先週書いた「年内にやっておくこと」の続きです。
結婚して妻が専業主婦なら、配偶者控除が使えます。ですから、こうしたケースでは、結婚式は来年にするにしても、届けだけは年内にしておけば今年も控除が使えます。所得税の配偶者控除は38万円。住民税の配偶者控除は33万円。所得税率10%の方なら、年内に婚姻届を提出するだけで、税金が7万1000円多く戻ってくることになります。
逆に、離婚する場合には、妻が専業主婦なら、書類は来年になってから提出したほうがいいということになります。1年分の配偶者控除がつくからです。「税金が戻って来るから、とりあえず書類の提出は年明けにしよう」といいながら2人でお正月を過ごしたら、ゆっくり話す時間が持てて元の鞘(さや)に戻るなんていうことも、ひょっとしたらあるかもしれません。
財産があるのに高齢なので心配だという人は、年内に子供たちに財産の一部をあげておくといいでしょう。贈与税には110万円の基礎控除があるので、この範囲内なら無税で現金などをあげることができます。
また、子や孫が家を買うという場合には、一定の条件をクリアすれば、平成24年中なら1000万円まで「住宅取得等資金」としてあげても税金はかかりません。これが平成25年になると700万円に減り、平成26年には500万円に減りますから、今年中にあげるのが最も有利ということになります。贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下で、贈与を受けた年の翌年3月15日までに引き渡しが済んでいること、確定申告をすることなどの条件があるので、詳しくは税務署に問い合わせてください。
ちなみに、住宅が省エネ等住宅の場合には、平成24年は1500万円、平成25年は1200万円、平成26年は1000万円までが非課税となります。
1954年長野県生まれ。経済ジャーナリストとして幅広く活躍。デフレを見越し、借金を減らし投資を控える「資産防衛」を一貫して提唱。現在、テレビ・雑誌・新聞などを通じて不況時の生活防衛策や、保険、金融、住宅問題など実戦的な提案を発信している。著書に「荻原博子の家計まるわかり読本」(学研パブリッシング)「生命保険は掛け捨てにしなさい!」(ダイヤモンド社)など多数。監修した「ボクたちの値段」(講談社)も好評発売中。