仲村和代

仲村和代なかむら かずよ

朝日新聞デジタル機動報道部次長
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最新コメント一覧

  • 「保育園落ちた」から6年、共感した人たちは今 声上げる意味とは?

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月24日13時29分 投稿

    【視点】 記者をしていると、「あ、社会が動いてる」と思うことがあります。「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログに対するツイッターでの動きがまさにそうでした。ブログが書かれた直後から、共感と共に拡散。国会でこのブログについて問われた当時の安倍晋三首相は、「匿名である以上、実際に本当であるかどうかを、私は確かめようがない」と答弁し、議員席からは「誰が(ブログを)書いたんだよ」「(質問者は)ちゃんと(書いた)本人を出せ」とやじが飛びました。その後、ツイッターでは、#保育園落ちたの私だ というハッシュタグと共に、待機児童対策が進まないことへの怒りがうねりのように広がっていきました。  待機児童問題や保育園のことについて取材していた私は、「これは書かなければ」と急いで原稿にしました。デスクに「これのどこがニュースなの?」といわれたりもしながら、なんとか「突破」し、記事が載りました。  6年前と比べると、この問題の受け止めはずいぶん変わったなと思います。いま、「これの何がニュースなのか」と問うデスクはおそらくいないでしょう。政府も待機児童対策に力を入れることを表明し、実際、「保育の受け皿」は飛躍的に増えました。  ただ、そのことを手放しで評価できるというと、そうは思えません。保育士の待遇改善や、配置基準の見直しといった施策はあまり進まず、急激に数だけを増やしたことで、安全上問題のある保育園が明らかに増えたと感じます。そもそも、公約として掲げられた「待機児童ゼロ」すら、いまだに達成されていません。  少子化対策、女性活躍、経済対策――。子どもを巡る政策にはどうも、「大人の都合」が見え隠れします。家族観の押しつけと感じられるような施策もあります。待機児童対策をはじめとする政策は、いったい誰のためのものなのか。当たり前ですが「子どものため」のはずです。大人の思惑を押しつけるのではなく、どんな環境に生まれた子どもも豊かに育っていくためには何が必要なのか。そんな視点の議論はまだまだ足りていません。

  • AI評価の「ブラックボックス」に警鐘 食べログ判決で見えた課題

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月19日14時5分 投稿

    【視点】 AIが、生活の様々な場面に影響するようになっています。先日、労働組合を結成したアマゾンの配達員は、AIを使ったアプリで配達ルートが決められるようになってから、1日あたりの荷物が急増し、働き方が過酷になった、と語っています。私たちが知らないところにも、アルゴリズムが入りこんでいます。   「AIが決めている」といわれると、あたかも不可侵で変更不可能なような気がしてしまいがちです。でも、実際はこの記事で指摘されているように、どの要素を判断材料にするのかなど、人間が判断する余地がたくさんあります。AIは、それだけで万能な存在ではない。社会がどうあるべきか、人間の価値観や倫理観が前提にあり、どういう方向に向かっていくかも決まります。そのためにも、「ホワイトボックス化」は大切。こうした技術が本当に人間社会にとって有益なものになるためには、「AIに詳しくない私たち」がコミットしていくことも大切なのではないか、と思います。

  • 相次ぐ給食費の値上げ、仕方ない? 地域で異なる負担、どう考える

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月18日11時20分 投稿

    【視点】 親の仕事の都合で、小中学校時代、合計6つの学校に通いました。地域によって、給食のありようがまったく違うのを体感しました。例えば、牛乳パックが四角だったり三角だったり、たたみ方や片付け方がそれぞれ違ったり。子どもにとっては「へー」の連続でした。  一番の驚きは、京都から仙台の中学校に転校したとき。きょうだいが通った学校も含め、それまでは「中学校では給食がなく、弁当を持っていく」のが当たり前だったので、給食があることにまず驚きました。米飯の回数が多いことも、米の生産地ならではだなあ、と思ったのを覚えています。大きな容器からよそう方式ではなく、1人分がアルミ缶に入っていたので、女子は「ダイエット」などといって全部食べない子が多く、もったいなかったなあ、という記憶も。  給食は、それぞれの自治体や学校の裁量の部分が大きいからこそ、例えば地域に伝わる伝統食をメニューで出したり、地元の農産物を活用したり、といった柔軟な取り組みができるよさもあります。ただ、給食費の負担や実施するかどうかそのものが、住むところによって差が出てしまうという問題もあります。記事で指摘されているように、学びを支えるという意味でも、給食の重要度は増しています。いい意味での独自性を保ちつつ、すべての子どもに一定の質の給食を安心して届けられるような仕組みを作る必要があると思います。

  • 学校のお便りはまるで謎解き、埋もれる情報 「昭和で止まってる」

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月17日11時8分 投稿

    【視点】 冒頭の「新学期、いつ登校すればいいのか?」というエピソード、私も今年4月に全く同じ体験をしました。学校から大量のプリントが配られるのですが、肝心の「いつ、何をすればいいのか」がわからない。いろんなプリントを見て、ようやくほしい情報にたどりつくことが日常茶飯事です。  先生たちが忙しすぎるということが長く指摘されています。記者になって20年経ちますが、確かに、様々な社会問題がクローズアップされるたびに、「キャリア教育」「金融教育」「ネットとのつきあい方」など、学校に新たな役割が付与され、多忙さを増していくのを感じました。一方で、実際に子どもが学校に通うようになってみると、「その指導、本当に必要?」「このプリント、本当に必要?」と思うものも少なくありません。少し前に話題になった「体育座り」もそうですが、「昭和のまま」の指導で、改善すべき点もたくさんあるように思います。  記事で指摘されているように、おたより一つとっても、外部からのフィードバックをうけて改善する機会が少ないのだろうと思います。保護者の声が「苦情」としてではなく、現場を改善するための声としてうまく生かされる仕組みがあるといいのですが。

  • 保育園の不適切保育、3歳の娘はPTSDになった 母がいま望むこと

    仲村和代
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    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月15日19時16分 投稿

    【視点】 この記事に書かれているような「不適切保育」が、例外中の例外であってほしい。そう願いますが、残念ながらそうではない、というのが実感です。  私もここ数年、取材で同じようなケースをいくつも耳にしました。待機児童問題がクローズアップされ、とにかく数を増やさなければ、というのが政治の至上命題になりました。「受け皿」が増えるにしたがって、認可保育園ですら、「質」が伴わないところが増えてきたと感じています。  自治体などに情報があがり、不適切保育として対応がなされたのは、おそらく氷山の一角でしょう。戦後間もなく作られた保育士の配置基準がずっと変わらないままで、現場の負担が大きいことも、待遇が上がらないため人材が定着せず、なかなか育たないことも、ずっと指摘され続けていることです。  質を守るためには、公費をきちんと投じ、子どもたちが育つ環境を守る必要がある。当たり前のことが、いつになったら実現されるのだろうと思いながら、それでも、言い続けようと思います。

  • 2年前には貯金90万円あったのに 弁当配布に並ぶ26歳女性の願い

    仲村和代
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    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月15日11時37分 投稿

    【視点】 10年以上前、ある選挙で、市民の動きが、当初予想されていた選挙結果をくつがえした現場を取材していました。市民ひとりひとりの思いが、選挙期間という短い間に、まさにうねりとなって流れを変えていったのを体感しました。でも、そんな実感を持っている人は、おそらく少ないでしょう。  まじめに働き、コツコツとお金を貯めてきたのに、コロナ禍で生活すらままなったという女性。それでも、「投票所に足を運ぶつもりはない」「政治家が判断するたびに私たちの生活は大きく変わるのに、その重みをわかっているのかな。政治には期待できないと思っちゃうんです」という言葉に、うーん、とうなってしまいました。  こういう人たちの1票が、本当は政治を変える力になるはず。何を、どう伝えていけばいいのだろう。答えはありませんが、模索を続けていきたいと思います。

  • 顔見られず逝った母、密閉された遺体… 湯灌師がみた「別れ」の実情

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月15日10時56分 投稿

    【視点】 連日、新型コロナウイルスによる死者の数が報じられたこの2年あまり。「数字」を追っているだけでは見えないけれど、ひとりひとりの生と死があり、それを受け止める家族や身近な人たちがいたことを改めて感じさせてくれる記事です。   この間、様々な感染拡大防止策が取られ、生活も制限されました。どのような対策を取るか、国によっての差もありました。こうした決定がなされる政治の場は、本来は私たちの暮らしとつながり、ひとりひとりの声から作られていくものであるはず。日々の暮らしではなかなか実感しづらいですが、メディアの中にいる人間として、そのことを少しでも感じてもらえるような記事を届けていきたいと思います。

  • ランドセル、どんどん重く? 大量の教科書とタブレットと水筒と…

    仲村和代
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    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月12日8時55分 投稿

    【視点】 ランドセルが重すぎるのでは、という問題は、これまでも何度か、指摘されてきました。なかには、10キロ近くになる、ということが報じられたこともあります。保護者などからの声で、「置き勉」が認められるようになったところもあるようですが、まだまだ半数近くでは認められていとのこと。発育にもかかわる問題です。  小2の息子も、毎日、ランドセルを「よっこいしょ」という感じで背負い、首から水筒と配布されている携帯電話をさげ、さらに体操服や図書館から借りた本などを入れる手提げ袋をもって出かけていきます。教科書にくわえて、重いのがタブレット。自宅で使うわけではないのですが、充電は各家庭で、となっており、持ち帰らないわけにもいきません。  白土さんのコメントの、「予習・復習のためにそこまで教材を持って帰ることが本当に必要なのか」という点にも同感です。自分が低学年だったころ、家でそんなに勉強をした記憶はないのですが、息子の学校では毎日、算数と国語が必ず宿題として課され、「家庭学習」が推奨されています。学校で5時間勉強したあと、ここまでする必要あるのか、疑問をいだいています。  教科が増え、教科書も分厚くなったということは、子どもたちが学ばなければならない内容もそれだけ増えているということでしょう。ただ、これからの時代を生き抜くためには、「たくさん詰め込む」より、自分で考え、切り開いていく力が必要なはず。そのためには、子どもたちの時間のなかに、もっと「余白」が必要なのでは、と感じます。大人が設定した「目的が定められた時間」だけではなく、一見無駄なように見える時間を過ごしていくなかで育っていく力を、もっと大切にできるといいなと思います。

  • いい保育園、問題のある保育園 見た目だけではわからない大事なこと

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年6月1日16時56分 投稿

    【視点】私自身の「保活」体験を振り返ってみると、いくつか見学にはいったものの、その時点で「いい保育園かどうか」を見抜けたかというと、とても無理だっただろうなという気がします。保育園に預けて復帰した後、保育の安全についての取材をするようになり、「ポイント」はわかるようになりましたが・・・。中野さんが言及している「いい園」の例を見て、そういえば、息子が迎えにいくと遊びに熱中していたなあ、6年間、いい園に出合えてよかったなあと思いだしました。  認可園であっても、虐待など深刻な事案が報じられるようになっています。「たまたま」入った先がどんな園かで、子どもの環境が大きく変わってしまうのがいまの状況です。どの園でも、一定のレベル以上の保育の環境を作るためには、保育士の待遇改善や、配置基準の見直しなども必要だと感じます。

  • 保育園で亡くなった1歳の娘 母から新入園児の親たちへ伝えたいこと

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年5月7日11時36分 投稿

    【視点】死亡事故が起きるような園は、必ずといっていいほど、普段の運営に問題があります。ご遺族が記事の中で指摘されているように、質の低い園でも運営できてしまうのが現状。監査のための仕組みも不十分です。そもそも、日本では認可園であっても保育士の配置基準が低すぎるのでは、と指摘されています。人数が少ないと保育士1人の負担も大きく、離職につながってしまう悪循環です。長年、保護者や保育関係者は配置基準の見直しを求めてきました。待機児童対策で保育園の数が急増していますが、「質」も担保できるような仕組みを作るための政策が必要です。【誤字があったため削除、再投稿しました】

  • 保育中に失われた5歳の命 過去の事故でも繰り返された「見落とし」

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年4月19日13時14分 投稿

    【視点】 男児がどうやって園から出たのかなど、詳細はわかっていない部分も多いですが、いまわかっている範囲でも、過去の保育事故に通じる部分があります。子どもは予想外の動きをするもの。保育士が「見ている」ことは基本ではありますが、人の力だけに頼るのではなく、インフラや環境を整備していくことも大事ではないでしょうか。現場で日々子どもたちと向き合い、奮闘してくれている保育士さんたちをサポートすることにもつながると思います。  どんな現場でもミスは起きうる。その前提で、重大な事故を防ぐ仕組みをどう作るかの視点も必要です。そのためにも、一つ一つの事案をきちんと検証し、教訓を次につなげてほしいです。  

  • 職員室に響く電話、プリントで「指紋消えそう」 デジタル化したら…

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年4月10日14時8分 投稿

    【視点】 小学校2年生の息子の小学校からも、毎日、たくさんのお便りやチラシが届きます。週に50枚近くなることも。印刷したり、配ったりするだけでも大変なのでは、と感じていました。先生に、紙のお知らせを減らせないかと相談したら、「学校の苦手分野なので、どうか要望を出し続けて下さい」といわれたことも。現場で改革の必要性を感じていても、なかなか進めづらい面があるのかもしれません。  学校でのデジタル化が「うまくいっていない」とあげられる例を見ると、中途半端なやり方がかえってやりづらさを生んでいる例もあるようです。記事にも出てくるように、詳しい企業などのサポートをうまく使うことも大切だと思います。例えば、子どもたちにも目を通してほしいものはプリントも併用する、など、お知らせによって使い分けることも必要になりそうです。  ただでさえも忙しいといわれる先生たち。少なくとも、「連絡帳にはるために紙を短冊切りにする」作業が、子どものために必ず必要なことだとは思えません。先生たちの負担を軽くするためにも、デジタル化を進めていってほしいです。

  • ウクライナで変わる? 日本の難民受け入れ 人材紹介にNPOが動く

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年3月30日22時36分 投稿

    【視点】 「世界のどこかで紛争が起きるたびに、カナダは人材を得ている」。10年ほど前、カナダで取材していたときに、著名人が誇らしげにこんなことを語っていました。カナダは難民を積極的に受け入れており、高度なスキルを持った人材がその力を発揮できるようなプログラムも多く用意されています。こうした人たちやその子孫がイノベーションを起こしたり、国同士をつなぐ人材となってミドルパワー外交の要となったりしていることについての端的な表現でした。  カナダにきた移民や難民は、NPOなどの支援で言語など生活に必要なスキルを身につけた後、コミュニティーカレッジなどに進学して資格をとったりして、職に就きます。支援する側も、かつて同じようにカナダにきた移民や難民たちです。印象的だったのは、本国で教師だったという30代後半の女性が、「大学で資格をとって、こういう職に就きたい」と夢を語っていたこと。日本では、こんな将来を思い描けるだろうか?と複雑な思いをいだきました。 WELgeeの活動は、カナダの取り組みにイメージが近いと感じます。もちろん、文化や歴史はカナダと全く異なり、そのまままねをすればうまくいくというわけではないでしょう。ただ、難民を「支援してあげる相手」ではなく、「貢献する人たち」と位置づけ、その力を発揮してもらえるまでを後押しするやり方は、今後、とても重要になってくるのではないでしょうか。

  • 打ち切りは突然…管理会社が「管理拒否」高齢化時代のマンション事情

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年2月17日15時17分 投稿

    【提案】 日本では、住宅購入時の新築信仰が強いといわれています。この連載でも指摘されているように、国の政策や自治体の施策も、新築を優遇する方向で進められてきました。人口増の時代であれば有効だったかもしれませんが、高齢化が進み、都市のあり方も大きく変わるなかで、このままでは管理が行き届かないマンションが増え、社会全体の「お荷物」になってしまう可能性もあります。私有財産だから、では済まされない状況が、あちこちで起きるかもしれません。  マンションを買う際、購入時の価格やその後のローン、立地や広さなどの条件については多くの人が気にすると思いますが、時間が経つにつれ、管理の状況がその資産価値にも直結してきます。一戸建てとは異なり、修繕については自分だけで決めることができず、他の所有者の合意が必要です。家は「買ったら終わり」ではなく、その後何十年もおつきあいが続きます。買う側としては、こうしたことまで考えた心構えが求められるわけです。   住宅に関する情報を得る場は、いまは不動産業者や開発業者など「売る側」からがメインで、あまり選択肢が多くありません。例えば自治体などが中立的な立場で、知識を深める場を作ることも、今後は必要なのではないかと思います。

  • 散歩中の保育園児の「置き去り」4年間で94件 東京都が注意喚起

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年2月13日12時48分 投稿

    【視点】 この10年ほど、保育の問題、特に「質」に関しての取材をしてきました。様々な待機児童対策が取られた結果、待機児童の「数」そのものは(コロナ禍の影響もあり)減っています。ただ、残念ながら、政策はとにかく数を増やすことが優先され、子どもたちが豊かに育つ場所をどう作るのか、といった視点は欠けていました。  このところ、認可保育園でも、ずさんな保育や虐待などが相次いで発覚しています。福岡では、園児が送迎バスに残されて亡くなる事故も起きました。この園では、普段の保育にも問題があったと指摘されています。現場からは、例えば園長や主任の候補になれるような人材がいない、それどころか保育士の数を集めるのも大変、といった声が聞こえてきます。  また、記事にあるように、規制緩和で園庭がなくても保育園を作れるようになり、園庭のない園が増えました。土地の少ない都市部では、ある程度、仕方のない面もあるかもしれませんが、例えばそれとセットで、園外活動を支えるための仕組みや、保育士など職員の補充といった策を取ることもできるのではないでしょうか。 散歩中の「置き去り」は、一つまちがえば 子どもの命に関わる事案。万が一悲惨な事故が起きれば、現場の保育士さんたちまで責任を問われることになってしまいます。深刻な事故が起きる前に、こうしたことが起きてしまう「仕組み」に焦点をあてて、なぜ起きるのかを検証し、改善につなげていくことが必要です。

  • 生きている人間が沖縄にいること、忘れないで 戦争から一続きのいま

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年2月2日10時38分 投稿

    【視点】 半年ほど前、実家に帰り、家族で飲んでいたときのこと。昭和23年に沖縄・宜野湾で生まれた父親が、復帰前、大学進学のために沖縄からパスポートを持ってやってきて、船で鹿児島に着いた時の話を始めました。同じように日本政府から奨学金をもらって大学に進学した沖縄からのが「国費留学生」たちが一緒で、迎えてくれた「えらい人」(本土在住の沖縄出身者)から、こんなことをいわれたそうです。  「きみたちは本土の人より劣っているんだから、これから努力をするように」と。  これからの若者たちに、あんなことをいうなんて許せない。あんないい方があるか。  お酒が入っていたこともあり、父は50年前の出来事について、ついこの間の出来事のように憤るのでした。 本土に暮らしていて、沖縄出身者自らがそういう言葉を発してしまう状況こそが、その時代なのではないか。記者としては、いまその人が生きているなら、どういう思いでその言葉を発したのか聞いてみたい、というと、少し、怒りは収まったようでした。  パスポートを持って日本に「留学」した話は、これまで何度も何度も聞かされていましたが、この話は初めてでした。50年経って初めて、こんな話を思い出し、こんな形で語られた、ということも、非常に興味深いな、と思いました。  ちなみに、国費留学生たちは船で鹿児島についた後、鉄道で北上。熊本大学の人は熊本で、九州大学の人は福岡で・・・という風に、段々、降りていったそうです。  岸先生の著作を読むと、まとまってはいない、何げない語りから浮かび上がってくるものの意味を突きつけられます。人の受け止めや生き方も、何かに対して「是か非か」ではなく、普段の語りのように、時に揺らぎながら、相反するものを抱えながら、存在するものなのだな、ということを感じます。  沖縄タイムスとの「復帰の生活史」プロジェクト、とても楽しみです。

  • 73歳OBまでフル勤務で教壇に 深刻化する教員不足、学習に支障も

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年1月31日21時25分 投稿

    【解説】 もう8年ほど前ですが、静岡総局時代に教員不足についての取材をしました。そのころ、すでに静岡では教員不足が深刻化し、教科の免許を持たない先生が教えていたことも発覚し、問題になっていました。  その背景の一つとして指摘されていたのが、教員免許の更新制です。出産などで退職した人たちが、子育てが一段落した後に現場に戻り、特に産休の代替要員などを務めていたのが、10年ごとの更新が必要になって免許がなくなり、戻れなくなった、というのです。おそらく、他の地域でも同様のことが起きているのでは。免許更新制は廃止される方向ですが、この間に免許を失った人材に対して、何らかの救済策のようなものを取ることも必要なのではないでしょうか。  また、特に足りていなかったのが、熱海、伊豆など東部地域でした。東部地域には教員養成系の大学がないため、出身の教員が少ない。静岡では、最初の任地は選べないが、一定の期間務めれば希望の場所に動けるため、出身地に戻る傾向がある、という説明でした。対策として、地元の高校生が大学に行って教員免許を取ることを促すための学力向上策も始まっていました。  もちろん、多忙すぎることなどが理由で敬遠されていることも大きな理由だとは思いますが、こうした地域的な要因も見極めつつ、地道な対策を取ることも大切だと思います。

  • 「ギグワーカーを守れ」 動き出す欧州 デジタル時代の法整備めざす

    仲村和代
    仲村和代
    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年1月29日16時2分 投稿

    【視点】 日本でも、「ウーバーイーツ」のような出前サービスだけでなく、宅配の現場でもギグワークが広がっています。ここ数年で、「アマゾン」などの宅配を、個人事業主がネットを介して請け負う割合が急増しています。  私も、アマゾンをはじめとするネット通販でいろんなものを買います。「送料無料」が当たり前のようになり、送料がかかる商品は何となく敬遠したくなる気持ちがあるのを感じます。リアル店舗に行く際の交通費を考えれば、大して変わらないか、それより安い場合も多々あるのですが。商品やサービスに対してどのくらい対価を払うべきかの感覚は、経験から形成されていて、一度「無料」になったものに課金されることに抵抗が生まれてしまっているのだと思います。  問題は、その「安さを求める感覚」のしわ寄せが、労働者にいってしまっていること。消費者側に送料を払うことに強い抵抗があると、届ける人への報酬はあげづらくなります。プラットフォーム側がコストを削ろうとした結果、働く人の報酬や待遇に影響が出て、長時間労働などの問題も生み出しています。  プラットフォーム側の責任ももちろんありますが、消費者自身の行動も過当競争を加速させ、さらにそれが「労働者」としての自分たちにも返ってきている構図があります。ギグワーカーの問題は決して他人事ではなく、様々な人の生活や働き方とも関わっていることを忘れてはならないと思います。

  • 遅れてきた日本のIT化、非正規の大量失業も? 研究者の懸念

    仲村和代
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    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年1月22日11時41分 投稿

    【視点】 企業の生産性を高めて、競争力を、という議論がなされています。では、「生産性を高める」とはどういうことか。その中には、いま人が担っている仕事をITなどに置き換えていくことも含まれます。確かに、効率的に仕事を進めるためにはデジタル化は欠かせない。コロナ禍でこれまで二の足を踏んでいたところでもデジタル化が進み、「なんだ、この方が便利だな」と実感した人も多いでしょう。  一方で、気になるのは雇用の影響。記事で指摘されているように、世界でIT化が進んだ2000年ごろ、日本では雇用の非正規化が進みました。格差が広がり、「まじめに働いても食べていけない」人たちがいます。コロナ禍は、こうした人たちの生活を直撃しました。デジタル化が進むことで、さらに雇用の打ち切りなどの影響が出る、という指摘は、見過ごせません。  こうした人たちの生活を、尊厳を、どう守っていくのか。その視点を忘れると、IT化は進んで便利になったけれども、「満たされた暮らし」にはほど遠い、ということになりかねません。社会としてどんな方向に向かっていくべきなのか。長期的な視野に立った議論が必要だと感じます。  

  • コンビニトイレを「公共」に、買い物なしでも利用可 神奈川・大和市

    仲村和代
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    朝日新聞デジタル機動報道部次長
    2022年1月21日11時35分 投稿

    【視点】 地域に足りないものを、すでにあるリソースを生かして補う。限られたパイを有効に使っていくためには、こんな発想で「公共」を作っていくことが、今後は大事になってくると感じます。  一方で少し気になるのが、コンビニ側の負担。以前、コンビニの24時間営業問題をきっかけにオーナーたちを取材していたとき、コンビニの機能が進化していくにつれ、現場の作業が複雑化し、負担が増している、という声を聞きました。単に「商品を売る」だけでなく、公共料金の支払い、宅配便の受付などにも業務が広がり、おでんに加えてドーナツ、コーヒーなども導入。高齢者の見守りの協定、宅配など、ありとあらゆる業務が課されるようになってきたからです。「24時間空いている地域の拠点」として頼られるのはうれしいが、その負担に見合うだけのサポートがない、という悲鳴でした。  地域の核として定着しつつあるコンビニ。支える側にとっても前向きな形で、こうした取り組みが広がっていくといいなと思います。

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