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東証、1年で36%上昇 景気回復力なお弱く 09年度

2010年4月1日1時53分

図:  拡大  

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 2009年度最後の取引になった31日の東京株式市場は、日経平均株価が1万1000円の大台を保ち、1年間で36.8%の値上がりと、05年度(46.2%)以来の高い伸びになった。株高で金融機関の財務に余裕が生まれ、企業年金の運用も改善するなど日本経済は恩恵を受けそうだが、景気の回復力は弱く、好材料ばかりではない。

 日経平均の31日の終値は、前日比7円20銭(0.06%)安い1万1089円94銭だった。08年秋のリーマン・ショックの影響で、昨年3月10日にはバブル後最安値(7054円)まで歴史的な落ち込みを記録したが、各国の景気対策効果が出始めた昨夏以降は、日経平均が1万円の大台に乗せる場面が増えた。

 昨年11月のドバイ・ショックをきっかけに、景気が「二番底」に陥る恐れが意識される中で、政府の「デフレ宣言」と歩調を合わせた日本銀行が12月1日に追加の金融緩和に踏み切ると、市場は好感。中国など新興国経済の好調さにも引っ張られて企業収益が改善し、「今年末にかけて日経平均は1万4000円に達する可能性がある」(大手証券)との見方もある。

 外国為替市場でも円安基調が続いている。東京市場の円相場は31日午後5時時点では1ドル=93円26〜28銭。1年前と比べると円高とはいえ、約3カ月ぶりの円安水準で、輸出企業を中心に株価を押し上げる材料になる。外為相場に影響するロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物の円金利が、日銀の金融緩和効果もあって3月に半年ぶりにドル金利を下回り、円売りを招いているためだ。

 しかし、楽観的な「景気回復シナリオ」には危うさもある。景気回復の牽引(けんいん)役になる設備投資の意欲は依然弱く、個人消費もさえない。外需頼みで景気は持ち直しているが、「国内民間需要の自律的回復力は、なお弱い」(日銀の白川方明総裁)。「民主党政権には成長戦略が見えず、市場には政策への不信が根強い」(大手証券ストラテジスト)という問題もある。

 また、各国の政策総動員による景気対策は財政悪化を招いている。米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン前議長は最近の米国の長期金利の上昇(国債価格の下落)について、景気回復の裏付けのない「悪い金利上昇」と警戒。欧米金融機関も健全体に戻ったとは言い難い。

■金融機関は一息

 大量の保有株を抱え、09年3月期に巨額の損失処理や自己資本の目減りを余儀なくされた銀行などは、10年3月期末の株高で一息ついた。

 大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所の試算によると、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGなど6大金融グループの3月末時点の保有株の含み益は計約1.7兆円。09年3月末は4292億円の含み損だったが、劇的に改善した。

 株高で銀行の保有有価証券全体に含み益が出れば、一部を自己資本に算入できる。財務の健全性が高まると、貸し出し余力が増し、経済に好影響を与える。もっとも、邦銀特有の持ち合い株は、健全性や収益を大きく振幅させる最大のリスク要因。持ち合い株の削減を急がなければならない事情に変わりはない。

 生保にとっても、有価証券の含み益の増加は健全性にプラスに働く。最大手の日本生命保険の有価証券全体の含み益は3月末時点で2兆3500億円となり、1年前の2.2倍に膨らんだ。

 株高は、運用難による積み立て不足に苦しめられてきた企業年金にも朗報だ。米コンサルティング会社タワーズワトソンによると、09年度の国内年金基金の運用利回りの推計値は13.3%で、3年ぶりのプラスに転じる。

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