宮坂麻子

宮坂麻子みやさか あさこ

朝日新聞編集委員=教育・こども
関心ジャンル:教育子育てIT・テック

最新コメント一覧

  • グーグルの個人情報「記憶の全て見てる感覚」 記者が12年分を入手

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年6月15日11時12分 投稿

    【視点】 国で「教育データの利活用」の議論が進んでいます。公立学校でも子どもたちの学習や生活のデータを収集・活用し、教育や指導に生かしていこうという動きです。「データが残る」「どう使われるのかわからない」という漠然とした不安から、懸念の声があがっています。  今回の記事を読んで、「ここまでデータが取られているのか」と驚いた人は少なくないでしょう。私自身も、その1人です。自身のデータが収集され、活用されていることはわかっていても、どこまで、どう収集されて、どう活用されているのかまで、詳しくは知りませんでした。「だから、怖い」で終わってしまいがちですが、まず、きちんと知ることが大切ですね。  特にこれからのデジタル社会を生きる子どもたちには、自分のデータがどう収集され、どう活用されるのかをきちんと理解し、この記事で言えば「鏡」であることはもちろん、「鏡の裏側」の仕組みもある程度理解した上で、自分なりの上手なデジタルとのつきあい方、身の守り方ができる大人に育てる教育が必要だと痛感します。子どもたちの端末やスマートフォンの使い方もよく問題になりますが、幼児のハサミと同じで、遠ざけて触らせないのではなく、触らせて、よい面も危険な面も教え、上手な使い方ができるような方向に大人たちはベクトルを向けていかないといけない。問題はそれをだれがやるのかです。ただでさえ多忙な学校現場にすべて任せて、何かあったら批判するのではなく、家庭も、社会全体でも、大人たちみんなで考えていかなければならないのではないでしょうか。  高校では、新課程の「情報Ⅰ」の授業も春からスタートしています。データサイエンスもこれまで以上に詳しく学びます。データを収集・活用する側の、国や民間企業なども、できるだけわかりやすく開示する。特に教育データについては、子ども自身がどう使われているかわかるような工夫もして欲しいです。それが、未来の子どもたちへの教育につながるのではないかと思います。 

  • 浪人はもう当たり前じゃない? 駿台「役割終えた」首都圏の校舎閉校

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年6月13日9時51分 投稿

    【視点】 いまの高1から順次、新学習指導要領に変わり、新科目になるため、すでに高2生の間では「浪人したら大変」という声があがり始めています。もちろん、大学入学共通テストでは、既卒者(旧課程履修生)に対しての経過措置が取られますが、それでも受験生にとっては嫌なものです。現役合格を重視した「安全志向」の波がまたやってきそうです。一方で、少子化により、難関私立大や地方公立大でも、倍率が来年もやや下がりそうな予想があります。そうなるとさらに浪人回避が広がるでしょう。  大学名で人生が変わる時代ではもうありませんが、大学時代に学んだ内容や学ぶ環境は、人生にとっては大切。すでに取り組んでいる高校・予備校もありますが、偏差値の高い大学をめざすための浪人ではなく、自身の興味のある分野、夢につながる分野をめざす浪人生を応援する指導システムをより充実して欲しいです。 

  • 体育・部活・登下校時は「マスクを外す指導を」 文科省が全国に通知

    宮坂麻子
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    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年6月11日8時48分 投稿

    【視点】 マスクを外せない、外したくない子どもたちもいることを忘れないで欲しい。  例えば、いま、小学1年生の子どもたちは、ものごころついた時から、マスクをするよう言われて続けて育ってきた。人が行き交う場、集団生活の場、外で遊ぶ時でさえマスクをあたり前のようにつけていた。いきなり、「外そう」と逆のことを言われても、喜ぶ子ばかりではなく、マスクで顔の半分をおおえないことに違和感や戸惑いを感じる子もいる。国の指導があったからといって、「全員外しなさい!!」と学校で一律の指導されれば、マスクをつけていたい子が「つけてちゃいけないんだよ!」とほかの子どもたちから非難されることにもなりかねない。家族に医療関係者や感染リスクの高い人がいる場合も、まだあるだろう。熱中症予防という意味は理解できるが、「外していいんだ」と安心できない子どもたちへの配慮もぜひお願いしたい。  実は、マスクについては、コロナ前から学校現場で変化がおきていた。インフルエンザ対策などで、風邪をひいていなくてもつける子たちが増えた。そのうち、春夏でも教室でマスクをつけている子を見かけるようになってきた。コミュニケーションが苦手な子や、不登校ぎみになってきた子の中には、マスクをつけたり(私服なら)フードをかぶったりしていると安心できる子たちがいるからだ。これは中学、高校生、大学生も同様だろう。  個に応じた教育(教育の個別最適化)が叫ばれる時代だからこそ、マスクをつける・つけないも、それぞれの子の特性や事情に応じて柔軟に対応して欲しい。

  • 子どもの変調、アプリで把握 岐阜市が全小中校で実施へ

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年6月9日20時1分 投稿

    【視点】1人1台の端末が小中学生に配布され、国でも、教育のデータ利活用が議論される中、学校現場で、子どもの毎日の様子の変化をデジタルデータで捉え、生活指導などにいかそうという動きが、少しずつ広がり始めている。教師の勘だけに頼らず、データで裏付けしたり、きっかけを見つけたりすることは、特に経験の浅い教師には有効だとされる。ただ、カギを握るのは、むしろその後の対応の方にある。いろんなデータが集まるだけに、指導方法を間違えれば、逆にいじめや不登校を生み出すことにもなりかねない。アプリの導入により「こうだったらこう」というマニュアル的な対応に進むのではなく、聞き取りや指導の方法も蓄積、共有して、目の前の子どもにあった対応策を考えて欲しい。

  • 菅前首相の高校講演が中止に 参院選直前、18歳への影響懸念する声

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年6月9日19時43分 投稿

    【視点】 教師の方々にお願いしたい。こうしたニュースをきっかけに口をつぐむのではなく、むしろこうしたことを授業の教材にして、議論して欲しい。  6年前、「18歳選挙権」ができた最初の国政選挙で、高校生たちを取材した。「選挙権はできるのに、どう選べばいいのか学校では教えてくれない。先生に聞いても何も言ってくれない」「情報が少なすぎて、誰に投票していいかわからない」……。そのころ高校現場では、政治的なことに触れるなと教師たちは厳しく言われ、これまでやっていた授業もできなくなったという人さえいた。  いま、ロシアによるウクライナ攻撃でも、同様のことが学校で起きていると感じることがある。ウクライナ攻撃の前に、ウクライナの子どもたちと交流授業をしていた学校があった。ところが、取材を申し込むと、政治的なことに学校が関わっていると思われるので……などとして、授業をしていたことさえも話せないと言う。  今回の記事の件も、問題はもちろんある。ただ、何かがあるたびに「政治的なことは……」と口をつぐんでは、主権者は育たないと思う。誘導するのではなく、自ら情報を取りに行き、考え、判断できるような教育をめざして、こうした生のニュースを教材に議論を深めてほしい。

  • 「もうギリギリ」 対面授業に踏み切った大学 背中を押したもの

    宮坂麻子
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    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年6月9日19時0分 投稿

    【視点】 「コロナで、人と人が対話でつながって学ぶことの大切さを改めて痛感した」と、よく学校関係者から聞く。教育の取材を続けているとその通りだと思う。ただ一方で、オンラインか対面か、どちらかだけが「正解」のような議論は、もう時代に即していないとも思う。  取材の中で、大学生に聞くと返答は様々だ。 オンラインと対面を併用している大学のある学生はこう言う。「1限と4限は対面。でも2、3限はオンライン。途中で家に帰るのも嫌だし、2、3限は、結局、大学の教室でみんなでオンライン授業を受けていて、感染対策の意味がない。全部対面にして欲しい」  今回の記事のように、入学して2年間、オンライン授業ばかりで友達もなかなかできず悩んでいた学生は「一緒にご飯食べたり、集まって課題解いたり話したり、そういうことで仲間ができる。ひとり暮らしの学生は特に仲間が欲しい。対面になってよかった」と喜ぶ。  聴覚過敏のある学生を取材した際には、「人の声をイヤホンで聞くのは耐えられなかった。対面がいい」という声もあれば、「対面だとガヤガヤした教室の雑音が気になって集中できないから、オンラインの方が集中できる」という声もある。  授業についていけず「オンデマンドはわからないところが繰り返し見られるからいい」という学生もいれば、朝起きられない障害のある学生やバイトで夜遅くまで稼がなければならない学生は「朝から大学に行かず、自宅で見ればいいオンラインの授業は助かる」。「発熱者が出た」というたび、活動を一時中止せざるを得ない部活の学生は「対面がいいけど、陽性者が出る可能性も高くなる。どっちもどっち」……。  授業は、一律の形式でなければならないのか。この記事の最後の一文にあるように「授業内容」での使いわけもあるだろうが、学生がそれぞれに適した授業方法を選択できるような環境はつくれないのだろうか。

  • ファイルのアップに格闘1時間 デジタル化、相談所に教員の悩み続々

    宮坂麻子
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    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年5月23日9時7分 投稿

    【視点】 「GIGAスクール構想」以前から、学校現場で端末などICTを採り入れた授業を見てきた。目の前の子どもたちの様子をよく見て、その子たちにあった授業方法を模索してきた教師ほど、端末をうまく使うというのが、私の印象だ。「こんなことができたらおもしろい授業になるかも」「この子にはこんな方法があったら」……日々、考えてきた教師は、子どもに役立つかもしれない新たな道具を一つ得れば、使い方がよくわからなくても「使ってみよう」となる。端末を使うことが目的ではなく、端末でやりたい教育を実現することが目的だからだ。  こうした意欲ある教師にとっても、周囲の教師には尋ねづらいような教師にとっても、この記事のような支援センターは、ありがたい存在だ。ぜひ、問いあわせをすること自体が苦痛にならないよう、気軽に問いあわせできる環境を整えてほしい。   もう一つ。最近の学校でよく見かける風景は、教師と子どもの端末活用の「学び合い」だ。授業中の端末トラブルで、詳しくない教師はどうしていいかわからなくなり、「だれかSOS!」と叫ぶ。すると、パソコンやプログラミングに詳しい子が「こうしてみて」と指示したり、パッと前に出て教師の端末を操作したり。授業後も教師と子どもでよりよい方法を探るような姿も見られる。「この子たちが私の先生」と教員が言うと、通常授業ではあまり活躍しないその子たちが笑顔になる場面もあった。支援センターも活用しながら、教師同士、教師と子どもの「学び合い」も広げると違う効果もありそうだ。  また、これから子ども同士で端末を使って探究活動やプロジェクト学習をする場面も増えていく。子どもは習得が早く、勝手に活用の幅を広げていく。曜日などを限定して、「子ども向け支援センターの日」も設ければ、大人たちが思いもよらなかった子ども主体の学びが、さらに広がるかもしれない。

  • コロナに襲われた共通テスト初年度 入試センターが使った「奥の手」

    宮坂麻子
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    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年5月9日11時13分 投稿

    【視点】  今年の大学入学共通テストの不正事件の際に、東京工業大の阪口啓教授(無線通信工学)からお話をお聞きし、記事にさせていただきました。(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15185402.html?iref=pc_ss_date_article)  2011年に京都大の個別試験で、受験生が携帯電話(ガラケー)からネット掲示板に試験問題を投稿し、解答を得る事件が起きました。その京大の不正事件を受けて、試験会場で携帯電話が使われた座席を特定するシステムの開発に取り組んだのが、阪口教授です。ただ、システム導入の費用が高額すぎて普及はしなかったそうです。  スマートフォンやスマートウォッチの普及などを受け、京大は16年の入試から、受験生個人の時計の使用をすべて禁止。100以上の各試験室に電波時計を設置しました。阪口教授は、メガネのように装着するカメラ機能付きの「スマートグラス」や「スマートコンタクトレンズ」など、端末の開発は急速に進んでおり、共通テストに限らず、「不正を見抜くのは限界がきている」といいます。そして、「近い将来、厳格な1回だけの筆記試験を課す入試形式を見直す必要が出てくるのではないか」とも、おっしゃっています。  入試では、受験生のどういう力を、どういう出題で測るか、に注目が集まりがちです。でも、国際的な学力テストなどもCBT(コンピューターで行う方式)に移行し、日本の学力調査もCBT化が議論されています。  一方で、偏差値が高いとされる難関大学を卒業すれば生涯安泰な時代でもない。少子化で、留学生をたくさん受け入れなければ大学側の経営も立ち行かなくなるなどの課題もある。専門家だけでなく、高等教育にかかわるみんなが、国際化・情報化の波の中で、技術面も含めて「日本の大学入試とは」と真剣に考える時期に来ていると思います。

  • 連休明け「保育園、行きたくない」 医師に聞く、親がかけるべき言葉

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年5月9日10時18分 投稿

    【視点】 連休中、子どもとの時間をたくさん過ごした保護者の中には、楽しめた一方で、疲れてしまった人もいるかもしれません。そんな朝に、「行きたくない」「頭痛い」などと言われると、ついイライラしてしまう。私自身も、長い休み明けには、子どもの声に耳を傾けず、無理やり送り出してしまった経験があります。  でも、長い休み明けは、大人でも仕事に向かう足取りが重くなる人もいる。子どもたちだって同じです。コロナ禍の休校で、登校できなくなった子どもたちがいるように「行きたくない」「行けない」が長期化する可能性もあります。  この記事にもあるように、まずは、親の方が深呼吸して、感情的にならずに子どもと向き合ってみましょう。以前、取材した保育園の園長は、「もう1日休ませて、公園などに連れて行ってもいいですよ。休日とは違う風景であることに子どもも気づきますから」とアドバイスされていました。  あと、もう一つ。保育士や教員たちも、連休明けは大変であることを、保護者側も少し気にとめておくといいかと思います。連休明けの保育園・幼稚園や小学校は大変で、特に小学1年生は「4月最初に逆戻り」とおっしゃる人もいます。疲れが出て眠そうな子、落ち着きがなくなった子、体調不良を訴える子……いろんな子どもたちに対応しながら、運動会など春の行事や本格的な学習に向けて動かなければならない時期です。つい、きつい言葉をかけてしまう人もいるかもしれません。  子どもの心や体の状況に目を配りながら、大人同士もうまくコミュニケーションをとって、日常に戻していけるといいですね。

  • 分数割り算でつまずいた私 大人になってわかった「今じゃなくても」

    宮坂麻子
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    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年4月27日18時56分 投稿

    【視点】 《「なぜ?」という疑問が多い子どもで、例えば、分母と分子をひっくり返す理由を先生に聞いても「そういうものだから」と言われ、全く納得できなかった。公式にただ当てはめることに、すごく抵抗がありました。……》  小学校を取材していると、同じような話をよく聞きます。「なぜ?」は、学びには、とても大切な出発点で、学びの場である学校では本来、歓迎される言葉であるはず。でも、それを口にすることで教師からは「授業を乱す面倒な子」と見られて発言を制止され、やがて周囲の子どもたちも異質な目で見るようになり、ひどい場合はいじめにつながります。「なぜ?」を「すごいね」と受け止め、そこから次の学びへ広げてあげられる教師が近くにいたら……「なぜはいいことなんだ」という空気が子どもたちにも広がるでしょう。授業後でもその子の疑問に向き合ってあげる時間的な余裕が教師にあったら……その子はまた違う才能が開花したかもしれない。  ストレスを抱えてまで、日本の教育のルートに乗る必要はない。とはいえ、田中さんのように海外で学べる環境にある人は少なく、新たにできてきている多様性を尊重する学校は、学費が高く一定層しか通えない現状があります。  国民の学力を底上げして、生産性につなげる時代はもう終わろうとしています。公立にも、もっといろんな学校があっていいはずです。好きな教科だけ突き詰める子も、のんびり屋さんも、「なぜ」「なぜ」を繰り返す子も、自分の学びを深め、可能性を広げていける、様々なタイプの公立学校が、小学校段階から必要になってきているのではないでしょうか。

  • 初音ミクの動かし方、国宝の詫び状、ローン返済… 変わる高校教科書

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年3月30日12時13分 投稿

    【視点】 今回の新しい高校教科書でも「探究」が重視されている。単なる知識の詰め込みに終わらず、「探究」して、社会課題にも向き合っていくという方向性は理解できる。ただ、気になるのは、教師側の力量だ。  講義して板書し、ノートにまとめさせる授業は、しっかりした解説書や指導書があればなんとかなる。だが、目の前の生徒たちの考えを聞きながら、課題をみつけ、探究していくという授業は、教員側に幅広い専門知識や教養があるか、さらに深める方向に生徒たちを導けるかなど、教員の持って行き方によって、かなり左右されることになる。毎年、同じ内容というわけにもいかないだろう。  大学入学共通テストも、論理的思考力から読解力まで、様々な力が求められ、どんな授業を受けてきたかが結果に響くと、予備校講師らも指摘している。  教科「情報」など、どんどん必要な知識が変わっていく科目もある。教師側も、生徒とともに楽しみながら学びを進め、新しい教え方を模索していくことが求められる。

  • 「陽性でした…」担任の女性が泣いて報告 感染拡大で綱渡りの現場

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年2月8日19時22分 投稿

    【視点】 オミクロン株による感染第6波に襲われている学校現場からは、「教員がいなくなったら授業はできない」という切実な声が聞こえてくる。教員が感染した場合や学級閉鎖になった場合はもちろん、教員の子どもの通う保育園に感染者が出て休園になった場合、教員の子どもの学校で感染が広がり子どもが陽性になった場合、妻も教員で妻が学校で感染した場合など、教員が出勤できない要因は様々だ。ある学校では「いっそ短期間でも休校にした方が、ほかの教員も休まるのでは」という声も聞こえる。  この記事では、対面とオンラインのハイブリッド型についても触れられているが、例えば、コロナ禍の海外のボーディングスクールなどでは、生徒は学校の教室にいて、教員は自宅からオンラインで、教室のスクリーンに登場して授業をする、という学校もあったと聞く。学習効果がどれほどあるかは別として、代替教員が満足に確保できない今の日本の学校の現状では、一時的な柔軟な選択肢の一つとして、こうした方法もあるのではないかと思う。感染した場合やお子さんが感染した家庭などは、もちろん難しいだろうし、低学年のクラスでは無理なので、ケースバイケースだが。  教員の置かれた環境も、保護者の求めることも、様々だ。いろんな選択肢を用意しておくことは、コロナに限らず、これからの学校現場には必要に思う。

  • 中学受験、合否発表から始まる親の新たな役割は おおたとしまささん

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年2月8日17時26分 投稿

    【視点】今年も首都圏の中学受験が終わろうとしています。コロナ禍でも、全体の中学受験者は昨年同様に増えると見られていましたが、さて、実際、どうなったのか。  中学受験者が増える要因の一つとして、近年は、中学受験の目的が「いい大学に入るため」ばかりではなく、「より豊かな中学高校時代を送りたいため」という方向に変わってきているように思います。中高でいろんな経験をして、その中から将来進む道、大学での学部などを決めていく。  結果がどうあれ、合格した学校が自分を招いてくれた、自分にあう学校です。そこで予想もしていなかった、違う何かが見つかるかもしれない。このおおたさんの「必笑法」にもある通り、受験は次への成長への一歩、「プロローグ」です。中学受験だけでなく、これから入試にのぞむ、高校生、大学生もそう思えたら、合格発表の日の空が、また違ってみえるかもしれません。

  • 家は洋式、でも学校は和式4割 「きれい」求め、コロナ禍で洋式化へ

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年2月8日16時7分 投稿

    【視点】夏休み前や入学式前になると、都内の駅などの公衆の女性トイレで見かける光景がある。幼児を連れた母親が、和式トイレに子どもを連れていき、「学校に入ったらこういうトイレなんだから、練習しないと」「キャンプに行ったらこういうトイレしかないんだって」と、嫌がる子どもに、和式トイレの使用方法を教えるのだ。確かに、野外のキャンプ場や公園では、洋式のトイレがないところも、まだ多い。和式トイレの使い方を教えるのは、学校の役割ではないだろう。ただ、家庭でできるかといえば、周りに洋式トイレが増え、なかなか教える環境もない。大人たちも、最近では和式を避け、混んでいる女性トイレに入っても、和式だけは空いていることがよくある。子どもは大人の鏡だ。学校が、すべて洋式になったら、「和式は古いもの」「嫌なもの」というネガティブな印象が、さらに強くなるかもしれない。  学校も、インクルーシブ教育が進む中で、トイレの段差をなくしたり、車いすで入って車いすから洋式の便座に移動できるように個室を広くするような改良は不可欠だし、どんどん進めるべきだと思う。最近では、ベッドを個室内に設置したトイレがある学校もあるという。ただ、一方で、学校も含め、子どもたちがいる場所から和式を全廃してしまって本当にいいだろうか。教育のために、学校に一つぐらいは残しておいてもいいと、トイレットペーパーではなく四角い「ちり紙」を知る私は、思ったりもする。

  • 特異な才能ある子支援へ有識者会議 東大教授、悔やむ「線引き」

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年2月1日17時32分 投稿

    【視点】 東大のROCKETをはじめ、特異な才能を持つ「ギフテッド」の子どもたちを多く取材してきました。おおたさんもコメントしていらっしゃいますが、彼、彼女らは、接する教員や大人たちの見方によって、「問題児」にも、「天才児」にもなります。  ある小学校の教室では、算数の時間に、1人、問題集を黙々と解く子がいました。かなりハイレベルの問題集で教員が与えたといいます。「その子の力を伸ばすために」ではなく、「答えをすぐ言ってしまうので、黙ってもらうために」という判断でした。日本の教育は、子どもたちの多くを「中位」に保つには、とても効果的な教育だと思います。一方で、「平等」「みんなで」を重視しすぎてきたために、「みんなで」の枠に入り切らない子どもたちは、放置されるか、問題児扱いされるか。ギフテッドの中には、得意なことと苦手なことの凸凹が大きく、凹の部分が目立つために、注意され続ける子もいます。教師が問題児として注意すれば、周囲の子もそういう目でみるし、親も肩身が狭くなる。結果的に不登校になってしまったり、せっかく才能があるのに自尊心をなくしてしまったり、大人や社会自体に不信感を抱く子も少なくありません。  子どものいいところをほめよ、とよく言われますが、「いい」の判断をするのは大人たちです。ある小児精神科医から聞いたことがあります。ギフテッドで心が病んでしまった子には、自由な校風の進学校に早く入れることを進めていると。入学した子の多くは、これまでの学校へのストレスが噓のようになくなり、毎日元気に登校するそうです。飛び級も、小中高校生が大学で授業を受けることも認めていけばいい。どんな特性の子も、どんな異才の子も、この世の中いろんな人間がいて、だれもが輝ける社会にすることが大切なんだ、と教えることが、大人の役目ではないでしょうか。      

  • 中学受験、直前や当日に親がかけるべき言葉は おおたとしまささん

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年1月27日2時3分 投稿

    【視点】 「どんな結果になっても、この子はこの先、生きていける」―。おおたさんがおっしゃるように、入試前に親の方がそういう心持ちでいることは、合否にかかわらず、その先の子どもも、家庭も、幸せにすると思います。  中学入試や高校入試の試験会場に、毎年のように足を運んでいますが、近年印象的なのは、両親で付き添っていらっしゃる姿です。両親とも緊張した面持ちでお子さんにたくさんの事を伝えて送り出す家庭もあれば、門まで送って「はい、いってらっしゃい!頑張ってね!」と背中をポンとたたき、ご夫婦とも笑顔で手を振り、近くのカフェへ向かう家庭もある。両親が重圧を感じている姿を見せると、子どもはそれ以上のものを背負い、不合格になったら自分を責めることになりかねません。  そろそろ、意識的に親の方が肩の力を抜いてみませんか。校長インタビューで何人もの方が、おっしゃいました。「合格した学校が、その子に最適な学校です」

  • 進化する電子機器、不正受験を防げるのか 電波遮断は「コストが…」

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年1月27日0時20分 投稿

    【視点】 この記事にもあるが、カメラも端末もどんどん「進化」していく中で、受験生のモラルと、持ち込みの規制、監督官の監視だけで、こうした不正が今後どこまで防げるだろうか。実際、今朝の朝日新聞デジタルの配信記事でも、入試会場への全ての電子機器の持ち込みを厳しく規制している韓国で「電子機器の所持」が60件近くあったとある。過去には、シャープペンに超小型カメラを仕込んだ事例もあった。  情報化が進む社会で、方法も変わっていく。だが、入試のために、多額の費用をかけてまで、電波遮断や通信特定のシステムを導入する必要があるかと問われれば、NOだろう。かといって、罰則強化による抑止も、受験生の将来を考えれば良い方法とは思えない。  これは、GIGAスクール構想で、対応に追われる教育委員会にも共通しているように思う。小中学校で1人1台端末が配布され、動画サイトの視聴などの制限をかけても、子どもたちの方はその制限をうまくかいくぐり、見てしまう。「子どもたちの方がうわ手で、違う方法をどんどん見つけてしまう……」と嘆く校長もいるが、規制とその網をかいくぐるイタチごっこだ。  今後はもっと様々な機器やデジタルにたけた受験生が増えるだろう。入試関係者の中には、「総合型選抜など選抜方法も多様化し、大学入学の基準となる『ものさし』自体が明確ではなくなっている。そんな中で、50万人に一斉に1点刻みの試験をすること自体に矛盾があるし、限界がある」と指摘する人もいる。今年は共通テストの朝に殺傷事件も起きた。受験を乗り越えて得られるものももちろんあるが、「入試はあくまで人生の通過点」と受験生が広い視野でとらえられるような教育と大学入試制度が、より求められるのではないだろうか。

  • 「自宅学習します」鳴りやまぬ電話 休校・学級閉鎖相次ぐ現場は

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2022年1月26日20時16分 投稿

    【視点】 休んで自宅にという家庭と、休ませたくないという家庭……。家庭の考え方だけでなく、家族の感染状況や、家にだれか大人がいるかなど、置かれた家庭環境によっても、学校に求めることが分かれる。感染急拡大の中で、家族が濃厚接触者などで自宅待機になるケースが相次いでおり、子どもたちも自宅にいれば安心というわけでもない面もある。対応に苦慮している学校の話が聞こえてくる。  とはいっても、まもなく学年末。成績も入試もある。現場は大変だが、オンラインと対面の両方をうまく使いこなしながら、柔軟に学びを進めていくしかない。  ぜひ、オンラインと対面の併用の授業の在り方を模索してほしい。地方も含めて各地で、教師たちが自主的に、コロナ禍のオンラインの授業方法を話しあう小さなネットワークが生まれつつあるようだ。話を聞くと、全員対面、全員オンラインなら、教師側も子ども側もやりやすい。だが、クラスの中に同時に、オンラインと対面との両方の児童生徒がいる併用型の授業は、対話重視で子どもたちの意見を救いとろうとする教師ほど、難しくなる。だからといって、黒板の前で説明を続けるだけの一斉授業にしてしまうと、理解できる子とできない子、集中力が続く子と続かない子で、大きな差が生まれてしまう。  学校現場は大変。対面授業のよさもよくわかる。ただ、コロナ禍になって早2年。文部科学省は、公立の小中学校のほぼすべてに端末が配備されたと発表しているのに、いまだにオンライン授業さへ展開できない学校も多いのは残念だ。これから温暖化で災害も増えると言われている。どんな時も、すぐにオンライン授業に切り替えられる態勢とともに、各家庭の判断にあわせて、オンラインも対面も併用できる環境は、これからますますのぞまれるのではないだろうか。  

  • 国立大受験生に「情報」課す方針 国大協理事会が了承 1月に決定へ

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2021年12月23日11時41分 投稿

    【視点】「情報の授業について講演してもらえる方を紹介して欲しい」という連絡が、夏ごろから入ってくるようになりました。情報教員の採用が少ない地方からです。各地で教科「情報」に目を向けた準備が進んできています。  出口の入試を変えることで教育を変えるように仕向けていくという方法は、本来あるべき姿とは思えません。ただ、2003年度に教科「情報」が普通科でも必修になり、すでに20年近くたつというのに、慌てなければならない各地の状況をみていると、入試から変えて「走り出しながら整えていく」のも致し方ないのではないかという思いも持ちます。  情報系はもちろん、工業や商業など専門学科・総合学科の高校では、以前からきちんと教育している高校も少なくありません。また、中高一貫校では、GIGAスクール構想以前から端末を生徒に持たせて授業をしている学校も目立ち、コロナ下では生徒主体でオンライン文化祭などを行うニュースもあちこちから入ってきました。大学では、1年生向けのデータサイエンスの入門講座は予想以上の人気だと聞きます。文系理系を問わず、また、大学進学しない生徒にとっても、最低限の情報の知識があることは社会で無駄にはならないでしょう。  高校の教員配置を含めた環境整備は急務ですが、もう一つの課題は、中学の技術科の授業です。高校で取材をすると、公立中学ですでに、プログラミング言語のPython(パイソン)やマイクロビットなどを使った授業を受けてきたという生徒もいれば、情報分野は教科書を読んだだけでパソコンも触ることなく終わったという生徒もいて、高校の先生たちからは「同じ地域でも、中学によって受けてきた教育に大きな差がある」という声も聞きます。生徒の将来をひらくことを中心に据えて、現場の意見も聞きながら柔軟な発想で教育環境を整えてもらいたいです。

  • 「子どもは家庭でお母さんが…」 こども家庭庁を選んだ政治家の意識

    宮坂麻子
    宮坂麻子
    朝日新聞編集委員=教育・こども
    2021年12月21日10時17分 投稿

    【視点】 子どもに関わる問題はどんどん複雑になっており、ここからは「家庭」、ここからは「学校」という線引きは、難しくなっています。今回の議論では、いじめや虐待などのケースが挙げられていますが、例えば、SNSやネットによる子どものトラブルでも、町田市の事件のように学校の貸与端末で同級生とのトラブルとなれば学校が対応するのでしょうが、自身のスマートホンによる学校外のトラブル、ゲーム依存などの問題は、どこが対応するのか。こども家庭庁と文部科学省はもちろん、他省庁との連携も不可欠です。  また、物理的、精神的に「家庭のない子」「家庭を居場所にできない子」ももちろん居ますが、共働き世帯があたり前の中で、時間的にも「家庭教育」だけで子どもの問題を解決することが難しい現実があります。  「こども家庭庁」には、「名称」に「家庭」という言葉がついたことで、対応する問題の幅が狭められることがないようにしていただきたい。どんな子の問題も、「これはうちの所管ではない」とたらいまわしされることなく、現代の子どもを取り巻く環境に応じた、子ども中心の中身のある施策を期待します。

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