年金や医療費の負担が、これから高齢者家計を直撃しそうです。
現在の年金は、物価が下がればそのぶん支給額も減ることになっていますが、ここ数年、デフレが続いても支給額を下げなかったために、実際には払い過ぎになっていました。この払い過ぎを解消する改正国民年金法が国会を通過し、来年10月から2015年にかけて年金支給額が段階的に減ることになりました。
最終的には、12年度に基礎年金額が6万5541円だと1675円減の6万3866円に。厚生年金が夫婦2人の標準世帯で23万940円だと5900円減って22万5040円に。会社員の場合、標準世帯で年間にすると7万800円減ですから、これはかなり大きい。
いっぽうで、住民税非課税で年間所得が77万円以下の年金受給者家庭については、保険料の納付期間に応じて最大5000円の給付金を支給する年金生活者支援給付金法も同時に成立しています。ただし、これは3年後からのスタートです。
会社員家庭では、今まで60歳から支払われていた年金の支給年齢が、今後、徐々に引き上げられていくことを併せて考えると、かなり厳しいものがあります。
さらに、70歳から74歳までの医療費の窓口負担についても、現行の1割負担が、12月中にも2割負担に引き上げられそうです。これは、70歳になる方から適応されるので、すでに70歳を過ぎている方は今までどおりの1割負担ということになっています。
どちらも、本来徴収するべきものを徴収するということなのですが、今後、復興増税や消費税の引き上げ、電気料金のアップなど高齢者家計にもかなりの負担が押し寄せてきそうです。
こうしたことを念頭に置き、健康でお金に困らず、長生きできる生活設計を今から心がけましょう。
1954年長野県生まれ。経済ジャーナリストとして幅広く活躍。デフレを見越し、借金を減らし投資を控える「資産防衛」を一貫して提唱。現在、テレビ・雑誌・新聞などを通じて不況時の生活防衛策や、保険、金融、住宅問題など実戦的な提案を発信している。著書に「荻原博子の家計まるわかり読本」(学研パブリッシング)「生命保険は掛け捨てにしなさい!」(ダイヤモンド社)など多数。監修した「ボクたちの値段」(講談社)も好評発売中。