現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. ビジネス・経済
  4. コラム
  5. 経済を読む
  6. 記事

新生日航、課題の山 「稲盛流」に時間、滞る事業整理

2010年2月27日1時58分

写真:整備中の旅客機を視察する稲盛和夫会長(右)と大西賢社長(左)=2日、羽田空港、福岡亜純撮影整備中の旅客機を視察する稲盛和夫会長(右)と大西賢社長(左)=2日、羽田空港、福岡亜純撮影

図:  拡大  

図:  拡大  

 稲盛和夫・京セラ名誉会長を会長に招き、日本航空の新経営体制が2月1日に発足して約1カ月。資金繰りに困る事態は回避できたようだが、「稲盛流」の浸透には時間がかかり、収益改善の芽はみえない。再生の行方を占う更生計画の取りまとめにも課題は多い。

 「初期段階の最悪のシナリオは回避されたが、収益をきちんと回復する根本の部分が残っている」。事業管財人である企業再生支援機構から派遣されている中村彰利・機構専務は、26日の決算発表の席で述べた。

 1月19日の法的整理後に旅客が激減したり、取引先が燃油などの取引に慎重になって航空機が飛ばなくなったりする最悪の事態も心配された。こうした事態は起きていないと中村氏は説明する。

 旅客の減少も当初予測より少ないため、2009年度通期の収益見通しは、1月19日に公表した「2651億円の営業赤字」より縮小しそうだという。6千億円用意した「つなぎ融資」も全額は使わなくて済みそうだとした。

 ただ、こうした損失やつなぎ融資は「最悪の事態」を想定したもので、中村氏は「全力で努力しないといけない状況は変わっていない」とも付け加えた。日航は「全日本空輸などへの一定程度の顧客流出も否定できない」とも言う。

 企業文化の改革もまだ浸透していない。稲盛氏は社員全員に経営感覚をもたせようとしているが、「組織が大きくて本当に下までたどり着いていない」(中村氏)。

 稲盛氏自身も今月20日、京都市内で記者団に「危機感というものが(日航)社員全体にあまりないという気もする」と話した。機構支援などで社内の雰囲気が緩んでいないか懸念を示した。

 再生計画では、売上高は減少傾向でも、客単価などを向上させ、11年度の黒字転換を図ろうとしている。しかし、ライバルの全日空などに対抗し、各種の割引運賃を継続するなど価格競争の消耗戦は続いている。

 不採算事業の整理も急務だ。航空貨物事業を日本郵船の子会社と統合する交渉は難航し、4月発足の予定が先延ばしになった。大手銀担当者は「事業圧縮、路線撤退をしっかりやってもらわないと融資は再開できない」と話し、再生に不可欠な大手銀の融資再開もめどがついていない。

 約1万5千人の大規模な人員削減は3月以降、早期退職の募集などが具体化する。景気の先行きや足元の業績回復が遅れれば、裁判所との協議のなかで「リストラのさらなる上積みも必要になるかもしれない」(機構関係者)という。(澄川卓也、高野真吾)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介