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「人は母から始まる」

2009年1月5日

  • 筆者 :風間深志

写真ヒンバの住居写真ドイツ人女性のアンドレア・ホスさん写真松下隆教授

 12月24日、クリスマスイブ、晴れ。ヒンバ族に会ったその夜、ヒンバについてあれこれと考えてよく眠れなかった。数千年と変わらない生活を続けている人々が、いま自分と100mと離れていない所で実際に生活を送っているのだ、と思うと居ても立ってもいられない。

いますぐにでも走って行って、この寒い朝を(夏だというのに気温は14度だった)どうして過ごしているのか、もう一度会ってみたい気分だったが、ルール上(観光客との接触には一定の規則を持っている)それは許されないことだった。 この村を離れる前にもう一度、ヒンバの村(6年前からここに住み着いた80人の村)を守るドイツ人女性ホスさんに会って最後に聞きたいことがあった。それは朝の出発前に実現した。

 Q:単刀直入にお聞きしたいのですが、ヒンバの普遍的で安定した生活様式は、女性主導の社会だからこそ今日まで持続できたのではないですか。

 A:まったくその通りだと思います。人は母から始まります。そして、女性の「調和」の精神は男性のそれよりも優れていると言え、その社会のあり方は今後も充分に持続可能と思います。ただし、これは先進文明との間違った融合がなければの話であり、そのあたりの政府などの本格的な取り組みを強く望んでいます。

 Q:ヒンバの生き方の特徴を一言でいうとしたら?

 A:「調和」です。そのために彼らは決して悪いことをしない。殺さない。そして常に優しさと共生の心を大切にして、あるものすべてを皆で共有する生き方です。

 Q:健康管理についてですが、彼らはたまには怪我などは?

 A:よく火傷をします。それは薬草などで治しますが、多くの場合はメディスンマンが家の中で薬を調合して手当てします。その内容につい て知ろうとするのですが、なかなか教えてもらえません。

 朝9時30分、村を離れた。気温は午後3時過ぎには37度になった。ハンドルを握りながら何度も朝の話を噛みしめ、夕刻、ナミビアの首都ウインドフックに着いた。本日の走行530キロ。

 12月25日(金)、晴れ。ウインドフックの近代的なホテルでの目覚めである。バイキングの優雅な朝食を食べ、久しぶりにこれまで溜った洗濯を行う。昼過ぎに空港へ、日本から来る「運動器の10年」運営委員長の松下隆教授を迎えに行く。明日から1月の4日までの約2週間の間、教授と共に各地を視察しながら旅する予定になっている。

 午後1時30分、予定通りに空港で松下教授と合流。久しぶりの再会。そして、温かい陽気の中、Tシャツ姿でクリスマスを楽しむウインドフックの夜の街を見学した。本日の走行80キロ。

プロフィール

風間深志

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。

 主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)『2DKと大自然』(大和出版)『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。

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