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日航路線「大幅縮小を」 前原国交相、更生計画関与へ

2010年4月13日1時54分

写真:インタビューに答える前原誠司国交相=12日午後、東京・霞が関、杉本康弘撮影インタビューに答える前原誠司国交相=12日午後、東京・霞が関、杉本康弘撮影

 前原誠司国土交通相は12日、朝日新聞のインタビューに応じ、経営再建中の日本航空が作成する会社更生計画に路線の大幅な縮小を盛り込むよう、日航に要請する考えを明らかにした。公的支援を受ける日航が、路線で競合する全日本空輸などの経営を圧迫しないよう、日航の路線・人員計画の策定に国交相として関与していく姿勢を示したものだ。

 前原国交相は、欧州で公的資金を受けた企業が市場シェアを減らして再出発する例を挙げ、日航が国際線で今の路線規模を維持するのは好ましくないとの見方を示した。そのうえで「路線の見直しについては(所管閣僚として)関与していきたい」と述べた。

 1月に会社更生法を申請した日航には、管財人の企業再生支援機構などが1兆円近い公的資金を投入し、再建を支援する。日航が更生法申請後も航空運賃の値引きで客を集めていることに対し、全日空は「公正な競争ではない」と反発している。

 前原国交相は「公的資金を入れた以上、割引合戦には陥らないでいただきたい」と話した。日航の稲盛和夫会長にも考えを伝えたという。

 機構と日航は1月に示した再生計画で、国内外229路線のうち31路線の削減を掲げた。だが、金融機関などから「計画が甘い」との指摘が強まり、日航は路線の削減数を50程度に増やすことを検討している。(澄川卓也)

    ◇

■「インフラ輸出、官民で」「高速料金、試行段階」

 ――日航の再生計画で、国際線での全日空との競合をどう考えますか。

 「全体的に日航は路線撤退して単独路線が減り、全日空の単独路線は増える。ただ競合路線も増える。国交省としてどう関与するのか、更生計画の中身をしっかり見ていきたい」

 ――関西空港の経営改善策をどう考えますか。

 「関西空港は有利子負債が大きな宿題だが、営業面での潜在能力は高い。利用の一つの手段として格安航空会社(を誘致する)という考え方は当然あり得る」

 ――鉄道などインフラの輸出が必要と考える理由は?

 「アジアのインフラ需要はこの10年間で約8兆ドル(約750兆円)とされる。日本企業が海外インフラを受注すれば、他地域の発展に寄与し、世界の成長エネルギーを取り込むことにつながる」

 「政財界が、金融機能をあわせ持った売り込みを戦略的にできるようノウハウを身につけなくてはならない。米国の高速鉄道に国際協力銀行(JBIC)の資金を使えるよう政令改正した。リスクの低減や投資の目利きはしっかりやり、公的な資金と民間的な資金が混じってよいプロジェクトに(資金が)流れる仕組みをつくる必要がある」

 ――高速道路の新料金に閣内からも異論が出ています。

 「民主党の(高速料金)無料化政策に対抗するため、前政権がかなりのお金を使って割引を実施した。他の公共交通機関への影響も考えて新料金を決めたが、あくまでも試行で、最終形への一つのステップにしたい」

 ――割引原資を道路建設に使ったことへ強い批判があります。

 「国費を道路会社に入れて建設する方式は、無制限に道路が造られる可能性があると反対してきた。料金を取る道路と、国が建設して完成後は無料にする道路を分ける。今回は、将来的に料金を取る前提で、つながっていない部分の解消や渋滞緩和にプラスになる道路を造る」

 ――「コンクリートから人へ」の理念に逆行しませんか。

 「建設に回すのは10年間で1.4兆円、1年だと1400億円。国交省の今年度の公共事業費4兆8585億円と比べても大きくはない」

(聞き手・木村和規、野沢哲也)

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