倉田明子

倉田明子くらた あきこ

東京外国語大学総合国際学研究院准教授
関心ジャンル:歴史国際

最新コメント一覧

  • 香港で枢機卿ら4人逮捕 政府トップが代わり、「国安法」摘発を再開

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年5月12日8時34分 投稿

    【視点】逮捕された顔ぶれに驚くと共に、国安法容疑での逮捕はしばらくなかったので、深刻な事態と受け止めています。最近の香港は、国家安全部門が動き、保釈を認めないなどの国安法の基準を使いながら、実際の逮捕や起訴の根拠は国安法以外の既存の法律を使う、ということが続いていました。今回は敢えて国安法を使って逮捕したということが香港内外の民主派側の人々に与えた心理的影響は大きいはずです。 その後の現地報道では、4人は保釈され、国安法については継続捜査、パスポートは没収、そして国安法とは別の法律違反容疑で起訴、となったようです。 今後、国安法で起訴になるのかが一つの焦点ですが、その場合、枢機卿というカトリック教会の高位にある陳日君や、民主活動家として国際的にも著名な歌手何韻詩が含まれているだけに、世界中から強烈な批判を浴びる可能性が高いです。バチカンは昨晩早速声明を出し、事態に注目していると発言しています。国安法での起訴に踏み切るとすれば、バチカンとの外交問題化も辞さないという中国の意思表示になりかねません。 もしそこまでする気がないとすれば、今回の案件は香港人に向けた威嚇という意味合いが強いのかもしれません。4人のうちの1人の副教授が出境しようとして逮捕されたことを考えると、発言力のある人たちが海外に流出して香港政府や中国政府を批判していることを警戒しているようにも見えます。また、民主派側の神父や組織も擁している香港のカトリック教会へのいらだちもあるかもしれません。 これから、天安門事件追悼の日や、2019年の抵抗運動開始から3周年といった、政府から見て「敏感な」記念日が続く6月が来ます。そこに向けてどのような動きが出てくるのか、注目していきたいと思います。

  • 香港政府のトップに李家超氏、得票率99% 民主派弾圧、中国に忠誠

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年5月8日21時35分 投稿

    【視点】分かりきった結果ではありますが、今後の展開はやはり気になります。李氏は出馬表明以降の「選挙戦」の間、従来の強硬派のイメージを意識してか、できる限りソフトなイメージを作ろうとしていたようにも見えます。今後の舵取りの中で、もちろん国家安全条例制定は行うでしょうが、その条例がどのくらい使われるのか、あるいは現在進行中の国安法関連の裁判への影響がどのように出てくるかは、まだ分からないところがあります。日本も含め、国際的な監視の目が弱まりつつあるようにも思いますが、引き続き香港の今後に外から関心を寄せ続けることが必要だと思います。

  • 「国恥地図」に秘められた帝国の記憶 世界秩序揺さぶる中国の歴史観

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年4月22日10時44分 投稿

    【視点】このところ日本でにわかに注目を集めるようになった「国恥地図」ですが、記事中の「中国の学者が「地図と言うより当時の悲憤の発露」と位置づける代物」という表現がとてもしっくりくるモノです。 国恥地図を考える時には、これが中国の近代国家意識やナショナリズムの勃興とともに生まれたものだという点を押さえておく必要があると思います。私たちが今当たり前だと思っている「国家」や「国境」のイメージは、東アジアではせいぜい150年くらいの歴史しかない概念にすぎません。日本は明治維新の頃からこの概念を積極的に受け入れようとしましたが、中国では長い年月をかけて新旧の概念が入れ替わって行きました。民衆のレベルにまで近代的な国家の概念やナショナリズムが広がったのは1920年代以降のことです。国恥地図はまさにこの時代に、ナショナリズム高揚のために、誕生したものです。 実際「国恥地図」は、当時の教科書にも載せられました。ただ、注意しないといけないのは、歴史の教科書ではなく、国語の教科書だったということです。中国ナショナリズムの「物語」としての国恥地図なのです。そうした物語が今の中国の人々の間に広く共有されていることは確かですが、それを皆が「歴史」として捉えているかは、また別問題かもしれません。 現在の共産党政権の対外的な公式の歴史観と国内向けの愛国主義は、重なる部分もあれば、ずれる部分もあると見ています。「帝国の残像」はそのせめぎ合いの場でもあるのかもしれません。連載を楽しみにしています。

  • キャリー・ラム氏、来月の行政長官選不出馬 治安機関元トップが浮上

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年4月4日17時3分 投稿

    【視点】林鄭氏が出馬して二期目の行政長官を務めると思われていましたが、そうもいかなくなったようです。香港の行政長官を誰がいつまで務めるかというのは、制度の枠組みも一応の選挙の仕組みもありますが、結局は中央政府の意向次第です。昨年の選挙制度の改変でその傾向はより明確になりました。 今回の林鄭氏の不出馬表明は、中央政府が彼女の二期目続投を断念したことの表れでしょう。その直接的な要因は、香港でのゼロコロナ政策の失敗かもしれません。ロシアのウクライナ侵攻のニュースと重なり、日本ではあまり大きく報道されませんでしたが、香港では2月下旬からオミクロン株の爆発的大流行が始まり、高齢者を中心に8000人以上が亡くなりました。医療現場は相当混乱し、ゼロコロナ政策の問題点をいち早く露呈してしまいました。 もっとも、これで李家超氏が新たに行政長官になるとしたら、香港の「警察国家」化が加速しそうです。国安法関連の裁判が続く中、懸念も大きくなります。

  • 台頭する中国、芽生える天下観 「戦争の時代」回避へ歴史家の責任は

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年3月25日10時7分 投稿

    【視点】他国のニュースは往々にしてその国の政府を主語にした大きなストーリーでしか伝えられませんが、現地には政府見解とは異なる多様な声もあります。情報統制されているイメージの強い中国でも、同じこと。それをよく教えてくれるインタビューです。 中国で近年高まる天下の意識ですが、なかなか日本人には説明しづらい歴史的背景を持っています。それがこの記事では端的に解説されています(大学の教材にしようと思います)。国家の方向性として天下観が持ち出されることもあるだけに、今こうしたインタビューを受けること、またそれを記事にすることは勇気のいることだったのでは、とも思います。双方の気骨を感じました。 葛先生は、帝国時代の世界観では、辺境意識だけがあり、明確な境界はなかったと指摘しています。そこに中国を文明の中心と見る「華夷思想」(いわゆる「中華思想」)が重なり、東アジアの秩序が作られてきました。 こうした境界概念や秩序の意識は、日本を含む東アジアの辺境の国々の側も共有していたものです。また、清朝という「大きな中国」の時代には、清朝が漢人ではなく満洲人の王朝だったこともあり、周辺国の中では、実は我々こそが世界の中心だ、という「小中華意識」も生まれました。 例えば、かつての「琉球」や「蝦夷地」と今の日本の境界線の問題を歴史的に捉えてみたら、どうなるのか。そんなことも考えさせられた記事でした。

  • 五輪開会式の「韓服」論争 韓国の反発に違和感、その意味を考えた

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年3月5日23時2分 投稿

    【視点】私は数年前、「満洲国」時代の中国東北部への朝鮮人移民に関する共同研究チームの一員として、延辺朝鮮族自治州を訪問しました。現在中国で朝鮮族として暮らしている人々の中には、「満洲国」時代に朝鮮半島から半ば強制的に移住させられてきた人々も少なくありません。訪問中、そうした体験をされた方々に聞き取りをする機会もありました。もっと若い世代の朝鮮族の研究者や大学院生とも交流があります。 彼らから私なりに感じてきたのは、朝鮮族というアイデンティティの複雑さです。民族の言語や文化に誇りを持ち、それらをしっかりと守りつつ、中国にも当然ながら帰属意識があります。マイノリティとして様々な苦労もしてきたはずです。韓国に行くと彼らは差別されることもあると聞いていました。 ですので、今回の開会式での韓服をめぐる韓国の反応には私も違和感を覚えました。中国の朝鮮族のことが韓国であまりに認知されていないのでは、とも思いました。中国のプロパガンダとしての民族政策や文化政策だけに目が行ってしまうと、複雑な実情が分からなくなってしまいます。 そして、この問題の根底には多かれ少なかれ「満洲国」の問題もあるということを忘れてはならないと思います。日本にとって無関係ではないですし、日本のかつての戦争・支配と移住という文脈で見ていくならば、日本における在日韓国、朝鮮人の方々の問題ともどこかでつながることなのだと、私はこの研究を通して知りました。

  • 中国の学者有志が戦争反対の声明発表→まもなく削除され閲覧不能に

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年2月27日13時56分 投稿

    【視点】中国政府がロシア寄りの立場を見せるなか、香港での報道などを見る限り、中国国内の世論もロシアを支持する声が大きかったようです。インターネットを含む言論規制が厳しさを増すなか、敢えて明確にロシアによる戦争を批判する声明を出した学者たちの勇気に敬意を表します。台湾の報道によれば、発表後、声明には中国のネットユーザーから激しい非難や攻撃も加えられたそうです。 孫江教授は私にとって大学院時代の大先輩でもあります。すこしでも多様な声を発することのできる中国であってほしいです。

  • 「誰かが顔出さなくては」 ミャンマーと香港、在日活動家の覚悟

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年2月19日20時15分 投稿

    【視点】ミャンマーも香港も、急激な変化の中で現地にいる人が声を上げられない、声が届かない状況になりました。そんな中で、海外にいるミャンマー人、香港人の存在がますます重要になっています。ウィリアムさんやケンさんとは私も交流がありますが、危険を自覚した上での名前と顔を出しての活動には、心配もしつつ、敬意を抱いています。30年以上前から同じような境遇で日本で生きていたミャンマーの人たちの努力からも学ぶことは多いと思います。異郷で生活しながら活動することには、さまざまな困難があるはずです。名前も顔も出せないミャンマー人、香港人にとってもそれは同じです。これからも日本に来る香港人は増えていくことでしょう。隣人として生きていく彼らに、人権の問題、民主主義の問題として、日本にいる私たちが何をすべきか、何ができるか、考え行動し続けなければならないと思っています。

  • 監視におびえる暮らし 「自由」求めて故郷・香港から逃れる若者たち

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年1月22日20時20分 投稿

    【視点】注目の連載に香港人カップルが登場しました。改めて、ごく平凡な暮らしをしていた香港人たちが、いつの間にか故郷を捨てざるを得なくなっている現実に慄然とします。 同時に、香港のこと、そして香港人のことを伝え続ける海外メディアの存在はとても重要なのだと思いました。 日本でも香港からの移住者は増えています。私の身近なところにも、香港に帰ることは半分諦めている若い人たちがいます。慣れない土地で新しい生活を立ち上げ、なおかつ香港のために声を上げ続けようとする彼らを、日本に暮らす私たちとしても支援していくことはできないか、考える日々です。

  • ハムスターがコロナ感染、2千匹殺処分 香港「人にうつった可能性」

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年1月20日10時26分 投稿

    【視点】この一件は、香港市民の間では、ハムスターから人への感染の可能性ということ以上に、「可能性が排除できないという理由でハムスターを殺処分」という政府の決定のほうが衝撃を与えているように見えます。SNSには、ハムスターも同じ命なのに、という憤慨の声も多く、また、捨てられてしまうハムスターが増えそうなことから、遺棄されたハムスターを見つけたら助けよう、という運動も盛り上がっています。 動物愛護運動は19世紀のイギリスが先駆けですが、その時代から、動物愛護は市民社会の成熟と結びつけて唱えられてきました。香港でも、政府(や中国)にものを言いたいとき、しばしばそれは動物愛護の形で現れます。過去には、中国本土との直通列車を遅延させないためという理由でひき殺されてしまった犬のお葬式を市民が出したり、中国人観光客の子供を引っかいたという疑いを持たれた看板猫が保健所に隔離されそうになると、救出を求める署名活動が行われたりしたこともありました。最近では、警官に怪我を負わせたことをきっかけに野性イノシシの殺処分が行われた際に、やはり非難の声があがり、ネット上で反対署名運動なども行われました。今回の一件にも、それと似たような雰囲気があります。 市民のやり場のない怒りがまた一つ増えたのかもしれません。

  • 香港の民主派メディア、また活動停止 国安法で「理念達成できない」

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2022年1月3日21時20分 投稿

    【視点】立場新聞に続き、衆新聞も運用停止とのこと。こちらも個人的によく参照していたメディアでした。2010年代半ば辺りから、香港の既存メディアへの締め付けが徐々に厳しくなる中、大手メディアを辞したジャーナリストらが次々と新興ネットメディアに移っていきました。衆新聞にも、多くの優秀なジャーナリストが集っていました。香港ケーブルテレビで長年優れた中国国内の調査報道を担ってきた番組の担当者11名が、2020年12月、記者の集団解雇に抗議する形で辞職し、翌1月にそのうちの10名が衆新聞に転職、ネット上で中国報道を続けてきた、という経緯もあります。 これから、香港の情報も中国の情報もますます遠くなっていきそうで、不安です。 ただ、今の香港で、まっすぐに報道し続けることは、大きなリスクを伴います。会社に捜査の手が入り逮捕者を出す前に、自ら運用停止を選んだ衆新聞経営陣の判断を責めることは到底できません。記者たちの無事を祈るしかありません。

  • 香港でまた民主派メディア活動停止、警察摘発 リンゴ日報廃刊に続き

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年12月30日0時16分 投稿

    【視点】立法会選挙で議会から民主派を一掃し、民主派への弾圧も少し和らぐのでは、と期待していましたが、そうはならなかったようです。 リンゴ日報の次は立場新聞が取り締まりの対象になるだろう、と言われてはいました。2014年に立ち上げられたネットメディアで、2019年の抵抗運動の時、デモ隊と警察のせめぎ合いの現場を中継し続け、なおかつ民主派側に立った報道をしたことで一躍注目を浴びました。運動の沈静化後も、民主派の人々の裁判の様子などを詳報していて、私自身にとっても重要な現地情報源でした。 今回の逮捕は、香港警察の国安法部門による捜査ですが、罪状は香港の既存の法律に依っています。国家安全維持法の施行時期より遡って罪状を適用できるので、国家安全維持法本体を適用するより「便利」な方法になっているように見えます。既存の法律は、イギリス植民地時代の遺産でもあります。例えば、今回の逮捕の根拠となる刑事法例は、戦前の植民地政府への反抗に対応するために作られた法律です。イギリスを筆頭に、いわゆる「西側諸国」も、他人事ではないのです。世界が香港を見放してはならないと思います。

  • 消されゆく天安門事件の「記憶」 香港の大学で像や壁画が次々に撤去

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年12月25日20時24分 投稿

    【視点】天安門事件の記憶がまた、香港から消されました。今回の出来事は、大学が舞台だったということに、大きな意味があるように思います。 自由な香港の中でも、大学は特にリベラルな存在でした。今回撤去された国殤の柱にせよ、自由の民主の女神像にせよ、それぞれの大学の目立つ場所に堂々と置かれていました。大学の自立性や自由を象徴するものでもありました。特に自由の女神像は、返還後の2010年に紆余曲折のうえ、敢えて中文大学の敷地内に置かれたものです。大学にはそれだけのリベラルな雰囲気があったということでもあります。 それが夜中にひっそりと撤去されていったことは、単に天安門事件の記念品が取り去られた、という以上の意味を持っているように思います。

  • 「愛国者」だけの選挙戦に現れた「自称民主派」 しらけムードの香港

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年12月19日9時31分 投稿

    【視点】親中派しか勝てない制度を作ったのですから、結果の大勢は目に見えています。それでも今回の選挙が少しおもしろかったのは、中国政府が西側への体面上「多様な選挙」を演出しなければならなかったことかもしれません。投票率が低すぎてはいけない、でも白票ばかりになるのは避けたい、また、「自称民主派」が一人も当選しない事態も避けたい。市民には投票を呼びかける一方、白票の投票を呼びかけたとされる若者が汚職取締部門に逮捕される事件もありました。でも、投票への気運は盛り上がらず、林鄭行政長官はついに、「投票率が低いのは政府への信任の表れ」と言いはじめています。 今日の選挙がどんな結果になるか、楽しみではあります。

  • リンゴ日報創業者に4度目の実刑判決 天安門事件の追悼集会「扇動」

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年12月14日9時9分 投稿

    【視点】今回の裁判も、長年香港の民主化運動を支えてきた団体の幹部や個人を中心に、著名な民主活動家が裁かれた案件でした。 2020年6月に行われた追悼集会についてなので、国家安全法の対象ではなく、罪に問われた根拠もコロナ対策としての集会禁止令に反したから、となっています。裁判官は、「追悼よりも公衆衛生が大事だ」とし、市民への見せしめのために刑を重くした、と述べたそうです。でも、今回下された刑の重さ、そして今年の夏に、この追悼集会の主催団体そのものと幹部が国家安全法で逮捕されていることから見れば、本記事の分析にもある通り、今回の判決の意味は公衆衛生とは別次元にあることは明らかです。 黎智英氏は、記事でも取り上げられている手紙の中で、「もし天安門事件の追悼が罪だというなら、私はその罪を背負います」とも述べています。香港では天安門事件をきっかけに民主活動家が生まれ、民主化運動が始まりました。30年を超える運動に対する、中国政府による清算が続いています。

  • IOC会長、不明の中国テニス選手とオンラインで会話「自宅で元気」

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年11月22日10時2分 投稿

    【視点】この問題は彭帥さんが性被害を受けたと告発したことから始まっているのに、そのことは曖昧なまま、彼女の「無事」にIOCがお墨付きを与えた格好です。不可解でなりません。 中国で「敏感」な問題に触れた人物が消息不明になり、その後政府系メディアに現れることは、しばしばあります。そこで語られる言葉の内容は、よくよく吟味する必要があると思っています。問題の実態を明らかにする前に、事態の幕引きを図るような行為をIOCがすることは避けるべきでした。IOCにとってはやはり、選手より国家、なのでしょうか。

  • 「習近平同志のもとで団結を」 中国共産党が「第3の歴史決議」公表

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年11月18日23時32分 投稿

    【視点】今回の決議は、習近平政権の3期目への地固めという意味合いが第一なのは明らかなようです。 歴史決議と言いつつ、歴史に関する記述は極めて「簡潔」でした。オーソドックスな中国革命史観のようでいて「革命」への言及はやや抑制的(太平天国も義和団も「革命」ではなく「運動」と表現)、共産党史と中華人民共和国史の記述で登場する指導者は毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤だけで、周恩来も登場しませんでした。しかも江沢民と胡錦濤についての記述はほんのわずかです。 81年の歴史決議では、中国は多民族国家であり各民族の信教の自由を守る必要がある、という文言がありましたが、今回は「中華民族」が前面に押し出され、多民族性への言及はありませんでした。 また、近年の中国の統治方針として「法治」が強調されてきたので、それが強調されていたことは当然だと思いましたが、「徳治」という言葉が何度か出てきたことには少し驚きました。 中華民族の復興、強国、中国の夢、徳治……こうした言葉から垣間見える理想は近代以前の中華王朝の栄光なのではないか、とすら感じます。 この歴史決議がどれだけの歴史的意義を持つのか、今後に注目します。

  • 「時代革命」に衝撃、拍手 香港民主化運動描いた映画、東京で上映

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年11月7日19時14分 投稿

    【視点】私も観てきました。上映後に拍手が沸き起こり、ずっと止まなかったのが印象的でした。 2019年6月から2020年の国安法施行までの抗議運動の展開と、デモ参加者の心情が明瞭に伝わる優れた記録です。現場の緊迫感を体感しました。 監督は今なお香港にいて、朝日新聞をはじめ、各メディアの取材にも答え、発言し続けています。そうした監督の確固たる意思や香港人への希望が、作品にも表れていると感じました。徹底的にデモ参加者に寄り添い、喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く、そういう作品だと思います。 中国や香港では、当面上映されることは不可能でしょう。日本でもっと広く公開されることを願います。

  • カンヌで世界的話題に 香港民主化運動描く「時代革命」東京で上映へ

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年11月6日10時33分 投稿

    【視点】一度きりの特別上映ですが、上映できる見通しになって本当によかったです。カンヌ以来の上映国が日本になったのも、日本の人々の香港への関心が高いからこそと思います。東京フィルメックスの決断にも敬意を表します。 2019年の香港の運動について、評価はいろいろあるでしょう。でも、だからこそ、世界に注目されたあれだけの運動をきちんと記録し、公開することは、妨げられてはならないはずです。

  • 香港の国安法、国際団体にも波及 「活動不可能」アムネスティ閉鎖へ

    倉田明子
    倉田明子
    東京外国語大学総合国際学研究院准教授
    2021年10月27日0時2分 投稿

    【視点】アムネスティのこの決定に対し、林鄭月娥行政長官は、これまで様々な組織が国安法を理由に自分たちの決断の理由を説明してきたが、その言い方が正しいのかは誰にも証明できない、だから今回のアムネスティの決定についても何もコメントしない、と発言しています。撤退する理由はあくまでアムネスティ側の考えで、国安法が本当に関係あるかは分からない、というのです。 でも、警察や政府がその気になれば、いつでもこうした組織を随意な理由で国安法違反に問うことができることは、これまでの経緯を見ても明らかです。アムネスティが香港での自由な活動が実質的に不可能になったと判断したのも無理はありません。 こうした国際的な組織が香港から撤退し、国際的な監視の目が消えていくことが危惧されます。

コメンテーター一覧