写真・図版 1月21日、バイデン米大統領から財務長官に指名され19日の上院財政委員会の指名承認公聴会に出席したイエレン前連邦準備理事会議長(写真)は同委員会からの追加質問に書面で答え、新政権の税制改革や通商政策の方針を説明した。アトランタで2019年1月撮影(2021年 ロイター/Christopher Aluka Berry)

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 [ワシントン 21日 ロイター] - バイデン米大統領から財務長官に指名され19日の上院財政委員会の指名承認公聴会に出席したイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長は21日、同委員会からの追加質問に書面で答え、新政権の税制改革や通商政策の方針を説明した。同委員会は22日に指名承認を審議する計画だ。

 ロイターは書面回答のコピーを入手した。概要は次の通り。

 

 ◎州・地方税控除

 ・2017年に実施された州・地方税の控除限度額については、影響を検証することが重要との考えを示した。

 

 ◎法人税

 ・法人税率を28%に引き上げるバイデン氏の提案に同意するとした。

 ・課税所得ではなく帳簿所得に15%の最低税率を課すバイデン氏の提案は、企業の課税逃れによって失われた税収の捕捉につながるとした。

 ・国際的なデジタル税の議論については「税源浸食と利益移転の問題に対し、経済協力開発機構(OECD)/G20の手続きを通じた国際協調にコミットするとともに、デジタル税を巡る議論をその文脈で解決すべく取り組む決意」とした。

 ・OECD加盟国で合意した国際的な最低税率は「破壊的な世界的法人税引き下げ競争」を止めることにつながるとした。

 ・個人事業を含む「パススルー」型零細企業の税率を20%から引き上げるか否かについては、明言を避けた。17年の税制改革に盛り込まれた条項が「零細事業主の見通し改善にどの程度寄与しているかを見極める必要がある」とした。

 

 ◎富裕税、キャピタルゲイン税

 ・イエレン氏は、バイデン氏がまだ富裕税の具体案を示していないと説明。ただ、「投資所得で100万ドル以上の利益を得ている家計の同所得に対し、それら家計の所得税と同じ税率を課すとともに、富裕な納税者の最終利益を対象に、従来は非課税だった一部キャピタルゲインにも課税する」ことになるとした。

 ・内国歳入庁(IRS)および議会と協力し、課税額と実際の納税額に格差をもたらしている最大原因への対処に注力するとした。

 

 ◎国債の構成

 ・米政府が現在発行している国債の構成を分析すると表明。新型コロナウイルス関連救済策の財源を賄うため短期証券を大量に発行した結果、昨年末の加重平均ベースの残存年限が2019年末から5カ月縮小して65カ月となっている点も分析するとした。

 ・連邦準備理事会(FRB)がイールドカーブコントロールを採用した場合、どう協力するかについては直接答えなかった。

 ・期間100年の国債発行は急がない姿勢。「現在、既存タイプの米国債に対する需要は強く、米政府の資金調達ニーズを満たすのに十分だ。期間が極めて長い国債を現時点で導入すれば市場に新たな複雑性が加わる」ため、さらに検証する必要があるとした。

 

 ◎FRB

 ・FRBの独立性を強く支持すると表明。「FRB前議長として、FRBが独立して金融政策を行う伝統の維持がなぜこれほど重要か、深く理解している」とし、財務省とFRBの協力が適切かつ必要な場面では、責任をもって協力するとした。

 ・実施が失効した中小企業向けの「メインストリート融資制度(MSLP)」などのFRBの新型コロナ関連融資制度については、もう利用はできないと言うにとどめ、再開の約束はしなかった。「追加的な支援策が、危機で最も打撃の大きかった零細企業や中小企業に届く」ものとなるよう取り組むとした。

 

 ◎失業保険

 ・コロナ禍により、米失業保険制度を更新・拡大する必要性が浮き彫りになったと指摘。将来の景気後退による悪影響を最小化できるよう、景気に「自動安定化」システムを備えることが重要だとした。

 

 ◎国際通貨基金(IMF)

 ・IMFの特別引き出し権(SDR)を全加盟国に割り当てることにオープンな姿勢を示し、最も危機に瀕している国々への支援を強化する方法を分析するとした。SDR割り当てについて米国の立場を決める前には、法的義務を守って議会に相談するとした。

 

 ◎カーボンプライシング

 ・「実効性のあるカーボンプライシングなくして気候変動危機を解決することはできない」とした。

 ・気候変動に由来するリスクに対処するため、金融規制を活用することに改めて支持を表明した。

 ・バイデン大統領に対し、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を達成するよう助言するとした。

 

 ◎ドル相場、為替操作

 ・ドル相場の決定を市場に委ねる決意を再度表明。「米国は競争上の優位を得るために通貨安を模索しないということを、世界は確信するだろう」とした。

 ・通貨切り下げが疑われる国々には圧力をかけると約束。新政権は、財務省と商務省、通商代表部(USTR)が協力し、通商上の優位を得るためにそうした市場介入をする国々に「実効性のある圧力」をかける方法を探っていくとした。

 

 ◎暗号資産(仮想通貨)

 ・ビットコインその他の暗号資産の規制アプローチについて、他の当局と協力して取り組む方針を表明。「正当な活動における暗号資産の活用を促す一方、有害で違法な活動への利用を抑える」ための検討が必要だとし、FRBその他の規制当局と連携し、仮想通貨その他の金融技術革新について実効性のある規制枠組みを導入していくとした。