「日本人は自宅に人を招かない」なんて言っていた時代はとうに終わった。インテリアが安くなったこと、おしゃれに、カラフルになったことも後押しし、多くの人たちが自分たちの家、部屋を、いごこちのよい自分流の空間にすることに熱心になってきたようだ。
2012年10月にイー・ウーマンに集まる働く女性に調査をしたところ、今の住まいの、どこかをリフォームしたいという人が約1割。そして1位はキッチンだった。3割を超える人が選ぶキッチンは、彼女たちが家でどんな時間を過ごしたいのかということとも関連していると思われる。8割近い人が、自宅はリラックスする場所と回答し、家族や自分の記念日や季節の行事の時には、6割以上が「自宅で過ごす」と回答している。そして、家族との絆を感じるのは、「一緒に食事をしている時」。自宅で家族とゆっくり過ごすことや、知人友人と食事をするという生活は、徐々に自然なことになってきたのだろう。
そのわりに、家の間取りやインテリアは、進化していない。男性が働き、女性が自宅にいるという想定で作られているマンションや分譲住宅が多く、寝室の考え方、リビングの考え方、キッチンの考え方など、収納の考え方など、まだまだ改良の余地がある。
私自身が「家」に興味を持ったのは、小学校の時。ほぼ毎晩、方眼用紙に「住みたい家」を想像し、間取りを書いていた。正しい設計図(?)の書き方を父親に教わり、窓の位置や扉の位置や方向を考え、理想の家を考え続けた。一人暮らしをするようになったら、自宅の壁を塗り替えたりと工夫を重ねて、安いアパートを住みやすくしたし、今の自宅もリフォームや内装はすべて自分自身の設計と指示によって行った。
そんな「家」大好きな素人の私からみると、この20年で大きくインテリアの市場が変わったことに気づく。カーテンもソファも、キッチンウエアも、以前は考えられないようなカラフルな、おしゃれなデザインのものが安価で買えるようになった。しかし、街中のアパートやマンション、一軒家を見てまわると、その間取りやインテリアの選択はほとんど昔と変化ない。これでは「稼ぎのある働く女性」たちの満足には届かないだろう。
想像した以上に、自宅で食事を楽しむという人が多かった今回の調査結果をみても、今後住宅メーカーは、私たちのようなフルタイムで働く女性たちの声にもしっかり耳を傾け、新しいライフスタイルに合った住宅を提供して欲しいと思う。
国際コミュニケーションのコンサルティング会社、株式会社ユニカルインターナショナル、及び、株式会社イー・ウーマン の代表取締役社長。2000年より、「イー・ウーマン」サイトを展開しながら、ブランドコンサルティング、商品サービス開発、人材研修などを手がける。1996年より毎夏開催の「国際女性ビジネス会議」実行委員長。上場企業の経営委員、政府委員も多数務める。テレビのコメンテータも。著書に「佐々木かをりの手帳術」(日本能率協会マネジメントセンター)「自分が輝く7つの発想」(光文社・知恵の森文庫)など多数。2児の母。ブログも好評