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加盟店守る法律、必要か FC店主と本部側が対立

2010年1月18日1時47分

写真:FC法の制定を求めて、コンビニ店主らが開いた集会=昨年11月、東京都千代田区、益満写すFC法の制定を求めて、コンビニ店主らが開いた集会=昨年11月、東京都千代田区、益満写す

写真:土方清・日本フランチャイズチェーン協会会長土方清・日本フランチャイズチェーン協会会長

写真:姫井由美子・民主党参院議員姫井由美子・民主党参院議員

 コンビニエンスストアや外食など、町のあちこちに広がるフランチャイズ(FC)ビジネス。その加盟店の一部が「自分たちの立場を守る法律(FC法)が必要だ」と声を上げています。一方、本部側は「過度の法規制は経済の活性化を妨げる」と反論します。FC法は必要なのでしょうか。

■成長鈍化、背景に

 「今の法律は商売の素人を守ってくれない」。西日本に本部を置くクリーニング店の元FC店主が嘆いた。元店主によると数年前、本部の担当者から「1人が十分生活していけるぐらいの月収はある」と説明され、安心して契約したという。

 しかし、実際の月収は2万〜6万円だった。元店主は「話が違う。これでは生活できない」として、本部に契約の見直しを求めた。本部からは営業を続けないと違約金を請求すると告げられ、地元の弁護士会の相談窓口を訪れたが、回答は「契約書に判を押しているので、どうしようもない」。本部は朝日新聞の取材に対し「応じられない」としている。

 FCビジネスを規制する主な法律は中小小売商業振興法と独占禁止法だ。前者は本部と加盟店の訴訟件数などの情報開示を本部側に義務づけている。だが、対象はコンビニや飲食店などで、クリーニング店などのサービス業は対象外だ。

 公正取引委員会は昨年、加盟店による弁当などの値引き販売を制限したとして、コンビニ最大手セブン―イレブン・ジャパンに独禁法違反で排除措置命令を出した。だが、公取委が動き出したのは、加盟店から多くの申告が寄せられてからだった。

 店主は本部の従業員ではなく独立した事業者なので、労働基準法や、クーリングオフ(無条件解約)など消費者保護のルールを定めた特定商取引法も対象外だ。

 本部と加盟店はあくまでも「対等な関係」であり、下請法の対象にもならない。

 しかし千葉県でセブンを経営する三井義文さん(53)は「対等な関係だというが、実態は店主は名ばかりオーナーだ」と話す。三井さんが所属する店主組織「コンビニ加盟店ユニオン」が求めているFC法は、新規出店の制限▽契約後のクーリングオフを認める▽加盟店が営業時間や休業日を決める――などが骨子だ。

 本部と加盟店の利害対立が表面化してきた背景には、FCビジネスの成長鈍化がある。日本フランチャイズチェーン協会によると、FCビジネス全体の売上高は1987年からの10年間で約2・6倍と急成長を遂げたが、97年からの10年間では約34%増。本部は新規出店を続けて全体の売上高を増やそうとするが、個々の加盟店にとっては競合相手が増え、売上高が減る可能性が高い。「本部より弱い立場にある加盟店が自らを守る法律が必要だ」という主張につながっている。

 岡田外司博・早大院教授によると、米国や欧州、韓国やマレーシアなどで法律(州法を含む)などの規制があるという。だが、法制化への課題は多い。民間の事業者同士の契約に対し、国が法律でどこまで規制することが認められるのかという問題に加え、規制強化がFCビジネスの成長の原動力である自由な競争を損なう可能性もある。(益満雄一郎、座安あきの)

     ◇

■「コンビニ加盟店ユニオン」が求めているFC法骨子

・新規出店の制限

・契約後のクーリングオフを認める

・加盟店が営業時間や休業日を決める、など

     ◇

 FC法を制定すべきか否か。規制強化が地域活性化につながるという推進派の姫井由美子・民主党参院議員と、逆に成長のブレーキになると懸念する反対派の土方清・日本フランチャイズチェーン協会会長(サークルKサンクス会長)の主張は真っ向から対立している。双方の意見を聞いた。

■《反対》経済活性化損なう――土方清氏(日本フランチャイズチェーン協会会長)

 FC法の制定には反対だ。外国にはFC法があるが、同じような内容は日本の既存の法律に含まれている。改めて法律を制定する必要性はない。過度な規制は経済の活性化を著しく損なう。コンビニの場合、FC法をつくろうと言っている加盟店は全体の1%に過ぎない。

 加盟店側は24時間営業するかどうかは加盟店が決めると主張しているようだが、生活者の利用機会が奪われる。コンビニは社会のインフラだ。

 協会の会員は日本全体のFC事業者数の約2割なので、協会ができることに限界はあるが、何も努力せずに反対だと言っているわけではない。FCビジネスの相談窓口の対応を充実させたりしている。

■《賛成》「素人」店主保護を――姫井由美子氏(民主党参院議員)

 FC法をつくり、加盟店を守ることが必要だ。今も法律はあるが、ぴったりあてはまるものがない。コンビニ店主は最近、サラリーマン出身者が多い。商売の知識が少なく本部との情報格差は大きい。

 地方の商店街が「シャッター通り」になっているが、FCという新しいビジネスが今後、地域経済を支えていく。FC法ができれば、加盟店はもっと頑張るようになる。

 民主党は「中小企業いじめ防止法」の制定を目指している。小沢一郎幹事長は「本部とコンビニ各店舗の契約もこの法律の適用対象にする」と話しており、まずはその実現を優先するが、今年の参院選のマニフェストにFC法制定が入るように働きかけたい。

■《視点》「悪質本部」締め出し先決

 FC業界が自浄作用を働かし、法令や商道徳を守ろうとしない「悪質本部」を締め出すことが先決だが、本部と加盟店の間のトラブルは絶えない。まずは既存の法律の手直しが現実的な対応だ。それでも問題が解決しない場合は、FC法制定も視野に入れるべきだ。総売上高が20兆円を超えるFCビジネスは、もはや日本の「基幹産業」の一つといっても過言ではないだけに、国民的な議論が必要だろう。(益満)

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