写真・図版 3月19日 日銀が金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の買い入れ対象をTOPIX連動型のみとしたことで、直後の株式市場では日経平均株価への寄与度が大きな銘柄が崩れ、指数は一時500円超下落した。写真は2020年10月、東京証券取引所で撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

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 水野文也

 [東京 19日 ロイター] - 日銀が金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の買い入れ対象をTOPIX連動型のみとしたことで、直後の株式市場では日経平均株価への寄与度が大きな銘柄が崩れ、指数は一時500円超下落した。ただ、中長期的な上昇基調にある相場の流れを変えるものではないとみる関係者が多い。むしろ、TOPIX型の購入に限ることは、値がさグロース株からバリュー株へのシフトをより鮮明にさせる側面が大きいとの見方が出ている。

 日銀がETFについて、原則6兆円の年間買い入れめどを削除、引き続き12兆円を上限に買い入れを行うとしたことは「観測通りでサプライズではない。12兆円の上限を残すことによって、マーケットが混乱したときには適切に対処するというスタンスを残している」(東洋証券・日本株ストラテジストの大塚竜太氏)との声が聞かれ、見直しそのものが悪材料視された様子はない。

 サプライズ感が生じたのは、TOPIX連動型のみを購入対象としたこと。これが伝わった直後から値が崩れたのが、日経平均への指数寄与度が全銘柄で最も大きいファーストリテイリングだ。保有している日経平均型ETFが売却されるわけではないながら、同社は大引けで前日比5910円安と大幅下落。除数27.769で計算した日経平均への下落寄与度は212円に達した。 

 大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は「ファーストリテに関して言えば、本来の上昇期待とは別に、日銀のETF購入によるプレミアムが意識されていた。その分、需給面で他の銘柄に比べて優位性があったが、今後はそれがなくなる」と指摘する。

 ただ、TOPIX型のみを買うという点については歓迎する声が多い。ある市場関係者は「浮動株比率が少ないファーストリテが上昇すれば日経平均も連れ高となるなど、市場のゆがみが指摘されてきた。そのゆがみが是正されるという面ではポジティブ。短期筋による日経先物の投機的な売買も減るのではないか」(国内証券)と分析していた。 

 また「一部の指数寄与度が高い銘柄に市場が翻弄(ほんろう)される場面が多かったことを踏まえれば、適正な購入法に変更したと言えそうだ。日銀は株式市場をよく観察し、相場の本質を理解していることを示したとみることができる」(東海東京調査センター・シニアストラテジスト・中村貴司氏)と、日銀の姿勢を評価する声も聞かれた。

 他方、これをきっかけにして、物色の流れはバリュー株主導がより鮮明になるとの見方が出ている。直近の相場では、米長期金利の上昇を背景にした米ナスダックのさえない動きを受けて値がさグロース株の下げが目立つ一方で、経済正常化による収益回復期待からバリュー株の修正高が進んでいるが、日銀のETF購入がTOPIX型に絞られることで心理的にバリュー株の優位性が高まるという。

 東海東京調査センターの中村氏は「バリュー株の底上げにつながるTOPIX型のみを購入することで、日銀が現在のグロース売り、バリュー買いの相場を容認するような格好となった」と指摘した上で、「年度末を控え、配当権利取りが活発化するため、目先はTOPIX優勢の相場展開が続く」とみている。

 

 (水野文也 編集:田中志保)