界はそうした見方に安心感を抱きつつあると思う」と話した。キングスビューは、この数カ月でテック株の保有を減らした。

 景気の動きに敏感に反応する銘柄は、経済が景気後退局面の後に成長ペースを速めると急速に持ち直すことがある。

 ソシエテ・ジェネラルの北米部門でクオンツ株式戦略部門を率いるソロモン・タデッセ氏によると、米経済が世界金融危機から回復しつつあった2009年の3カ月間にバリュー株が25%上昇した半面、モメンタム株は30%下落した。

 しかし、この10年間でみると、バリュー株の上昇は尻すぼみとなった場合が多く、投資家は今の相場上昇の流れを阻みそうな要因が、いくつかあると指摘している。

 米国でのワクチン配布の遅れはその1つで、最近米国の成長見通しを引き上げたドイツ銀行のアナリストチームが、最大級のリスクに挙げた。

 フィデューシャリー・トラスト・インターナショナルのポートフォリオマネジャー、ダグ・コーエン氏は「当然ながら、ワクチンによって米経済の状況は下半期までにずっと改善すると誰もが期待している」が、「その保証はない」と述べた。

 また、民主党は僅差で議会を制しており、追加経済対策の導入は際どい決定になるとアナリストは見ている。

 JPモルガンは先週、数カ月以内に議会で9000億ドルの追加経済対策が成立すれば、今年の米国の成長率は5%に達するとの見通しを示し、予想を従来の3.8%から引き上げた。

 投資家は、企業の業績見通しにも注目するだろう。四半期決算は今週から発表が本格化する。

 リフィニティブのIBESのデータによると、S&P総合500種構成銘柄の今年の利益の伸びは24%程度で、工業や素材、金融など景気動向に敏感に反応するセクターで大きく持ち直すと予想されている。

 ベーカー・アベニュー・アセット・マネジメントの首席ストラテジスト、キング・リップ氏は「見通しが明るいのは間違いない。業績見通しを引き上げる企業が増えれば、相場は一段と上昇するだろう」と話した。

 (Lewis Krauskopf記者)