写真・図版2月7日、ニュージーランドから中国に輸出される羊肉が増加している。レビンの食肉工場で昨年12月撮影(2014年 ロイター/Naomi Tajisu)

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 [ウェリントン/シドニー 7日 ロイター] -ニュージーランドから中国に輸出される羊肉が増加している。ただ、フレンチラックやもも、テンダーロインといった部位は欧米に輸出され、中国にはそれに劣る、フラップミート(かいのみ)やキャップ(かぶり)など、腹部の脂肪が多く混ざる部位が輸出される。こうした低級部位は中国で人気が高まる前は格安で取引されていた。

 輸入された羊肉は中国で圧縮、半冷凍されたのち、薄くスライスされ、シチュー用として飲食店に販売される。少量の肉と野菜を煮込んだ自家製のシチューは、コスト重視かつ健康志向の中国人の間で人気が高まり、ファーストフード店から客を奪いつつある。

 中国での低級部位の需要急増を受け、ニュージーランドの中国向け羊肉輸出額は2013年に5億5000万米ドルと、2010年から約5倍に増加。羊肉の伝統的な輸出先だった欧州での需要低迷に直面していたニュージーランドの畜産業界を後押しした。

 <高タンパク志向>

 中国は世界最大の羊肉生産国であり、2011年時点の飼育数は1億4000万頭近くと推定される。ただ、都市化で放牧地が減少し、生産量は減少しつつある。ラム(仔羊)肉はこれまで中国東北部を中心に消費されてきたが、新興都市で急増する中間層が高タンパク質の食事を好むようになり、ラム肉の消費が増えた。

 調査会社ミンテルが昨年12月に3000人を対象に実施した調査では、回答者の3分の2近くが少なくとも月に1度は羊肉シチューを食べていると回答。中国産食品の安全性が懸念されていることもニュージーランド産やオーストラリア産の肉の人気につながっている。

 ラボバンクのアナリスト、マット・コステロ氏は「中国では羊肉の供給が減少し、食の安全をめぐる懸念もあるため、オーストラリアやニュージーランドの食肉加工業者にとってサプライチェーンを保証できることが重要になる」と指摘する。

 2012年、中国はフランスを抜いて世界最大の羊肉輸入国となった。

 ウェリントンから北西に90キロメートル離れたレビンにあるアライアンス・グループの食肉工場のフィリップ・ハンセン工場長は「かつては中国向けの出荷はなかったが、いまは違う」とし、「中国は大きな顧客であり、彼らの望むものを提供する必要がある」と述べた。

 <オーストラリアにも恩恵>

 豊かな牧草地に恵まれるニュージーランドは、世界の羊肉供給の約60%のシェアを占める。ヒツジの飼育数は3100万頭と国内人口の7倍近くに上るが、それでも中国の羊肉需要を満たすのは難しくなっている。この不足分は、羊肉供給シェア35%を誇る隣国オーストラリアが補う可能性が高い。

 中国がラムのフラップミートを買い始める前、その大半は1キロ当たり1米ドル程度で南太平洋の島々に輸出され、肥満のまん延につながったと非難されていた。しかし現在、中国向けには1キロ当たり5.60─5.80米ドルで輸出されていると食品加工業者は語る。

 業界専門家によると、中国で消費される羊肉およびヤギ肉のうち、ニュージーランドとオーストラリアから輸入されたものは3─5%にすぎないにもかかわらず、ニュージーランドはすでに供給能力の限界に達している。

 アライアンス・グループのマーケティングマネジャー、マレー・ブラウン氏は「ニュージーランドで羊肉の生産が減少しつつあり、中国がその生産分をすでに吸収しているなかで、これからどうすべきかがニュージーランドの課題だ」と述べた。ニュージーランドのラム肉生産の約30%を占める同社は、中国の高級ホテルや食品店に納入する最上級ラム肉をさらに増やしたい考えだ。

 羊肉の需要が急増する一方、ニュージーランドでは農家が放牧地をより収益が見込める酪農場に転換し、2007─12年の間にラム肉と羊肉の国内在庫は約20%減少した。

 ニュージーランドは中国との自由貿易協定の恩恵を受けているが、オーストラリアの食品加工業者は隣国からの供給不足分を補う用意があると意気込む。

 オーストラリアはすでに、ヤギ肉の中国向け輸出の増大で利益を得ている。中国ではラム肉の代わりにヤギ肉が使われることがある。昨年のヤギ肉の中国向け輸出額は4736トンと、12倍以上増加した。

 豪食品加工会社V&Vウォルシュの輸出担当者ポール・クレーン氏によると、ニュージーランドで十分なラム肉を調達できずにいた中国の業者は同社にラム肉を言い値で買うと持ちかけてきたという。

 かつて格安で売られていた低級ラム肉の価格は一部の中級肉の価格に近づいており、値上がりの余地はほとんどないとの見方もある。

 一部の食肉会社は、数年前に英国の輸入業者が最高級ラム肉の高騰を受けて取引を拒絶したように、中国側が突然、過去最高値の低級ラム肉を受け入れなくなる可能性を懸念している。

 (Naomi Tajitsu and Colin Packham記者 翻訳:高橋恵梨子 編集:内田慎一)