写真・図版イングランド銀行(英中央銀行)は5日、最新の金融安定報告書を公表し、英国および世界の経済見通しが悪化していると警告した上で、銀行に対して、嵐を乗り切るために資本バッファーを増強するよう求めた。昨年12月撮影。(2022年 ロイター/Toby Melville)

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 [ロンドン 5日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は5日、最新の金融安定報告書を公表し、英国および世界の経済見通しが悪化していると警告した上で、銀行に対して、嵐を乗り切るために資本バッファーを増強するよう求めた。

 英中銀のベイリー総裁は金融安定報告書公表後の記者会見で「世界の経済見通しは著しく悪化している。世界の金融情勢は全体として大幅に引き締まった」と指摘。英中銀はウクライナでの戦況も鍵を握るとの見方を示した。

 西側諸国はおしなべて、世界のエネルギー・コモディティー市場の動揺に苦慮している。国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)などの国際機関は、英国は他の西側諸国よりもリセッション(景気後退)や持続的な高インフレに陥りやすいと指摘している。

 英中銀は、国内の銀行は深刻な景気悪化を乗り切ることが可能な状態にあるとの認識を示す一方で、自己資本比率は依然として高いものの今後数四半期で若干ながらも低下する見込みだと指摘した。

 金融行政委員会(FPC)のメンバーは、カウンターシクリカル資本バッファー(CCYB)比率を来年7月に倍の2%に引き上げることを確認。世界経済の動向次第で、この比率を引き上げ・下げのどちらの方向にも動かす可能性があるとした。

 英中銀によると、CCYBを2%に引き上げることは銀行にとって110億ポンド(132億ドル)の追加資本が必要になることを意味するという。

 インフレ率が2桁に向かうなど生活費の逼迫が深刻化しているにもかかわらず、英中銀は、銀行は家計や企業の負債の脆弱性に対して耐性があるとした。

 また、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けたパニック売りの対象となった米英債市場など中核的な金融市場の健全性を巡る懸念を表明。「高いボラティリティーの中、米国債、英国債、金利先物など通常は流動性の高い市場でも流動性の状況が悪化した」とした。

 英国の中核的な市場は、まだ機能しているものの、取引コストが上昇し、英短期債のビッド・アスク・スプレッドは2021年の平均に比べ2倍以上になったという。

 「特に市場のボラティリティーが一段と高まれば、(状況は)悪化し続ける可能性がある」とした。

 このほか、ロシアのウクライナ侵攻を受けたコモディティー(商品)市場の混乱に際し、リスクや脆弱性の全容を把握できなかったことを受け、「不透明な」コモディティー市場について詳細な分析を実施すると発表した。

 ウクライナでの戦争を受けて先送りされている22年の銀行のストレステスト(健全性審査)については9月に開始し結果は23年半ばになるとした。