[PR]

 地球温暖化を防ぐため、低炭素社会の実現に向けた動きが欧米で始まり、この1~2年は、金融市場と連動して「脱石炭」が加速しています。

 英ロイズや仏アクサなどの大手保険会社が、二酸化炭素(CO2)排出が多い石炭火力発電や、石炭採掘などから投資を引き揚げ。日本でも、北海道電力、四国電力、北陸電力、電源開発などの株式が売却されています。

 ドイツ銀行や仏BNPパリバ、USバンコープなどの銀行は、石炭関連ビジネスへの新たな融資を中止しました。欧米では、脱石炭の流れをせき止めるような融資は、倫理に反すると見なされるようになっているのです。

 一連の動きをリードしている一つが、世界第2位の約130兆円もの資産を運用する「ノルウェー政府年金基金」です。基金の運用方針では、CO2を大量に排出する企業は、兵器やたばこ製造、児童労働に手を染める企業と同じ扱い。運用トップにあたるノルウェー中央銀行投資管理部門の最高経営責任者(CEO)スリングスタッド氏はこう断言します。

 「投資収益は(マイナスであっても)関係ない。大量のCO2を排出し、孫やその次の世代に深刻な悪影響を与える石炭は倫理的な理由で投資すべきではない」

 日本には石炭火力発電所の建設計画が40以上もあります。融資する日本の金融機関は、外国人株主の持ち株比率が低くありません。石炭火力を後押しする融資態度には、説明責任を果たすよう求める声が高まりそうです。(週刊東洋経済)