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2012年7月28日
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アジアの眼

インド なぜ密造酒が売れるのか

モーニングスター社

 2011年12月、インド東部の西ベンガル州で密造酒を飲んだ住民が、次々と体調不良を訴え160人を超す死者を出した。

 死亡したのは大半が正規の酒を買うお金がない人力車の車夫や行商人の貧困層。違法居酒屋などに立ち寄り、密造酒を飲んだことが原因という。密造酒にはアルコール度数を高めるため毒性を持つメタノールを混ぜていたようで、これが死因となった。

 ヒンドゥー教には飲酒に関する縛りがないものの、インドで酒を飲むとあまり良い顔をされず、州によっては飲酒を禁じている。それでも、飲酒の習慣が徐々に広がっている可能性がある。では、危険な密造酒を飲まざるを得ない理由はどこにあるのだろう。

 インド統計局によると11〜12年の1人当たり予想平均年収は、日本円で約8.5万円。ただ、一部の富裕層が平均を引き上げている面があり、実際は多くが1日1ドル(約80円)以下で暮らすという。

 州によって価格は違うが、代表的な銘柄のビール(600ミリリットル)は70〜110円、大衆レストランなら120〜170円。貧困層に手が出る価格ではない。しかし、密造酒なら200ミリリットルで8円程度と格安だ。

 止まらないインドの物価上昇は、低所得の貧困層の生活を一層苦しくしている。「飲まなくてはやっていられない」のかもしれないが、その行為もインドの貧困層にとっては命がけだ。

    ◆

アジアの眼は金曜日の夕刊に掲載します。モーニングスター社の新興国情報のサイト(http://www.emeye.jp/)も参照してください。

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