長島美紀

長島美紀ながしま みき

SDGsジャパン 理事
関心ジャンル:環境働き方ダイバーシティーSDGs人権

最新コメント一覧

  • 「政治に関心持たず生きていける国は良い国です」自民・麻生太郎氏

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年7月2日9時33分 投稿

    【視点】麻生副総裁、あなたの仰る「政治に関心を持たなくても生きていけるというのは良い国」というのは本当にその通りです。安全保障や経済問題、社会保障や子どもの教育問題に関心をもたず、日常を暮らしていける、こんな良い国はありません。 ただし、政治への関心もなく、何も考えずに暮らすには条件があります。 日本で暮らすすべての人が、誰一人取り残されず最低限度の生活が保障され、権利が侵害されたときには救済される。社会保障や教育投資が適切に実施される。若者が将来への不安や気候危機を感じずに済むよう対策がきちんととられている。安全保障や憲法改正に関する議論が多数決で一方的に決まるのではなく、多様な議論が展開された上に最終判断される。議会の場で熟議が行われている。そんな条件を(ほかにもまだありますが)満たした上であれば、政治に関心がなくても当たり前かもしれません。 大学の講義で受講生に「あなたの死ぬまでの人生プラン(希望も含め)」を書いてもらったら、「何も考えず可愛く生きたい」とコメントした学生がいました。そう、何も考えずに生きていければこれほど楽なことはありません。でも、「かわいくおバカなキャラ」で生きるにはタイムリミットがあります。おバカキャラで売っていたタレントも、数年たつと時事問題や家事育児について冷静に語るようになります。人は、生きていく限り、様々な段階で、仕事、家事育児、介護など様々な問題に直面します。その度に、私たちは「わたしの問題」と思っていたことが実は「わたしたちの問題」であり、政治とのかかわりを意識するようになるのです。 麻生副総理、繰り返しですが、何も考えずに生きていけたらこんなに楽なことはありません。でも、そうではないから、私たちは考え、そして投票に行くのです。

  • 男性育休9カ月希望、面談で上司が放った許せない言葉 妻は激怒した

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年6月29日9時46分 投稿

    【視点】記事を読んだ初めの感想は、「この上司、XXだな」のひと言でした。 記事から連想したのが、尾崎衣良さんの漫画「深夜のダメ恋図鑑」に登場する、子育てをしている共働き夫婦の話でした。エピソードでは育児と家事はほぼすべて女性側に負担となっている状況が描かれているのですが、その後夫が「今度もし2人目ができたら育休取ろうと思う」という発言に対し、妻が、そもそも夫がこれまで家事育児ができていない状況で休みを取られても「子どもに加えて夫の世話がプラスされるだけ」として、「育休とかマジでいらない」「育休より定時で帰ってくれる方が助かる」とコメントする場面があります。私の周りでもドヤ顔(をしているであろう文体で)育休を半月ほど取ったことをわざわざSNSで宣言(自慢?)する同世代の男性たちがいますが、子育ては2週間だけ終わる訳ないだろう、と突っ込みたくなります。 記事の男性は9ヵ月、子どもを保育園に入れる予定の来春まで、夫婦2人で育休をとるとのことで、性別に関係なく子どもが1歳になるまでは育休取得が可能とする育児・介護休業法に則れば、男性にとって当たり前の権利です。にも拘らず、記事の男性が育休明けの閑職に回されるのでは、と不安を抱えざるを得ない状況は、育休明けの女性が職場復帰した際、自分の意思とは関係なく出世コースから外れてしまう、所謂「マミー・トラック」と同じ構造が見て取れます。 日本では男性の育休取得の低さに加え長時間労働、有給取得率の低さなどが指摘されていますが、背景のひとつに(生産性が低くても)会社に長い時間いることが評価され、休みを取得することが「周りに迷惑」として忌避されてきたこと、そして記事にある「男性は仕事を家庭より優先すべき」という固定化された性別役割の意識です。これは男性に限らず女性にも強いことが指摘されており、昨年内閣府で公表されたアンコンシャスバイアスに関する意識調査結果では、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」(男性50.3%、女性47.1%)、「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先すべきだ」(男性29.8%、女性23.8%)、「家事・育児は女性がするべきだ」(男性29.5%、女性22.9%」という結果が紹介されています。女性が家事育児をして男性が職場で働く、戦前で言う「銃後の母」の構造と変わらない現状があります。 家庭を巡る状況は多様なのに未だに昭和の価値観が見られると指摘したのは先日発表された「男女共同参画白書」ですが、価値観をぶち壊すためにはロールモデルの存在は必須です。この記事を読んで9ヵ月の育休を選択した男性に続く人、そして部下の決断を支える管理職が、現れることを期待したいです。

  • 「安全な中絶は女性の権利」 配偶者同意なくして 8万人の署名提出

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年6月28日11時59分 投稿

    【視点】つい先日アメリカの最高裁で人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」を覆した判断が出され、カナダのトルドー首相、フランスのマクロン大統領、WHOのテドロス事務局長らが相次いで「中絶はすべての女性にとって基本的な権利」と判決を批判するコメントを出す中で、日本で提出された署名です。 そもそも日本では年間約15万件の中絶が報告されていますが、その大半は搔爬法という方法が取られています。しかし1980年代に生まれた経口中絶薬については、約70カ国で承認されているほか、WHOでお安全な中絶法として経口中絶薬を推奨、搔爬法は子宮内膜を傷つけるリスクがあり「時代遅れ」とも指摘しています。その意味でまず経口中絶薬が国内で承認されること自体はまずは歓迎すべきですが、配偶者の同意を必要とすることは記事にあるように、ナンセンスです。配偶者同意を得られないために、海外の通販サイトで中絶薬を購入することも生じるかもしれませんが、その場合安全性や処方の正確な知識がないまま服用し、母体に影響が起きることも懸念されます。 かつては妊娠した女性の配偶者は一人で離婚も死別も想定しなかったかもしれませんが、現在は多様なライフスタイルがあり、10人の女性がいたら10通りの生き方、そして配偶者との関係があります。先日内閣府から発表された令和4年度版男女共同参画白書では、「ひとり親世帯や単独世帯の増加等、家族の姿が変化しているにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方等の慣行、人々の意識、様々な政策や制度等が、依然として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっている」としたうえで、「人生100年時代、結婚せずに独身でいる人、結婚後、離婚する人、離婚後、再婚する人、結婚(法律婚)という形を取らずに家族を持つ人、親と暮らす人、配偶者や親を看取った後ひとり暮らしをする人等、様々であり、一人ひとりの人生も長い歳月の中でさまざまな姿をたどっている。このように家族の姿は変化し、人生は多様化しており、こうした変化・多様化に対応した制度設計や政策が求められている」と述べています。であればこそ、ぜひ政府には、中絶に配偶者の同意を必要とすることがまさに「昭和の考え」であることを認識していただければと思います。

  • 「選挙行かない若者悪いですか?」渋谷で質問する記者が逆に問われた

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月22日11時1分 投稿

    【視点】「中途半端な状態で行くのは嫌」、これにはなるほどと考えさせられました。 記事の最後に大学入学と同時に親元を離れる一方で住民票が移されていないために選挙に行きにくい「外的要因」をあげられています。この点は若者の投票率が低い理由として良く挙げられていますが、記事からは必ずしもそれだけではない現状が浮かび上がります。 一読すると若者が政治に関心がないから行かない、という構図に読めますが、じゃあ40代以上が若者よりも政治に関心があるかというと必ずしもそうではないはずです。関心はないが何となく支持政党に投票していた状況(あるいは所属する職場によっては投票先を推奨される状況)と、よくわからないから「投票に行かない」という選択をした若い世代と、根っこの考え方は同じで、むしろ考えられないから「いかない」という選択をする若者の方が、人を選ぶことの重みを真摯に考えているのでは、と思うのは、私だけでしょうか? 若者だけを批判する前に、政党によるマニフェストや選挙公約の発信による各政党の「あるべき社会像」とそのための政策に関する発信、そして政治や社会状況に関するメディア報道の在り方も考えるべきです。政権獲得後に実施する政策を具体的に挙げ、実施時期と予算措置について明確に有権者に提示すマニフェストは、政党が描く未来像とそのための具体的な道筋を示すもので、日本では2000年代に各政党によって作成が盛んになったものの、その後国政の場では尻つぼみになっています。 今年4月に自民党がSNS戦略として、ツイッターのハッシュタグなどを活用して国民の意見を募る令和版の目安箱を開始していましたが、SNSやインターネットを活用した、より政策に関心を持ってもらいやすい施策も政党には求められます。 投票率を本気で上げたいのであれば、投票を有権者の自由意思に委ねるのではなく義務化させる手法も有りです。私は毎回投票に行きますが、政治への個人的関心はもちろんですが、振り返ると「投票は国民の義務」と両親から言われていたことも大きかったように思います。両親の「投票は義務」という意見は日本では正しくありませんが、投票を義務付けるオーストラリアでは、全員投票が前提なので、少数派意見が反映されやすく、政治家が支持を呼びかける際に貧困層などを含むあらゆる人を念頭に置いた平等な公共政策を促すことにつながるとされ、国民からも義務化に対し賛同を得ています。 日本ではこの投票義務化の話は出ませんが、もし投票率を真剣に上げたいのであれば、今後日本で議論すべき制度なのではないかと考えます。

  • 「17の村が焼き払われた」スーダンで民族間衝突 100人以上死亡

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月14日9時1分 投稿

    【視点】2003年、2005年にスーダンのハルツームで博士論文のためのデータ収集を行ったことがあります。当時ダルフール紛争が世界的な関心を集めていましたが、ホームステイ先の現地NGOの代表(彼女はアラブ系、敬虔なイスラーム教徒)曰く、「ダルフールは酒を飲む人が多くて、いつも酔っぱらっている。だからまともな話し合いはできないんだ」。FGM(女性性器切除)廃絶運動で同国を牽引し、欧米の支援機関とも日常的にやり取りをしている彼女でも、ダルフールをそうみるのか、と驚いたことがあります。彼女のダルフール評は当時のハルツームでどれだけ普遍的な意見なのかはわかりませんが、他民族・多言語国家で異なるエスニック集団同士が理解し共存する難しさを実感させられました。 今回のダルフールでの衝突は、記事ではアラブ系住民1人と非アラブ系住民1人の間の土地争いをきっかけに発生したとありますが、背景には単純な土地争いだけではなく、歴史的な要因や文化習慣の差から生じる軋轢、また最近のスーダンを含めた東アフリカで起きている、過去数十年で最悪と言われる干ばつという問題も背景にあるかもしれません。干ばつは、作物の収穫を困難にし、家畜を失うことにもつながり、結果としてその地域の住民をさらなる貧困に陥らせかねません。加えて、新型コロナウイルスのパンデミックとウクライナ危機は彼らの生活をよりひっ迫させている可能性もあります。 ダルフールでは何が起きているのか、その要因は何か、さらなる情報を期待したいです。

  • 女性議員増へ「セクハラ対策必要」4割 東北大・全市区議会議員調査

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月10日17時56分 投稿

    【視点】国際協力NGOプラン・インターナショナルが2019年に発表した女の子のリーダーシップに関するレポート「Taking the Lead 」は、日本を含めた19カ国1万人以上の15~24歳の女性が女性リーダーに関するアンケート調査とインタビュー調査をまとめたものですが、日本から参加した538名のデータに限るとイメージでこんなデータがありました。 ●72%が「リーダーの地位にある女性が、女性であるために正当に扱われていない」と思っている。 ● 60%が「リーダーの地位にある女性が、身体の一部を不本意に触れられたことがある」と思っている。 ● 38%が「リーダーの地位にある女性が尊敬されるためには、リーダーの地位にある男性よりも頑張って働かなければならない」と思っている。 報告書では約2人に1人が将来職場や政治、家庭、地域社会でリーダーになりたいと考えているものの、こうした女性リーダーにまつわるイメージが彼女たちがリーダーシップを発揮することの阻害要因となっていること、また回答者の年齢が上がるにつれて、女性リーダーが経験するジェンダー差別や、社会の構造的なジェンダー差別について認識を強め、その結果リーダーになる意欲が減退していることが報告されています。その意味では、記事にあるアンケートで「女性議員が家事育児をおろそかにしてはいけないと思う有権者は少なくない」(74%が同意)「男性議員より努力する必要」(46%が同意)という結果は、若い世代でも同じ認識があることが分かります。 アンケートを見ていて興味深いのは、女性議員を増やすためにセクハラ対策や育児のための設備拡充という議論があるとしても、その前提にあるのが「子育てをするのは女性議員」という思い込みがあるという事です。男性議員による子育てへの参画や男性議員へのセクハラ対策という視点が抜け落ちていること、そこに地方議会の根強い性別役割の固定概念があるようにも見受けられました。そのことは「女性に政治は無理と後援会が考えるのでは」「後援会を説得するコストが高い」という考えにもつながっています。 地方議会の役割はより私たちが暮らす地域社会が住み続けられる環境作りにあります。2014年に所謂増田レポートで消滅可能性都市の判断基準のひとつとして出産可能年齢の女性人口の流出割合がありましたが、女性の都市圏などへの流出を食い止めるためには、女性が暮らしやすい社会づくりは不可欠であり、そのための当事者の視点は必須です。議員と後援会のしがらみや女性は政治が無理という思い込みではなく、地域をいかに活性化させるのか、そのための多様な人材を議会に取り入れる意義を広く理解することが、今後求められます。

  • 性暴力さえ「武器」にする戦争 塗りつぶされる個としての女性たち

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月9日16時6分 投稿

    【視点】ユニセフは、1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナの紛争で2万人から5万人の女のが、ルワンダで起きた大虐殺では、25万人から50万人の女性がレイプの被害にあったと推定しています。紛争下で、性暴力の被害に遭いやすいのは子どもです。紛争を生き抜いたとしても、家族や友人など身近な人を喪ったり、飢えや必要な栄養を取れないなど、紛争前の日常に復帰することは困難です。紛争下や避難先、収容所でもレイプや性的虐待、場合によって人身売買の危険も高いことはしばしば指摘されています。 紛争下の性暴力は時には同じコミュニティ内で被害を受けた女性への差別も引き起こします。今年1月に発刊された平井美帆さんの「ソ連兵へ差し出された娘たち」では、第二次世界大戦後、満州に取り残された黒川開拓団で“女漁り”や略奪を繰り返すソ連兵に対し、自己防衛として女性たちが性接待役として差し出されたこと、そこに潜む内外の隠された暴力と差別構造を指摘していました。紛争下の性暴力は、結果としてその地域の女性の「弱い存在」としての立場を示しています。 他方、ウクライナ情勢に関する報道で気になるのは、報道がウクライナからの発信が中心になりやすいことです。この点は大塚さんがインタビューで「感情の動員」として紹介していますが、情報が偏り、客観的な判断を非常に難しくします。ロシアからの報道が事実上遮断されることで、ロシアが性暴力をどう見ているのか、また性暴力の抑止についての指導を軍隊内で行っていないのか、組織的に性暴力の実施を称揚しているのか、判断に必要な情報のピースがそろっていない状況で、私たちはメディアを通じて訴えられる「かわいそう」という感情に踊らされ結果ロシアへの批判と紛争の継続を当然のものと考える思考に傾きがちです。 紛争中における客観的な報道は難しいのかもしれませんが、改めてより多くの情報源に基づく報道、そしてこの紛争をどう考えるのか、より冷静な議論ができることを期待したいと思います。

  • 日本のSDGs達成度、世界19位に低下 増えた「最低評価」

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月7日20時56分 投稿

    【視点】SDGs市民社会ネットワークでは、「持続可能な開発レポート」の公開を受けて、共同代表の大橋正明が、分析と評価を行っていますが、そこで注目すべき視点として「今後一層の悪化が懸念される貧困問題」が取り上げられています。日本の順位だけが注目されがちですが、より幅広い視野で、数値の悪化している地域・国の状況、とりわけ格差拡大の現状に目を向けるべきだと指摘しています。 「貧困はラテンアメリカ&カリブ海地域で悪化しており、貧困と飢餓は「顕著な課題」に直面している。ラテンアメリカ諸国の中では、特に600万人が国外に避難しているベネゼイラの貧困状況が悪化を続け、貧困と飢餓、そして格差において「重大な課題」に直面している。 ラテンアメリカと同様に、オセアニアと小島嶼国、そしてサブサハラアフリカでも、貧困状況は悪化していないものの「重大な課題」に直面している。その下を見れば、それらの地域の多くの国が属する低所得国が、貧困も飢餓も「重大な課題」に直面していること、対照的に多くの先進国が属するOECD諸国や高所得国では、目標1の達成に順調に向かっていることが分かる。つまり巨視的に見ると、先進国と低所得国の間の格差の拡大が強く示唆されている。」 「「持続可能な開発レポート」が分析しているデータは、パンデミックの影響はかなり反映されているものの、今年2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻が始まる前のデータであるため、ウクライナ危機のSDGsの達成に対する負の影響は反映されていない。つまり、ウクライナ危機の影響が反映されたデータは、来年以降に反映されることになるため、来年もSDGsは進歩どころか後退している、ということが既に予測可能だ、ということだ。ロシアやウクライナからの小麦などの食料輸出が困難になることで、飢餓がアフリカなどを襲うことが、すでに公然と語られている。」 SDGsは国境を越えた課題であることが繰り返し語られるにも関わらず、こうした国別順位が出ると、日本の順位だけを取り上げる状況が多く見受けられます。データを元にSDGsの達成状況を世界全体で俯瞰的に見ることも重要なのでは、と考えます。 また、日本の順位を巡り、公開直後のSNSやインターネットでのコメント読むと「なぜ19位が問題なのか」「世界の順位にだけ目を向ける必要はない」など、そもそも順位を悲観的に捉えることへの疑問やグローバルに一国の進捗状況を数値化して評価することへの懸念点が示されました。この点は単純に順位を見るのではなく、その国の経済規模や政治情勢なども勘案して総合的に考える必要があります。例えば、経済的側面で見れば、G7およびG20加盟国の中では4位、GDP上位20カ国の中では7位、OECD加盟国(38カ国)の中では19位となります。データを見るには順位だけの視点ではなく、そのデータをどの切り口から分析するか、多角的な視点が必要です。

  • 少子化の内実は? 子どもの数と親の学歴の関係、東大チームが分析

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月7日9時6分 投稿

    【視点】日本の社会が抱える課題を考える上で、非常に多くの示唆に富む内容のインタビューです。インタビューされた方はまず過去30年間で子どもを持たない人の数が3倍近くになったことに驚いていましたが、非正規雇用の割合が増え、平均年収が減少、離婚件数の増加傾向を考えると子どもを持つことそのものがリスクとなってしまう、日本社会における家族の変化に社会保障制度が追いついていない現状ではあり得る数字です。 雇用・収入が守られ、失業保険、厚生年金、扶養している妻に対する手当がある正規雇用の男性の場合、子どもがいる割合が高いことは、正規雇用と非正規雇用の収入格差を示していると言えます。特に高学歴、高収入、正規雇用の男性の場合、勤務先が社会保障が充実し、出産・育児に伴う育休取得など制度取得も推奨される環境にいることが見て取れます。他方、同様の就業環境にいると思われる高学歴の女性の場合、未婚率が高いことも指摘されており、男性が学歴も社会的地位も年齢も高い、男性上位婚とよばれる結婚形態がまだ日本社会では主流になる結果、男女格差が生じることも見て取れます。この辺りはぜひ正規雇用の男性の妻の就業の有無とその形態、学歴も合わせて詳しく知りたいところです。 2015年8月に開催された第17回税制調査会の資料を見ると、学歴別の若年非正規雇用者比率の推移について、一貫して、低学歴の者ほど非正規雇用者の割合が高く、25-34歳層では、明らかに学歴間の差が広がっており、低学歴であるほど非正規雇用になりやすい傾向が強まっていることが指摘されています。また、2021年に労働政策研究・研修機構が公開した研究報告書「仕事と子どもの育成をめぐる格差問題」では、高学歴女性と比較して、低学歴女性が離婚後に経済的困難に陥りやすい原因の1つとして、低学歴母親が第1子出産前後に就業中断したり、非正規就業したりする確率が比較的高いことが関係していることが指摘されていました。 男女の収入格差の問題は、子どもを持つか持たないかの判断にもつながります。政府は先日女性版骨太の方針の中で男女の収入格差のデータ公開を通じた、就労環境改善への取り組みを提起しました。今後さらに今回のデータを活用し、日本社会の課題を明示化させ、具体的な解決策が提案されることを期待したいです。

  • 日本史教師が世界史も教える新科目スタート 用語集を自腹で購入も

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月6日8時47分 投稿

    【視点】昨年、大学の感染症史の専門家の方の呼びかけで行われた、高等学校の先生方や高校生を対象に感染症の制圧の歴史、日本の経験や貢献、国際保健の現代的な課題について紹介する取り組みにMalaria No More Japanとして参加、マラリアに関する日本と世界の歴史、マラリア制圧に向けた国際的取り組みと日本の貢献を紹介する機会がありました。 Malaria No More Japanではこれまでも日本の古典文学や狂言や落語などでの感染症の表現について紹介してきましたが、マラリアだけをとっても日本と世界の歴史が交錯することに気づかされます。 例えば沖縄では、大航海時代の1530年代に難破したオランダ船によって西表島に持ち込まれたと言われていますが、同時代、南米原産の薬木でインカ帝国で解熱薬として重宝されたキナノキは、マラリアの特効薬として世界中に広まっています。その後近代化と列強諸国によるアジア・アフリカの植民地化が進む中で、このキナの木から解熱作用のあるキニーネを分離する技術が開発、マラリア治療薬としてジャワで大規模栽培が行われることになります。第二次世界大戦時には日本兵士の多くが南方戦線でマラリアに倒れましたが、この時兵士たちに支給されたのが、キニーネでした。 ちなみにMalaria No More Japanでは第二次世界大戦時に沖縄八重山諸島で起きた戦争マラリアについて紹介するイベントも行ったことがありますが、その際はマラリアや国際保健分野で活動する方から「戦後まで日本にマラリアがあったことを知らなかった」「戦争マラリアを初めて聞いた」と言われます。国外に目を向けると足元の歴史を知らないままになってしまう、そんないびつさにも気づかされます。 講義の後も高校の先生と日本のゼロマラリアに向けた取り組みを授業で取り上げる教材づくりについてやり取りをしていたのですが、実感したのは高校の総合学習の授業で取り上げる内容について、高校の教員の方が一人で調べ、授業計画を立てるのは限界があるという事です。北海道や宮城県で指導資料のサンプルを作成されたと記事にはありますが、さらに一歩進めて、感染症の事例にあるように大学や専門機関、ときにあは現地で活動するNGOなどと連携ししてテーマを深掘り、高校生向けにの授業作りを行う、仕組みがあればよいなと感じました。世界史と日本史を一体化した歴史総合の授業は、生徒が関心を深め、大学の学部選択にもつながる試みです。テーマを深掘りし日本と世界の有機的つながりを知ることは、幅広い視野を持つことにもつながります。であればこそ、この試みが高校の教員一人ひとりの努力に依拠するのではなく、幅広く専門家と連携することを、自分自身の経験からも、ぜひ検討いただきたいと思います。

  • すき家が早朝のワンオペ中止 店内で倒れた従業員死亡、3時間後発見

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年6月2日11時24分 投稿

    【視点】すき家というと2014年に深夜時間の営業を従業員1人に任せる「ワンオペ」、過酷な労働環境が問題となり同年には「ブラック企業大賞」にもノミネートされていました。今回の記事を呼んで、その当時にYouTubeで挙げられていたすき家の深夜ワンオペの実態を紹介する映像を思い出しました。 今回アルバイトの女性が亡くなったことを受け、すき家は朝帯のワンオペを取りやめることを発表していますが、そもそもの問題は、深夜、朝帯に限らず、ワンオペそのものの過酷な状況です。例えばお客で混みあったら行きたくてもトイレにも行けないし休憩は論外という、クレーマーにも一人で対応しないといけないという、労働者の安全と健康を守る義務がある労働安全衛生法違反になりますし、安全上の問題もあります。「本人がワンオペの理解してシフトに入っているから自己責任では」ではなく、労働者個人が良しとしても雇用主には労働基準法に遵守した適切な労働環境を提供する義務があります。一人のマンパワーに委ねる運営スタイルそのものの抱える問題を検証する必要があります。 他方、飲食店における人材不足がワンオペを招いたとことも考慮する必要があります。人手不足によってワンオペにならざるを得ないという現状をどう打開するのか。これはすき家にかぎらず、生産年齢人口の減少が続く日本では、多くの飲食業界が将来直面する問題でもあります。 問題解決のひとつとして、人手不足と従業員の労働環境の整備という観点からマンパワーに頼るのではなく、メニュー提供から支払いまで、オートメーション化を検討していただくのはどうか、と思うのですが、いかがでしょうか?牛丼をつくるロボットや支払いまですべて自動でできるのであれば、配置すべき従業員の数を抑えられるのでは、と思いますが、難しいでしょうか?

  • 生理用品の配り方、臭いの悩み、日頃の備えは 女性目線で考える防災

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年5月31日15時44分 投稿

    【視点】5月27日男女共同参画会議で議論された「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022(女性版骨太の方針 2022)」(原案)の中に、「地域における女性活躍の推進」に関する項目で、防災分野における男女共同参画の視点からの復興について触れ、以下の数値目標が上げられています。 ●都道府県防災会議の女性委員の割合を現状の16.1%5から2025年までに30%に ●市町村防災会議の女性委員の割合を現状の 9.3%7から早期に15%とし更に 30%を目指す。また、2025年までに女性委員がいない防災会議数を現状の 3286から 0 にする。 ●フォローアップ調査で収集した好事例等をまとめ研修に活用する これだけ見るとまだまだその地域の防災減災を議論する場に女性が少ないこと、また女性の成り手を見つけることが難しいという現実が浮かび上がります。 この記事を読んで、2017年に発表された垣谷美雨さんの小説「女たちの避難所」を思い出しました。東日本大震災での避難所生活を題材にした同作品は、「自分たちは家族同然でこれから協力して暮らさないといけないのだから連帯しないといけない」として、段ボールの仕切りを最後まで使わせなかった避難所があったことを知った作者が、当時の資料を読み込み、架空の場所鷗ヶ浜市を舞台に3人の女性を主人公にした作品を作り上げました。最後に女性たちはそれぞれの決断を下すことになります。 絆や家族愛といった美しく誰も反論できない言葉を盾に、仕切りを使うことができないので授乳中の母親は授乳がなかなかできない、世帯単位で義援金が渡されるために女性が受け取れない、非常事態は日本社会に根差す男尊女卑な風潮や家族形態をより鮮明にします。記事にある生理用品の「公平な」配布など、女性が声をあげ、「おかしいだろ」と突っ込めば問題にもならないはずです。でもそれも「我慢して当然」という沈黙によって声が聞こえてきませんでした。また災害時の対策を決める会議における女性の少なさ、防災担当職員の女性の少なさなども、問題にすべき事柄を見落とす要因にもなってきました。 であるからこそ、防災減災をといったいつ起きるかわからない非常事態については、平時から地域を構成する、あらゆる人々のジェンダー、年齢、海外にルーツのある人、障害の有無とそれによって特別なサポートが必要かどうか、継続的な確認と関わる人の意識啓発を兼ねた研修が必要です。記事にある試みがより広がり、被災時の均等な支援ではなく、より弱く取り残されがちな人々への配慮がされたインクルーシブな支援を可能にすることが期待されます。

  • 男性にも「嫉妬」あるのに、なぜ女偏 17歳中国人留学生の違和感

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年5月29日10時56分 投稿

    【視点】記事を読んでから、私も興味を持って、女偏と男偏について漢字辞典を引いてみました。女偏については「女性・婚姻・感情などに関する漢字」と説明があり、女性を表す「姉,妹,嫁,妻,婦,婆,嬢,娘」や婚姻を表す「婚,姻,姓,嫡,婿,妊,娠」、感情を表す「好,妄,妨,娯,怒,嫌,如」などが上げられていました。それに比べると男偏の漢字は「甥,舅」など非常に少ないことが指摘されていました。 大修館書店が運営するホームページ「漢字文化資料館」では女偏の漢字の多さに比べて男偏の漢字が少ない理由として、古代中国で「人」と言えば「男性」を示したことから、取り立てて男性を表す漢字を作る必要がなかったのに対し、女性は異なる存在であったがために、女性に関するさまざまな漢字が作られた可能性が指摘されていました。 改めて女偏を巡る解説を読むと、思っていた以上に「婚姻や感情」に関連する漢字が女偏であることに驚かされます。このことは、古代中国でも「女性は感情的」という現代にも脈々と続く固定概念があったと考えられます。また、婚姻については西周の時代(紀元前1046年~紀元前771年)には既に厳格な婚姻の規定があったそうで、男性側が女性側へ礼物を贈り、求婚をする、今の結納につながる慣習の存在が指摘されています。婚姻時に花婿側が花嫁側に送る婚資の慣習は今もサブサハラアフリカや東南アジアの一部で行われ、結婚市場で決定される花嫁の価格を示し、女性への不当な扱いであるという批判もされていますが、古代中国でも「財物」として女性を扱っていたのであれば、結婚に関する漢字に女偏が多いのもあり得るのかもしれません。 人間とは男性の事であり、女性は含まれなかった、というのは、古代中国に限らず、世界史を紐解くと様々な時代に各地で見受けられます。歴史をたどることで、社会が女性をどのようにみなし、扱ってきたのか、同じことを繰り返さないために私たちはどのように自覚的になるべきか、改めて記事から触発されて辞書を引くことで考えさせられます。王さんが「理性的なボクサー」として、日本の歴史や文化にさらなるジャブを繰り広げることを期待します。

  • 「昭和時代の想定は通用しない」 女性版骨太の方針原案

    長島美紀
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    SDGsジャパン 理事
    2022年5月28日19時34分 投稿

    【視点】いわゆる「ジェンダー平等」という場合、ジェンダー格差という現状への改善や男女間の賃金格差といった制度の見直しが求められますが、しかし根底にある「男は~であるべき、女は~であるべき」という固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が残っている状態では根本的な解決にはつながりません。その意味で、固定的な性別の役割分担意識の解消に言及したことは評価されるものといえます。 この格差解消のための具体的な事例として、原案を見ると、地方公共団体や経済団体等を対象としたワークショップ等、人事や経営層への意識改革、各都道府県教育委員会に対して教員や学校の管理職向けの研修、学校での生徒へのアンコンシャス・バイアスを生まないような指導、教育の実施が上げられています。ジェンダー・ステレオタイプは小学生頃までは特に持たないものの中学くらいから親や教員など他者から言われるようになったことを受け止め、10代半ばには次第に自分の意見として取り込むようになると言われています。その意味ではアンコンシャス・バイアスを解消するためには教育現場での学びと実践が極めて重要な意味を持つとも言えます。 たとえ学校でジェンダー平等について教わったとしても学校の遊び場で仕切るのが男の子であったらその教育は身についていません。また、ジェンダー平等について教員向けの研修が開かれたとしても、教員に余裕がなく研修を受けられなかったり、受けたとしても問題をしっかり把握できていなければ、教育現場の環境が変わることは難しいと言えます。 原案では、文部科学省が、「女子は文系」といったアンコンシャス・バイアスの解消につながる教育を推進するための指導モデルの開発を令和4年度に行うとのことですが、この具体的な内容はどのようなものになるのか、また教員対象の研修もどのような内容なのか、今後もぜひ注力したいと思います。

  • 出生率公表の伊藤忠、「データは大事」 社外取締役が説明

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年5月26日17時14分 投稿

    【視点】国際NGOプラン・インターナショナルが2021年に公表した「日本における女性のリーダーシップレポート2021」、18歳以上の学生以外の男女2000名に行ったリーダシップに関するアンケート結果を紹介しています。その中でリーダーなど職場で責任ある仕事を行うことを「希望しない」「考えたことがない」と回答した理由について「家事育児があるから」12.6%(男性4.2%、女性21.9%)、「残業しないといけないから」20.0%(男性18.1%、女性21.9%)、「プライベートがなくなるから」32.2%(男性30.6%、女性33.9%)という結果があります。この結果を見る限り、女性の方が男性に比べ、家事育児の両立を考え役職に就くことを希望しないことが浮かび上がります(残業やプライベートの確保も、会社以外の時間を重視することの一環と取れます)。 家事育児の両立やプライベートの確保できる環境が女性が職場で長く働き続けるための鍵であり、女性の管理職を増やす方法とすると、具体的にその実績を数字として出した、伊藤忠商事は今後就職活動をする人にとって、分かりやすい判断材料を提供したと言えます。 フェイスブックCOOを務めたシェリル・サンドバーグの「LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲」には、彼女が内定者に子どもを産む予定があるかを質問する箇所が出ます。結婚や出産予定を聞くことが人事上問題になることを認識したうえで、質問しないことで結果的に女性が不利益に置かれる可能性を指摘しています。結婚や出産というライフステージを組み入れたキャリアプランは必要であるものの、「個人的なもの」として触れない・聞かない・関わらないとすることで、結果的に女性が就業の継続を諦めたり管理職に昇進しない選択をしかねません。 数値の公表は「子どもを産まないといけない」という強要ではなく、データを公開することでD&Iに配慮した職場つくりへの意志の表れだと思います。データ公表はもちろん、職場の女性が育児などに関わらず、望む職種に就けるというマミートラックに陥らない職場づくりなど、より多くのデータが「見える化」された企業として先陣を切っていただき、それに追随する企業が増えることを期待したいです。

  • 「常識ない」と長時間の電話 客からのハラスメントに会社は動いた

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年5月24日11時4分 投稿

    【視点】学生時代にバイトした居酒屋で、店長が閉店であることを伝えた時に「お客様は神様だろ」との言葉で酔客に絡まれ、最終的に彼らに要求されて土下座をしていたことを、記事を読みながら思い出しました。 「お客様は神様」という言葉の結果、「常識」を超える要求にも対応することが「常識」となり、サービスを供給する側もカスハラ対策のために過剰なまでのサービスを予め提供する、その結果さらなる過剰な要求を受ける、という負の連鎖があることに気づかされます。そのために、記事で指摘されたように指針を明確にすることや、判断基準の作成、カスハラ相談窓口の設置などについての取り組目が業界で足並みをそろえることが必要です。 さらに、業界全体でカスタマーへ指針を示すだけではなく、従業員について個々人の判断で過剰なサービスをしないよう、そしてサービスに不足があった場合は指導や研修などを行うなど、サービス供給側が供給したサービスを評価し必要に応じて改善する制度が求められます。サービスについては「ここまでは常識だ」「いや非常識だ」と一人ひとりの主観的な判断が大きくかかわります。カスタマーと向き合うときにどこまでが求められるサービスなのか、それ以上を断り、それを説明できるまでの対策が必要だと感じます。

  • 温暖化のせいで被害5200億円増 新幹線浸水の19年の台風19号

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年5月19日10時46分 投稿

    【視点】2020年にアメリカの気候安全保障センターが公表した気候リスク分析では、地球の平均温度が1~2度上昇した場合、干ばつや水害、海面の上昇による所謂「気候難民」大量発生による国境間の緊張、脆弱な国家の破綻とテロ組織や過激派の拡散、食糧難や資源の争奪の過熱化と大国間対立の激化が起こるという予測がされています。2020年に「気候行動ネットワーク南アジア」は「このまま温暖化が進めば、干ばつや土地の水没により、50年までに南アジアの3400万~6300万人が自国内や外国への移住を強いられかねない」とする予測も公表しています。気候変動にともなう気象災害の激甚化は、当該地域だけではなく国際関係にも大きな影響を与えうることは、強く認識されるようになりました。 ドイツの研究機関ジャーマンウォッチは、世界で発生した気象災害や気候リスクを死者数や経済的損失などから総合的に算出した「気象災害リスク世界ランキング」で、2019年日本は4位でした(2018年は1位)。日本気象協会が選ぶ2019年お天気10大ニュースランキングでは第1位は「台風19号の猛威 関東甲信・東北で豪雨による甚大な被害」で、2位では台風15号による千葉県の大規模停電、4位には山陽新幹線の計画運休などが上げられていました。中小企業庁のHPでも日本では自然災害の発生件数が変動を伴いながら増加傾向にあること、1時間降水量50mmを上回る大雨の発生件数が、この30年間で1.4倍に増加していることから今後も水害が頻発することが懸念されていました。 日本の具体的な経済損失を示すデータは、被害の状況を把握すると同時に、今後も増大するであろう気象災害とその災害の被害をいかに最小限のものにしうるか、減災対策のためにも必要です。2019年データだけではなく、今後もさらなるデータが出されることが期待されます。

  • 部下の心、知らないうちに離れているかも JTCを知っていますか

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年5月16日9時7分 投稿

    【視点】JTCというネットスラングはこの記事で初めて知りましたが、なるほどなあ、と自分の身近なケースを思い浮かべながら頷いてしまいました。 私は1977年生まれなので、朱野さんより少し上の世代なのですが、バブルがはじけたことで実家が倒産し、学費を自分で稼いでいた人や、「超氷河期」と言われた中での就職活動に苦戦していた人、就職できずにフリーターとなった人など、周りを見渡すと、学校を卒業して社会に出る前に様々な困難にぶち当たった友人たちが多くいます。就職活動に苦労した40代半ばの同級生と会うと、その多くが殆ど転職せずに新卒後、JTCに代表される企業に今も勤めています。私がどこにも所属せずに仕事をするスタイルを取っていることについて、「怖くないの?」と聞くのは、この世代です。 朱野さんのお話では、朱野さんの上の世代と価値観が異なるという事ですが、逆に私の周りを見渡すと、アラフォー&アラフィフ世代の人でも獲得した現在の居場所を変えたくない、現状を維持できるならしたい、という想いを持つ人が多いように感じます。 世代で区切ってしまうのは安易かもしれませんが、例えば多様な人材を雇用するためのダイバーシティ&インクルージョン戦略では役職が上の(必然的に日本ではシニア世代)の方が理解があり、むしろ現状を維持したいと、現場での促進を阻害しているのは中間管理職(アラフォー&アラフィフ世代)という話も聞いたことがあります。 さらに下の、バブル崩壊後の不景気と経済衰退の時代に育ったポスト氷河期世代は、就職難に直面する氷河期世代の後姿をみて育ったため、安定志向や大企業志向が強まっているという指摘もあります。世代というよりは日本社会全体で安定志向があるからこそ、「JTC」という言葉が生まれ、その企業に入れない状況を揶揄している可能性ももう少し掘り下げてみても面白いのでは、と思います。

  • 「男女欄」は必要か?政府の各種統計調査あり方検討、夏ごろに指針

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年5月11日13時50分 投稿

    【視点】私がアドボカシーグループに所属している国際NGOプラン・インターナショナル・ジャパンでは、調査を行う場合、アンケートに協力いただく方には「男性」「女性」のほかに「その他」「答えたくない」の4つで性別について質問を行っています。調査内容がジェンダーに関わるものである場合、男性や女性、その他の性自認で回答を分類すると、回答の性別の差異を見ることは、問題の所在を特定し、政策や施策への提言につながるからです。 調査項目で性別を質問することを除くべきかという議論の趣旨は分かりますが、外すことでデータを分析し、より具体的な政策立案につなげるための道筋が外され、結果的に同じ内閣府で進めているEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)を困難にするのでは、と懸念します。 性別や年齢、外見を問わないスタイルにするべきなのはむしろ就職活動の際の履歴書でしょう。性別の項目や履歴書に写真をつけることで、女性であるから、性的少数者や病気などで外見に特徴がある人たちが、それらの記載により差別的な対応をされることはしばしば指摘されています。就職活動こそは見た目や性別にかかわらず等しく平等に門戸を開くべきものだと思いますが、日本ではまだ写真や性別を慣行的に記入して応募書類を提出することが多く見られます。こちらを見直すほうがより「個々への配慮につながるのでは」、と思うのですが、いかがでしょうか?

  • 「同じ先生が2クラス同時に授業」 大学教授ら調査、4割で教員不足

    長島美紀
    長島美紀
    SDGsジャパン 理事
    2022年5月10日9時35分 投稿

    【視点】4/22付の朝日新聞の記事で、今年1月に文科省が「全国の公立学校1897校で、2558人もの教員が不足している」という調査結果を踏まえ、文科省は対策として教員免許を持たない社会人も教壇に立てる「特別免許状」の活用を都道府県教育委員会などに通知したと紹介されていました。 少人数学級の促進が言われる中で、教職員数が不足していると、その対応は難しくなることは容易に想像できます。調査でいう教員不足の状態について、文科省は「• 臨時的任用教員等の講師の確保ができず、実際に学校に配置されている教師の数が、各都道府県・指定都市等の教育委員会において学校に配置することとしている教師の数(配当数)を満たしておらず欠員が生じる状態」としており、不足している理由として、「①産休・育休取得者数、②特別支援学級数の増加、③病休者数の増加により必要となる臨時的任用教員が見込みより増加したこと」および「講師名簿登録者数の減少が最も多く、また、もともと臨時的任用教員として勤務していた者の正規採用が進んだこと、臨時的任用教員のなり手がすでに他の学校や民間企業等に就職済であることによる、講師名簿登録者の減少」が指摘されています。 調査結果を見る限り、非正規雇用への依存が高い状況が見えてきます。非正規で雇用されたとしても授業や学級担任などの負担は正規に採用された教員と変わらないにもかかわらず、研修や支援が充実していないことはしばしば指摘されているほか、教員勤務の「ブラック化」に見られるように教員の負担が多い状況では、そもそも教員になりたい人を増やすために、正規雇用の促進と共に学校現場での教員の働き方の見直しが必要です。 少人数学級の促進も教員の研修も、その根本は子どもの多様性に配慮しながら、個々のニーズに配慮した必要で安心した環境で学べる機会を提供することにあります。SDGsに係る施策の実施について、関係行政機関が緊密に連携し、総合的かつ効果的に推進する目的で、2016年に全国務大臣を構成員として設置されたSDGs推進本部で令和元年実施指針をみると、次世代が「持続可能な社会の創り手として、多様な人々と協働しながら行動し、国内外に対して提言・発信していくことが期待」されています。そのために「教育にかかる政策・制度の充実も重要」としています。次世代への期待があるのであればこそ、教員の副状況に関する調査結果公開に留まらず、非正規雇用への依存を高めるのではなく、働き方の見直しも含めた正規雇用を増やすための仕組みづくりが求められます。

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