写真・図版 米株式市場では、足元の暴力的な相場下落がいつまで続くのかを知るための手がかりを投資家が必死に探している状況だ。しかも値下がり局面はまだ終わらないかもしれないという兆しが幾つか出ている。写真はニューヨーク証券取引所で2021年3月撮影(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

[PR]

 [ニューヨーク 13日 ロイター] - 米株式市場では、足元の暴力的な相場下落がいつまで続くのかを知るための手がかりを投資家が必死に探している状況だ。しかも値下がり局面はまだ終わらないかもしれないという兆しが幾つか出ている。

 S&P総合500種は13日に反発したものの、12日時点で1月につけた最高値から20%近く下落し、弱気相場入りが目前。ハイテク株の比重が大きいナスダック総合は、年初来の下落率が24.5%に達した。背景には、物価高騰の長期化が米連邦準備理事会(FRB)のより大幅な利上げをもたらし、経済に打撃を与えかねないという懸念がある。

 こうした株安にもかかわらず、市場関係者が注目する多くの指標は、まだ広範囲のパニックやボラティリティーの急拡大、完全な悲観主義といった過去の株価底打ち時に見られた現象を示していない。これは現在の値下がり局面の底で買いを入れようとしている投資家にとって不安の種になるかもしれない。

 ネーションワイドの投資調査責任者マーク・ハケット氏は「短期的に見て、われわれが危険を脱しているとは思わない。投資家の期待が既に劇的にリセットされたのは確かなのだが」と述べた。

 投資家の不安心理の度合いを表す「恐怖指数」ことボラティリティー・インデックス(VIX)は現在、約30と長期の中央値である18近辺よりまだ高い。これに対し、過去の底打ち時のVIXは平均37だったし、新型コロナウイルスのパンデミックが発生した2020年3月には一時80超まで跳ね上がっていた。

 チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディ・フレデリック氏は、市場で実際にパニックが起きたとみなすにはVIXが最低でも40台半ばに上昇する日が出てくる必要があり、パニックを目にしない限り底を打ったことにならないのではないかとの見方を示した。

 ナーションワイドのハケット氏によると、株式オプションの「プット・コール・レシオ(売る権利の建玉残高を買う権利の建玉残高で割ったもの)」も、既に地合い悪化を示唆しているものの「あらゆる危険信号が点滅するキャピチュレーション(全面的な投げ売り)はまだ目にされない」という。

 BofAグローバル・リサーチのアナリストチームが13日公表したキャピチュレーションのチェックリストに照らすと、投資家の現金保有規模など幾つかの指標は重大な領域に入っているが、なお過去の値下がりのピークにつけた水準に達していない指標もある。同チームは、弱気局面では一時的な反発が起こりやすいとし、最終的な底値はまだだと指摘した。

 明確な底打ちの兆しが見えるかどうかに関係なく、株式市場の地合いは、FRBが年内にあとどれだけの幅で利上げする必要があるかの市場予想に左右される可能性もある。ダコタ・ウエルス・マネジメントのシニア・ポートフォリオマネジャー、ロバート・パブリク氏は「投資家の買いが戻ってくる本格的な兆候が見え始めるには、少なくとも2、3回の50ベーシスポイント(bp)幅の利上げが実施されるのを待つ必要があると思う」と述べた。

 株価底打ちの兆しを探すのではなく、株価の持続的上昇が可能なことを示すもっと確固とした材料を重視するのは、オールスターズ・チャーツの投資ストラテジスト、ウィリー・デルウィッチ氏だ。

 例えばデルウィッチ氏は、ニューヨーク証券取引所とナスダックで52週移動平均の高値更新銘柄の合計が安値更新銘柄を上回るかどうかを注視する。今は安値更新銘柄の合計数の方が多いという。S&P総合500種銘柄のうち20日移動平均の高値更新比率が直近の2%弱から最低でも55%に高まる時期にも期待している。

 同氏は「目下、あまりにも多くの参加者が底値を模索し、それが不毛で、代償も高くつくことが証明されつつある。現在はリスク回避の環境にあり、投資家としては様子見に徹してボラティリティーを自然の流れに委ねるのが極めて妥当だ」と強調した。

 (Lewis Krauskopf記者)