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2012年9月5日
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私のミカタ

人を育てる 育つ人になる

文・佐々木かをり(イー・ウーマン代表取締役社長)

 企業の業績は、人材で決まる。そう考える経営者は多いが、実際の会社内での研修プログラムはまだまだかい離があるようだ。私自身は、管理職育成講座や、ダイバーシティなどのテーマでの講演や研修の依頼を受けることが多く、コンサルティングもあり、人事部や研修担当者とよく話をする。企業側のニーズとしては、男性管理職を含め、企業内のリーダーとなる人には、能動的なコミュニケーション能力、また、ダイバーシティの視点をもったリーダーの育成研修に関心が高い。また女性たちに対しては、管理職を求めて欲しい、という要求が高い。社内での女性管理職を増やしていくために、考え始めているのだ。しかし経営陣や人事部から見ると「女性は管理職になりたがらない」。実際そうだろうか。

 会社選びの際は、女性が活躍できる企業を選び、優秀な成績で入っている女性たちに対する体験やチャンスの提供が、習慣の中で、男性より少なくなり、その結果10年立った時に管理職を提案しても、そのようなスキルもやる気もない、ということになってはいないだろうか。2012年8月にイー・ウーマンで行った研修についての調査をみると、働く女性の77%が新入社員研修を受けているのにもかかわらず、管理職育成の研修はわずか14%。きっとそれまでの間も、研修の数が少ないのではないかと想像する。企業側は、継続した研修提供が必要なのだ。

 では、どんな研修が求められているのだろうか。私の場合は「有機的な研修・講演」といい、無機的でなく、参加する人たちが、知識を得るだけでなく、心で感じ、行動変革を起こすことを目的としている。講義型、グループワーク、対話型、体験型……いろいろ種類があるが、どの手法を使ったとしても、参加者が「参加した」という体験を持ち、自らのこととして情報を活用することができれば、成功だろう。人事部や研修担当者は、「どのような内容・科目を学ぶか」ではなく、「誰を講師に選ぶか」を肝として、組み立てていくことが重要となってくる。

 そして、働き手の意識である。自分が働き手であるという立場で、自分を律するために言うならば、「研修がないから、私にはスキルがない」「研修がないから、モチベーションわかない」などというのは、言いわけであることを本人は知っているだろう。経営側は、今社内にいる全ての人が、最高の仕事をしてくれることを期待して、雇用した。採用された自分は、どんな環境であれ、成長し続け、貢献し続けるのが、道理だと思う。

 企業は人が命。それは、育てようとする経営側と、貢献しようとする働き手との両方の意欲と意思があってこそ、大きな成果となる。日本が世界に貢献するために、今一度、研修制度やプログラムの見直しをするとともに、各自が自分の心に手を当てて、自らのエンジンをかけ直す時が来ていると思う。

プロフィール

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佐々木 かをり(ささき・かをり)

国際コミュニケーションのコンサルティング会社、株式会社ユニカルインターナショナル、及び、株式会社イー・ウーマン の代表取締役社長。2000年より、「イー・ウーマン」サイトを展開しながら、ブランドコンサルティング、商品サービス開発、人材研修などを手がける。1996年より毎夏開催の「国際女性ビジネス会議」実行委員長。上場企業の経営委員、政府委員も多数務める。テレビのコメンテータも。著書に「佐々木かをりの手帳術」(日本能率協会マネジメントセンター)「自分が輝く7つの発想」(光文社・知恵の森文庫)など多数。2児の母。ブログも好評

イー・ウーマン

イー・ウーマンは、「生活」と「ビジネス」の両方の視点を持った働く女性たちの知恵を活かして経営課題を解決する、マーケティング及びコンサルティング会社。新商品開発からブランドコンサルティングなどを、企業などに提供。

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