写真・図版財務省の矢野康治事務次官が8日発売の月刊文芸春秋に寄稿し、自民党総裁選や与野党の政権公約にみられる大盤振る舞いの財政出動合戦を批判し、日本の財政悪化を早期に食い止める必要性を強調した。写真はイメージ。2013年2月、都内で撮影(2021年 ロイター/Shohei Miyano)

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 [東京 8日 ロイター] - 財務省の矢野康治事務次官が8日発売の月刊文芸春秋に寄稿し、自民党総裁選や与野党の政権公約にみられる大盤振る舞いの財政出動合戦を批判し、日本の財政悪化を早期に食い止める必要性を強調した。

 矢野氏は冒頭「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない」と心情を示し、与野党が提唱する数十兆円規模の経済対策や、消費税減税、基礎的財政収支黒字化の凍結を取り上げた。

 先進国でずば抜けて大きな借金を国と地方合計で抱えているにもかかわらずさらに「財政赤字を膨らませる話ばかり飛び交っている」のは「タイタニック号が氷山に向かって突進しているよう」と例えた。

 岸田文雄首相は経済対策の策定を指示したが、「本当に巨額の経済対策が必要なのか。コストや弊害も含めて、よく吟味する必要がある」とした。

 鈴木俊一財務相は8日の閣議後会見で感想を問われ「個人的な思いをつづったと書いてある。中身は問題だと思わない」と述べた。 

 寄稿はツイッターなどネット上で賛否両論を呼び起こしている。菅政権の内閣官房参与を務めていた嘉悦大学教授の高橋洋一氏は「バランスシートで財政を語れない財務省」と批判した。一方、元参議院議員の藤巻健史氏は全国民必読の文書だと指摘。いかに財政が危機的であるかに耳を傾けるべきとの考えを示した。