2009年3月20日3時39分
米ゴールドマン・サックス(GS)グループは19日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイに対し、23日から株式公開買い付け(TOB)を実施する、と発表した。全株を取得して株式を非上場化し、中長期的な戦略で企業価値を高める狙い。
現在、USJの発行済み株式の41%を保有する筆頭株主のGSグループがTOBを実施し、全株を取得。その後、別の二つの外資系ファンドらが出資する。USJ側も19日に取締役会を開き、GSグループらによるTOBに賛同する方針を決めた。
1株あたりの買い付け価格は5万円で、期間は23日から5月21日まで。買い付け総額は約1112億円となるが、実質的にはGSグループが保有する4割をのぞく部分を新たに取得する。
USJ株の約10%を保有する大株主の日本政策投資銀行系ファンドは、すでにTOBに応じる方針を示している。約9%を保有する大阪市も応じる方向だ。
TOBが成立し、USJが非上場化されても、グレン・ガンペル社長ら現経営陣が引き続き経営にあたる。大阪市からの160億円を含む、借入金約554億円についてもすべて返済するという。
19日に大阪市内で記者会見したガンペル社長は「USJは、魅力的なアトラクションを継続的に導入しなければいけない立場にあるが、上場企業では短期的な視点で経営の判断を迫られる。今のような不況下ではなおさらで、(今回のTOBで)大型の投資をしやすくなる」と意義を強調した。来年7月には、新たに室内型の乗り物施設を導入する考えも明らかにした。
USJは01年に大阪市などが出資する第三セクターが運営主体となる形で開業。07年3月には東証マザーズに上場した。投資を抑え徹底したリストラなどが功を奏し、07年3月期には純損益で初の黒字化を果たした。