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いよいよオーストラリアへ

2009年8月26日

  • 筆者 :風間深志

写真左から高橋マネージャー、風間、今利、松下、田中、山崎、スティーブの横断隊一行

 いよいよ自転車によるオーストラリア横断の旅に出る。目的はWHO承認活動「運動器の10年」世界運動に呼応したオーストラリアでのキャンペーン活動である。

 【運動器とは】骨・関節・筋肉・靭帯・腱・神経など、身体を支えたり動かしたりする器官の名称

 私は当たり前のように手足を動かして生活してきた。それが2004年の初頭、パリ・ダカ参戦中に左足に重傷を負い状況が一変。気づかず見過ごしてきたものがいかに大切だったかを思い知らされた。

 「運動器」の治療にとどまらず、日常生活の質まで考えようという「運動器の10年」キャンペーンを知ったのは、まさに縁だったのだろう。微力ながら同活動の日本委員会とタッグを組んで、世界の外傷医療の現状を視察し、同時に「運動器の大切さ」をアピールしながら世界一周をしようと決めた。

 その第1弾が2007年のユーラシア大陸横断だった。これは私の冒険復帰第1弾の挑戦でもあった。ロシアのウラジオストクからポルトガルのロカ岬までの約1万8000キロ(10カ国)をスクーターで走破。世界の外傷医療の先進国と言われているロシアやドイツ、フランスの外傷医療専門の病院を訪問し、日本の医療システムの問題点を実感することができた。

 第2弾は2008年、母なる大地アフリカの縦断だ。全行程約2万1000キロ。4WDのクルマとトラックでエジプトからスーダン、ケニア、タンザニアなど10カ国を通過し、南アフリカ・ケープタウンを目指した。アフリカの最大の問題点は率直なところ貧困にあると実感。医療設備を問う以前に、施設そのものも交通機関も通信もまったく不足している。人間自身の持っている明るさと強さを感じるばかりだった。

 そして第3弾が今回のオーストラリア自転車横断だ。この大陸もまたほかの大陸とはまったく違った環境や特性がある。自然も人間の生活環境もそうで、隣家まで数百キロ離れているという地域も珍しくない。日本の22倍も面積がありながら人口はわずか5分の1程度。さてさてどうなることやら…。

 ということで、いよいよ8月22日夕刻、予定通り成田を出発した我々一行7人は、横断の出発点となる西オーストラリアの都・パースに無事到着(カンタス航空QF-80直行便)した。

 パースの上空は時折、青い空を覗かせる曇り空。晴れて初めてのオーストラリアの土を踏む者、これが何度目かの経験となる者と色々だが、心配していたほどの冬の厳しい寒さもなく、みな元気いっぱいの表情である。さっそくガレージに行き、一足先に着いていた自転車(パナソニック・JETTA)と対面して、一同身を引き締めた。

 今回も、毎度おなじみの風間深志(58歳・冒険家)を隊長に、全国から選ばれた日本人の隊員3人が参加。そのうち1人はソルトレークと長野のパラリンピックの出場経験を持つ強者(38歳・北海道、毎日100キロ自転車に乗る)であり、もう1人は全国の酒蔵を松葉杖で行脚するのが趣味だという自称『酒蔵評論家』の謎めいた男(46歳・大阪)。そして、昨年までは中学校の教師だったという元気いっぱいの女性(25歳・神奈川、自転車には毎日50キロ乗る)だ。

 一方サポート隊として、また今回も隊の総指揮を取っていただくのが、「運動器の10年」日本委員会の運営委員長 松下 隆教授(60歳・自転車歴は長い)であり、五人のドクターの連携参加の第一走者でもある。この5人に加わり、これからの行程の随所で合流するオーストラリア人(いずれも身体のどこかに外傷経験を持つ人たち)など、今回の旅の同行者は実に多彩で、賑やかだ。国が違えば習慣も違うから、なんだかんだと問題が発生するだろうが、それらをすべて楽しみながら大いに盛りあがろうと思うので、どうぞお楽しみに!!!

プロフィール

風間深志

かざま・しんじ。冒険家。1950年、山梨県出身。85年、バイクでエベレスト登攀、標高6005mの世界記録樹立。87年、バイクによる北極点到達。92年、バイクによる南極点到達。いずれも史上初。ほかバイクによる冒険、レース参加等多数あり。88年より『地球元気村』(その後NPO法人化)を運営。全国各地をフィールドに自然を軸とした地域づくり・人づくりに取り組んでいる。

 主な著書に『地平線への旅』(文芸春秋)『2DKと大自然』(大和出版)『10万回のキャスティング』(インフォレス)など。

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