田中宝紀

田中宝紀たなかいき

NPO法人青少年自立援助センター
関心ジャンル:教育子育てダイバーシティーSDGs人権

最新コメント一覧

  • その労働力に熱い視線、「移民国家」の現実 なぜ日本を目指すのか

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年6月24日21時42分 投稿

    【視点】日本に中長期に在留する「定住外国人」の子どもたちやその保護者らを主な対象とした支援の現場を運営している身としては、記事中のGDPが高い国ほど日本を選ぶ傾向があるという点は、まったく実感が持てませんでした。 それはデータが誤りである、ということではなく、私たちが日々接している海外ルーツの子どもの保護者らの日本国内での就労先(工場やエスニックレストランなど)や出会う地域・コミュニティと、シンガポールや韓国、台湾等の出身の高学歴者が日本で選択できる就労先やつながりに分断があるということなのだろうなと推察しました。 その分断を抱えたまま、そして日本政府が「移民いないふり」をしたままで時間が流れていくことには不安を感じます。記事の最後に記されたように、果たして私たちは「移民を受け入れ続けるかどうかを(主体的に)選択する」ことが可能なのでしょうか。

  • 広がる日本語指導、学校でもオンラインでも 先生役は筑波大生

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年6月15日20時44分 投稿

    【視点】海外にルーツを持つ子どもの日本語教育体制の整備は地域間の格差が大きく、特に海外ルーツの子どもが少ない地域で、予算や人材の不足から、子どもたちが学校でなんの支援も受けられず「無支援状態」となっているケースも少なくない。 また、子どもたちが耳慣れない日本語を「動画教材」のみで学習することにはハードルがあり、オンライン会議室などを活用して、リアルタイムに双方向性をもってやり取りできる形式でのサポートが望ましい。もちろん、オンラインだけで日本語支援が完結できるわけではなく、生きた日本語を身に着けるには、身近な友人や大人とのかかわりを欠かせない。しかし、現段階ではオンラインであっても、日本語支援が「ないよりはいい」状態を作り出すことが最優先だ。なぜなら、言語的にも発達の途上にある子どもたちにとって、学びの機会の空白が、心身の健康な発育に影響を及ぼすことすらあるからだ。 記事中の筑波大学の取り組みは、オンライン活用という点で重要であり、今後もオンラインでの学びが日本語支援を必要とする子どもにとって、どれだけのメリットをもたらすのかを明らかにしてほしい。 一方で、本取り組みでは日本語教育を専門とする大学教員が「先生役」の学生を指導することになっているが、非専門家である学生による取り組みのみで「支援があるからよい」とならないように注意すべきだ。 言葉の発達の途上にある複数言語環境下に生きる子どもたちにとって、支援の匙加減一つで(結果として)母語を失わせたり、日本語力の育成を阻害したりするケースを目の当たりにしてきた。支援はないよりあった方が良いが、日本語教育には日本語教師という専門性が必要となる部分も小さくない。大学や自治体は日本語教育の専門家が関わるべき部分と、大学生など子どもたちにとって身近に感じられる若者が関わる部分とを明確化し、棲み分けながら、社会全体で海外ルーツの子どもの育ちを支えられる体制の整備に取り組んでほしい。

  • カモン!東大阪 ベトナム、ネパール、ミャンマー… 町工場は多国籍

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年6月14日21時41分 投稿

    【視点】記事の伝えたいことはよくわかります。いろいろなルーツの方々が気持ちよく働ける環境を実現されていることに頭が下がります。記事にはないご苦労もきっと多くあったのではないかと推察します。 実習生や外国人を受け入れている事業者のすべてが「あくどい」わけではなく、好事例もたくさんあることは理解しています。それをマスメディアが取り上げることの意義は大きく、貴重な発信だと思います。 ただ、残念なのは、記事中のいくつかの表現。 いくらインタビュー相手から聞いたからと言って 「日本人に見向きもされないから、日系ブラジル人を10人採用した」 「ベトナムばかりだとグループをつくってしまうかも」 との発言は偏見を含んだ表現だと感じましたし、この社長は、「外国人への偏見もアレルギーもない大人になった」、のではなかったか、と驚いたのが正直な感想でした。 この言動が社長のお人柄や根本的なお考えを表しているのだとして、この会社が実現したという「共生」の土台を疑わずにはいられません。また、記者の方がこれらの発言(一言一句、この通りだったとして)に「好感」を持って、あえてこのまま掲載したのだとすれば、記者の方の人権感覚を疑ってしまいます。 マジョリティ側が「そんなつもりはなかった」と後から言うような”些細な”ことで、多くのマイノリティが長年苦しめられてきました。 近年、これまでほとんど日が当たることのなかった海外ルーツの方々のことや、共生社会をテーマとした発信がメディアに取り上げられることが増えてきました。それによって一般の方々の間で課題認識が広がり、メディアによる発信が課題解決に結びついてきたケースも増えていると思います。細々と実態を発信してきた身としては、マスメディアの影響の大きさを思い知ります。 だからこそ、これから先共生社会の実現に寄与しようとするメディアの方々には、「課題を伝える」ことから一歩あゆみを進め、当事者が(も)記事を読んだときにどう思うかという視点を取り入れていただきたいですし、マジョリティの偏見を助長することがないか、二次加害に陥っていないかにも注意を払っていただきたいです。

  • 日本語教育機関に文科相の認定制度、新たな教員資格も 文化庁が検討

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年6月1日14時44分 投稿

    【視点】正直「寝耳に水」のような話題。会議の開催に関する情報はほとんど公開されておらず、知人が運営するSNSでの日本語教師グループでも情報をキャッチしていた人はいなかったそうです。 そもそも「日本語教師」には、国家資格化の議論もあったはずですが、今回の「登録日本語教員」がそれに代わるものであるのか、まったくの別議論なのかも不明です。 文化庁のホームページには、会議資料は会議当日までに掲載とあるものの、私が見た限りではまだ公開されておらず、関係者には戸惑いの声もあがっています。 記事を書いてくださった神宮記者に、この点についての詳報をお願いできるとありがたいです。 今回は日本語教育の質の確保が狙いとして挙げられていますが、留学生等を対象として学費を取って日本語教育を行う機関以外の、地域で暮らす生活者や海外ルーツの子どもを対象とした日本語教育の場には、そもそも質の高い日本語教師を雇用できるだけの予算を確保すること自体が困難な現状があります。 ボランティアによる活動は大変重要であり、地域に暮らしている人たちにしか担えない役割を持つものではありますが、「ボランティア(無償)でしか取り組めない」状況の結果として、自治体が彼らに依存してきた側面があることも事実です。 ニワトリが先か、卵が先かの課題ではあるものの、認定制度以前に、日本語教育機会拡充のための十分な予算措置を行うことが重要なのではないかと感じました。(当然ながら、このあたりも有識者会議では議論されているものと思いますが)

  • 無届け保育園に流れる訳は? 男児死亡、外国人を阻む「制度の壁」

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年6月1日14時10分 投稿

    【視点】2019年に文部科学省が義務教育年齢の外国籍の子どもの就学実態調査を行った結果、自治体がその就学先を把握できていないなど、不就学の可能性がある子どもが約2万人いることが明らかとなり、話題となりました。その後、文科省では対策を進め、義務教育の対象外となる外国籍の子どもであっても、日本国籍の子どもと同様に学齢簿を作成する際にいっしょに就学状況を管理、把握したりすることや、認可外の外国人学校も含めて子どもの状況を把握することなどの指針を出しています。 その結果、2万人だった就学状況が不明な子どもの数は翌年の調査で半分の1万人にまで減少。自治体が自分たちの地域に暮らす「外国籍の子どもも日本国内で教育を受けている」という当たり前の実態を認知した結果、必要な対応に結びついたものだと思います。 この就学状況の把握に伴う一連の対応は、記事中の自治体からのコメントに「看板のない施設をどうやって把握すればいいのか」に対する、一つの対策にもつながるものだと思います。就学実態の把握と同様、その自治体の中に住民として乳幼児がいる場合に、就園状況を把握する仕組みを持つことで、日本国籍であっても、外国籍であっても保育園にも幼稚園にも通っていない子どもの存在や、認可外・無届けの施設の状況把握にもつながります。 また、それだけではこぼれ落ちてしまう子どもには、外国人を雇用する企業や私たちのようなNPO、地域をよく知る民生委員など多様な人々とのネットワークを元に把握に努めることが重要だと考えています。 日本が今後も、海外から社会の担い手(働き手)を受け入れ行き続けねばならないことは明らかであり、彼らも安心して生活し、子どもを育てることのできる環境整備は必要不可欠です。 国籍に関わらず、地域の子ども、日本社会の子どもとしてその安全を守っていく仕組みを自治体が整備することができるよう、日本政府によるイニシアティブと十分な予算措置を伴う施策の展開を望みます。 (重要な課題をフカボリして下さり、ありがとうございました。)

  • (社説)ケアを担う子 早期把握と支援強化を

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年5月5日14時18分 投稿

    【視点】厚生労働省によるヤングケアラーの事例には「⽇本語が第⼀⾔語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている」子どもが含まれています。私がふだん現場で出会う子どもたちの中にも、「子ども通訳」として、保護者だけでなく周囲の同国出身者の病院や行政窓口での対応の矢面に立つ子どもは少なくありません。 病院での通訳の場合、外国人保護者の命にかかわる病状を医者から聞き取り、母語で保護者に伝えるような場面があったり、行政窓口でも難解な用語や文書と向き合わなくてはならないことがあり、母語であっても理解が難しいことも少なくありませんし、その心理的負担は想像を絶するものがあります。 以前出会ったある中学生のお子さんは、自分自身、日本語も母語もどちらもあまり得意ではないという状況でしたが、その家族の中では唯一「日本語がわかる」子どもであったため、あらゆる場面で「通訳」として保護者を支えていました。通訳のために学校を休まなくてはならないこともしばしばありましたし、大人の話しを正確に訳すことなどできていなかったはずです。 このような「子ども通訳」に関する課題解決への一歩はとてもシンプルで、医療機関や行政、学校などへの通訳配置や多言語翻訳文書の準備などがあれば、子どもを通訳としなくても大人だけで対応できるようになるはずです。 今では病院や行政窓口に機械翻訳アプリが常設されていたり、外国人住民の多い地域には通訳を兼ねた多言語対応の職員が配置されたりしていますが、対応が進んでいない自治体や機関も少なくありません。特に命にかかわる医療や福祉での通訳は専門性を必要とします。「外国語ができる」からと言って、誰もが通訳として正確に言葉とその意味するところを仲介できるわけではありません。政府や自治体は速やかに必要な人員配置とそのための予算措置を行うべきです。 そして私たち、周囲の大人は「ちょっとしたことだから」と、気軽に子どもに通訳や翻訳を依頼しないことから始めましょう。例えそれが、家庭同士や地域の些細な連絡事項であったとしても、大人が通訳アプリやジェスチャー、ピクトグラムなど、言語障壁を下げる工夫を最大限に行うことで、海外ルーツの子どもを「ヤングケアラー」としないよう注意していくべきだと思います。

  • (ひと)若林秀樹さん 学校と外国人家庭をつなぐ「ウェブ連絡帳」を開発した

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年4月27日20時58分 投稿

    【視点】若林先生の途切れぬ情熱が、E-Traとして具現化されたことに畏敬の念を感じている一人です。外国人保護者と学校の先生との間に立ちはだかる言葉の壁は、時に「外国人保護者は教育に無関心」と言った正確ではない言説を生んだり、外国籍の子どもは義務教育の対象外だからと踏み込んだ対応を避け、結果として1万人以上の外国籍の子どもの就学状況が把握されていないといった事態を引き起こすことにもつながったのだと感じています。 私が出会ってきた外国人保護者の多くは、我が子の日本での教育に関心を持ちながらも、学校の先生とのコミュニケーションが取れないことや、日本語で数多く出される「お便り」がわからないことなどが積み重なり、子どもの教育にかかわろうとする意欲をそがれてきました。 学校の先生方にとっても、言葉の通じない保護者や児童生徒を相手に「何かしてあげたいけれど、どうしたら良いのかわからない」状況の中で、ボタンをかけたくてもかけられないもどかしさを感じている方も少なくありません。 若林先生の「『特別』を普通に」することの重要性が、今ほど高まっている時代はないだろうと思います。学校の先生方の「何かしてあげたい」という気持ちをつなぎ、外国人保護者や日本語を母語としない子どもたちと正面から向き合う環境づくりのために、E-traをはじめとしたITの活用が有効である場面が多分に存在しています。残念なのは、それがなかなか学校現場に浸透しなかったり、存在自体が学校・教員に知られていない現状です。 新しいアプリやツールの導入は一時的に負担を増加させる側面があるのは否めませんが、いったん導入すればこれまで不可能だと思えた課題が解決に向けて動き出すことも少なくありません。特に教育委員会や学校管理職の方々にはぜひ、こうした有効なツールの活用を積極的に推進し、子どもたちと向き合う教員の負担軽減や多様なルーツを持つ子どもたちも学びやすい環境づくりをお願いしたいと思います。

  • 分数割り算でつまずいた私 大人になってわかった「今じゃなくても」

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年4月27日20時38分 投稿

    【視点】「学ぶ」という観点から自分の人生を振り返る、貴重な機会をいただきました。宮坂さんのコメントにもある通り、私が辿ってきた道は誰もが選べる選択肢ではありませんし、私自身も自分の子どもにですら勧めることをためらうような曲がりくねった道でもありました。高校を中退した日に、レールの敷かれていない荒野に降り立ったかのような不安で心もとない「自由」を得た感覚を今でも覚えています。 また、その荒野の中をここまで歩んでこれたのも、ただただ生まれ育った家庭や周囲に恵まれたからにすぎず、同じような幸運が誰にでも訪れるものではないことを強く実感しています。 だからこそ、今の仕事に携わる中で、家庭環境や経済状況、学校の中での人間関係など、自分自身で選びようのない状況・環境で苦しい思いをしている子どもたちが、そこから抜け出したり、苦しい思いをせずに伸びやかに学んでいくための支援や公的な施策が必要なのだと強く感じます。同時に、そもそも苦しい思いを子どもたちに強いることがないよう、学校の中や社会の在り方が変わる必要性も感じています。 私が、心ある多くの人々に救われてここまで生きることができたように、不十分ではありますが私も、その恩を次世代へと贈りつないで行くことができるよう、これからも力を尽くしていくことができたらと思います。

  • 「してあげたい」は続かない 外国人患者から学び続ける医師の原動力

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年4月26日9時42分 投稿

    【視点】小林医師の真摯な対応に頭が下がります。そして、医療と教育という、分野は違えど、同じく海外にルーツを持つ方々も利用する場を運営する者として、小林氏の『してあげたい』という感情を原動力にしない、という姿勢に強く共感します。 記事にもある通り、日本人の時と同様に相手に伝えようとする姿勢が、言葉が伝わらない中での信頼をはぐくむ経験を私たちも何度もしてきました。海外ルーツの方々とかかわる仕事をしているため、時に「何か国語話せるんですか?」「スタッフは全員、外国語に堪能なんですよね?」と聞かれることがありますが、そうでもありません。中にはバイリンガル、マルチリンガルのスタッフもいますが、基本的には「難民」や「外国人」ではなく、「〇〇さん」と、人と人として向き合おうとすることが、いろんな文化的背景を持つ方々と共に過ごすコツなのだと感じます。 「差別からではなく、対応のノウハウを知らないだけだと思うんです」 小林医師のコメントの通り、多様な人々と共に過ごすための対応ノウハウがもっと広がる必要性を感じます。社会の、日常の様々な場面で必要なノウハウが小林医師が「戦友」と呼んだように、海外ルーツの方々から学び、共に共生社会に必要なノウハウをつくり上げて行きたいですね。

  • 避難民支援へできること 東京外大がウクライナ語の無料講座

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年4月14日17時0分 投稿

    【視点】東京外国語大学による発表を見たときに、まさに必要な取り組みであり、東京外大ならではの支援だと感嘆しました。これまで1,000人以上の海外ルーツの子どもの受入れを行ってきた中でも、ウクライナ語を母語とする子どもは1人もいませんでした。(現在はウクライナ避難民の子どもの受入れを始めており、必要な限り子どもたちに日本語教育や学習支援を届けます。) これまで、海外ルーツの子どもの受け入れ体制の整備のために文部科学省や各自治体は独自に学校関係の文書や教材などを多言語へ翻訳して活用してきましたが、ウクライナ語が翻訳言語として選ばれたことはほとんどありませんでした。このように私たちのような「支援団体」にとってすらこれまでは「遠い」存在であったウクライナが、今般の人道危機によって一気に近づいており、受け入れの準備の段階でも、どう対応したらよいか迷うこともあります。 今現在、あるいは今後ウクライナから逃れてきた人たちと出会う自治体や団体の担当者の方々も、まずは安心して暮らせるよう支援を提供したいと準備をしているのだろうと思います。言葉の通じない日本で不安を感じることが無いよう、心を尽くして迎えたいと考えた時、相手の言葉を少しでも覚えようとする姿勢や、文化について理解を深めておくことで、その気持ちが伝わり安心感や信頼感につながります。 また、自治体の方にとっては、この講座の中で扱われる住民登録や役所窓口でのやり取りをウクライナ語で知っておくことで、受け入れる側としての不安を減らすことにつながりそうです。この講座を企画した方の想いが見えるようで、心強さを感じました。 一方で、安全な環境を必要としている人たちはウクライナの方々に限りません。ロシアの市民の中にも国を離れる決断をした人もいるでしょうし、アフガニスタンやミャンマー、ロヒンギャの方々など、命の危険を感じて日本へ避難している方々も同様に、日本で安心して生活することを求めていることを、多くの方々に知っていただけたらと思います。

  • 外国人の子育て「社会で見守って」 三重のNPO法人支援

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年4月14日16時27分 投稿

    【視点】重要な取り組みです。外国人女性や子どもに対する家庭内暴力は現場の実感値としても少なくありません。一方で、児童相談所や関係機関では言葉の壁などにより対応に苦慮している実態があります。「愛伝舎」が三重県と連携し児相へ通訳を派遣したことの意義は大きく、今後他の自治体でも同様の取り組みができるよう、政府による支援が求められます。 「外国人は社会の目が行き届かない」という坂本理事長のコメントはその通りで、特に日本人や永住者、定住者等の「配偶者」としての立場で日本国内に在留する場合、離婚することで日本国内に住み続けることができなくなってしまう可能性があり、これを恐れて暴力を我慢したり、声を挙げることができないなど特有の状況もあります。これを防止するためには、記事にある「子育てサロン」のような場で社会とのつながりを作り、孤立の防止を推進して行くことなど、日常的な取り組みが大切になってきます。 ただ、地域によっては外国人住民がわずかしかおらず、専門の取り組みを実施しづらいところも少なくありません。こうした地域では「日本人を対象に実施されている事業に、外国人もアクセスできる環境」を整備していくことで、セーフティネットの拡充を進めることができます。多言語の通訳や翻訳対応だけでなく、日本語があまり得意でない人にも伝わりやすい「やさしい日本語」やITを活用し広域行政圏で対応するなど、限られた予算の中でもできることは少なくありません。 中長期に日本国内に在留する外国人は280万人以上。今後、水際対策の緩和により新規に来日する外国人や海外にルーツを持つ方々の数も再び増加していく見込みです。彼らが「お客さん」ではなく、地域で生活する日本社会の一員である以上、日本人同様、教育、福祉、子育てなどをはじめとするすべての社会資源へのアクセスを確保し、共に安心して暮らせる社会の基盤整備が求められます。

  • 学校の欠席連絡、連絡帳からスマホに でも変わらぬ「プリント地獄」

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年4月11日15時26分 投稿

    【視点】お子さんが日本の学校に通う外国人保護者にとって、大きな悩みの1つが「お便りが読めない」ことです。学校から出されるお便りには様々な情報が含まれていますが、日本語が得意でない保護者にとってどれが重要なのものなのかを精査することすら困難です。学校の先生にとっても、外国人保護者に(お便りを通して)連絡事項が伝わらないことは負担が大きく、個別のフォローをすることもままなりません。 この積年の課題の解決手段の1つとして、お便りを紙ではなくデジタルで配信しすることを支援者らは長年求めてきました。お便りの内容がメールで届けば、そのままコピーアンドペーストでAI翻訳にかけることができるからです。AI翻訳は精度に課題は残りますが、少なくとも要旨を拾うことができます。 今後はますます日本の学校に通う子どもやその保護者の多様性が高まります。外国人保護者でなくとも、文章の読み書きが苦手な保護者もいるでしょう。そうした方々にとっても、スマホやタブレットの拡大機能や文書をわかりやすい日本語へ変換してくれるサイトを利用することで、情報へのアクセスはスムーズになります。 多様な子どもたちが安心して学ぶことができる環境づくりのためにも、デジタルならではのメリットに着目していただけたらと思います。

  • 4歳で戦争孤児に サヘル・ローズさん「思いを寄せ、おせっかいを」

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年3月22日9時54分 投稿

    【視点】戦争を経験し、孤児になり、縁あって日本にやってきたサヘル・ローズさん。日本の中で「外国人」としてさらなる困難に直面してきた彼女の経験を重く受け止めなくてはなりません。現在、自治体や企業などでウクライナからの避難民に対する国内での受け入れや支援表明が相次いでいますが、現在日本に暮らしている外国人は約280万人。彼らに対する受け入れ体制は不十分で、日本語教育も生活支援もままならない状況です。また、子どもたちは海外にルーツを持っていることや、親が外国人であると言うこと、「外国人風の見た目」であることだけでいじめや差別に晒される実態があります。サヘルさんのように紛争を経験して逃れてきた各地にルーツを持つ子どもたちも例外ではありません。 命の安全を脅かされ自国を追われる人々を迎え入れるためには、平時からの体制づくりが重要です。どの国にルーツを持っていようが、海外ルーツの方々が日本社会の中で安全に、じゅうぶんに生活していける教育や支援環境が整っていなければ、付け焼刃の中で特定の国の人々のみを受け入れようとしてもうまくは行きません。 今こそ、ウクライナの人々に示した共感を、日本社会全体に広げて行きませんか。日本の中であれば、ロシアの人々もウクライナの人々も、もちろん日本を含むその他の国の人々も改めて「隣人」として関係を構築できるような、共に生きる社会。その実現に向けて舵を切るチャンスを迎えているのかもしれません。

  • 「総合学習」で地元PR、費用は165万円 焦った担任を救ったのは

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年3月17日10時8分 投稿

    【視点】結果的に子どもたちのチャレンジが成功したことは素晴らしいことですね。山下さんのお気持ちが子どもたちに届き、実現を支えたことも、素晴らしいです。一方で、クラウドファンディングのリスクまで学習内容として検証されていたのかや、保護者への説明はなされたのか、クラウドファンディングで山下さんが100万円の寄付をしていなかったらどうなったのか。すでに発注を済ませている状況の中で担任の先生個人が追った責任の重さに驚きました。 今村久美さんのご指摘の通り、子どもたちのために何かしたいと思っている人たちはたくさんおり、「プロに発注するためにお金を集める」以外の選択肢も多数存在しています。「地域」の中だけで適切な協力者を見つけようとすると限られてしまうかもしれませんが、インターネットを通した情報発信などにより広くニーズを伝えることができれば、子どもたちを取り巻く「コミュニティ」は無限に広がり得ると感じました。

  • ウクライナ避難民に空き住戸の提供検討 山形県、県営住宅の300戸

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年3月17日9時47分 投稿

    【視点】自治体や企業による支援表明が相次いでいます。ウクライナから避難される方々が安心して暮らすことができる環境を提供しようとする動きを歓迎します。一方で、自国で安全を脅かされているのはウクライナの人々に限りません。ロシアやアフガニスタン、ミャンマー、シリアなどをはじめ、世界の難民の数は8,000万人を超えていると言われています。 日本にも国や地域を追われてやってきた方々がすでに数多く暮らしており、難民認定されることなく苦しい日々を送っています。命の重さが国籍によって変わることがないよう、今回、ウクライナの方々へ示した連帯と行動をきっかけに、すべての命を守ることができるようその枠組みを広げて行っていただきたいと思います。

  • 「学校がしんどい」 救ってくれたフリースクール 私も寄り添いたい

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年3月1日10時39分 投稿

    【視点】不登校の子どもたちにとってフリースクールは重要な選択肢の一つだと言えます。「その子」ひとりにとって何が大切かを考える時、おおたとしまささんのコメントの通り、学校に行くことだけが「正解」ではありません。 しかし、フリースクールは公的支援が乏しく、月謝が負担できない家庭があったり、アクセス可能な地域にスクールがなかったり、あるいは学びの形が多様であるがゆえに、そのスクールの方針が我が子に合わずに利用が進まないなどの課題を抱えています。文部科学省の『令和2年度不登校児童生徒の実態調査』によれば、フリースクール等の民間支援を利用したことがあるのは約11%に留まっています。 現時点では「この子のための『個別最適な学びの場』」を求めた時、その子の保護者の情報収集や行動力、経済力などに多くを左右されてもいます。 学校の外側に行政、民間共にどのような支援があるのか、どのような場がその子に合っているのか、情報提供や同行支援、関係機関との連絡調整などを行うことができる、踏み込んだ支援者の存在が必要だと感じることは少なくありません。 近年「学校に行かなくてもいい」「学校でなくてもいい」というメッセージが以前より多く発信されるようになったことは重要なことではありますが、「学校以外の選択」「より多様な学びの場」を保護者や子どもが実際に選べるような体制の整備も同時に進めて行く必要があるのではないでしょうか。

  • 夜間中学、増えるネパール人 大阪、「口コミ」広がり日本語学ぶ場に

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年2月23日11時36分 投稿

    【提案】夜間中学が事実上、定住する海外ルーツの方々の「日本語学校」として機能している実態がある。対応する学校教員は「手探り」で日本語を教えている場合も少なくない。日本語を母語としない人たちを対象とした日本語教育は、外国語学習であり、教科としての国語や英語とは異なる専門性が必要だ。 夜間中学は学びの最後の砦で重要な役割を担っているが、「日本語(だけ)を学びたい」と考える海外ルーツの若者や生活者の受け皿としてはそのニーズが異なる。本来の夜間中学での学びと同居させて良いのか慎重に検討すべきであるが、こうした人々にとって「夜間中以外に日本語を学べる場がない」ことが、夜間中学日本語学校化の一因となっている。 留学生や技能実習生ではなく、定住者、永住者、家族滞在等で日本に定住・長期滞在する海外ルーツの若者や生活者の日本語教育機会は、その子どもたち以上に限定的だ。民間の日本語学校ではこうした生活者の受け入れを行っていない場合も多く、地域の中にはボランティアによる日本語教室があればいい方だ。文化庁は地域日本語教育を充実させようと施策を拡充してきてはいるものの、その前提はボランティアが担うものであり、「毎日(のように)学習して日本語を一日も早く身に着けたい」と考えるニーズにはこたえきれていない。このため、同庁は夜間中学に入学する前に一定期間日本語学習が行える施策も用意しているが、まだまだ十分に活用されるに至っていない。厚生労働省による就労希望者を対象とした日本語教育機会も開かれているが、十分ではなく、在留資格等によっては受講できないケースもある。 現在、日本国内には約280万人の中長期在留外国人が暮らしており、コロナ禍の状況が落ち着けば再び増加に転じることはほぼ確実だ。移民受け入れ諸外国では、入国直後の外国人等に対しては数百時間以上、その国の言語や生活情報を学べる機会を無償または安価で提供している。情報の多言語化は進んでいるが、それだけでは安心して生活できない現状がある。日本社会が圧倒的に日本語社会である以上、本来は役割の異なる夜間中学のみにそれを担わせ続けのではなく、一日も早く「手探り」ではない専門家による公的な日本語教育機会を整備するよう十分な予算措置を伴う取り組みを実施すべきだ。

  • 「私に宿題ください」 夜間中学の存続を訴える69歳生徒会長の目標

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年2月21日23時26分 投稿

    【視点】文字を読んだり書いたり、理解する力、すなわち「識字」(しきじ)の力は、社会生活を支障なく営んだり、社会に参加するにあたって重要な能力であり、その力を身に着けることは重要な権利であると言えます。 日本における識字率は100%近く(99.8%)に到達したとされ1960年代以降は公的な調査も実施されていません。しかしこの到達率には通常「就学率」が当てはめられていて「学校に通ったから読み書きができる(はず)」という前提で成り立っている数字です。 しかし現在では、日本語を母語としない人たちの増加と共に、日本語の読み書きに困難を抱える人たちの数も増え続けています。日本に十年以上暮らし、会話はなんとかできるようになったけれど、ひらがなの読み書きも覚束ないという海外ルーツの方々も少なくありません。 日本の「識字率100%」の言説は、今や実態と乖離した数値となっており、日本社会の中の識字の課題は今一度、捉えなおされ、見直される必要があります。 夜間中学は、その識字の課題と向き合うことのできる最前線の教育の場でもあり、学びの機会を必要とする大人たちにとって最後の砦でもあると感じます。 統廃合の流れは致し方ない側面があるとは言え、夜間中学でしか学ぶことのできない方々の学びの機会が途絶えないよう、丁寧な対応を求めたいと思います。

  • 移民はもう溶け込んでいる?日本社会は変わるのか 是川夕×小熊英二

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年2月19日10時9分 投稿

    【視点】日本社会が大きな視点で見れば「ゆるやかな社会統合」の道を歩み始めているというのは是川さんのご指摘の通りでしょう。 たとえば2018年来は「外国人受け入れ体制の整備」という観点からは様々な施策が進み、日本語を母語としない方々にとっての社会資源へのアクセスが以前より改善されていることを実感します。こと行政サービスは多言語化が進みつつあり、海外ルーツの方の利用がデフォルトとして設計される施策も今後増えていくのだろうと思います。 今は課題が先行し、それにどう対応するか場当たり的な展開が続いています。海外にルーツを持つ子どもの教育支援現場を運営している身としては、状況として「前向きに変化している」とは捉えづらいのが本音です。 是川さんが描こうとしている「大きな見取り図」が「外国人」をひとくくりにせず、彼らの中の多様性や状況のグラデーションを明らかにすることにつながれば、必要な支援をより必要な人へ届けやすくなるでしょうし、エビデンスに基づいた未来志向の施策や取り組みも増えてくるのではと期待します。 一方で、社会統合状況の進展は共生社会の実現と必ずしもイコールではなく、「心の壁」は最後まで課題として残り続けるのではないかと懸念します。現場レベルの試行錯誤を重ねて解決に向けての道筋を見出すことができるよう、私も実践を続けたいと思います。

  • 日本で働きたい外国ルーツの若者 産官学で支援の動き

    田中宝紀
    田中宝紀
    NPO法人青少年自立援助センター
    2022年1月31日12時26分 投稿

    【解説】ここで言う「外国ルーツの若者」とは、留学生や技能実習生とは異なり、「日本で生活する外国人保護者の子ども」として来日し、日本国内で教育を受けながら成長した「元子ども」のこと。子ども時代に日本語教育等の支援機会が限定的であったケースが少なくなく、日本の公立小中学校や高校に通学経験があっても日本語力がじゅうぶんでなかったり、日本語での勉強についていけず基礎的な学力を育む機会が得られなかったという若者たちで、記事にある通り「不安定な雇用が続きがち」になる。 海外ルーツの高校生へのキャリア教育は、日本政府による取り組みも今後本格化していく。高校の中での取り組みだけでなく、NPO等、学校外でも海外ルーツ高校生への支援の機運は高まっている。 気になるのは、海外ルーツの子どもの高校進学率7割と推計される中で、「高校に進学できなかった3割」の、進路未決定の中学卒業者や、中退率が一般生徒の7倍上にも上ることが明らかとなった、高校中退後の海外ルーツの若者たちの行く末である。日本人や日本語で情報が得らえる若者であれば、厚生労働省認定事業「地域若者サポートステーション」等による就労支援や学びなおし、居場所の機会など中退後や無業の若者に対するセーフティネットが存在する。 一方、日本語を母語とせず、情報からこぼれやすい海外ルーツの若者たちにとっては、こうした若者を対象とするセーフティネットはじゅうぶんに機能していると言い難い。就労支援等運営団体自身も、日本語がわからない若者支援には戸惑いが見られる。 「キャリア教育」の取り組みを推進することで、「こぼれ落ちない」ように子どもや若者を育てて行くことは重要だ。同時に「こぼれ落ちた後」の若者たちに対するセーフティネットをどのように広げて行くか、喫緊の課題として、若者支援を担う行政や公益活動団体は外国人支援団体との連携の下にその取り組みを推進して欲しい。

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