吉岡桂子

吉岡桂子よしおか けいこ

朝日新聞編集委員=中国など国際関係
関心ジャンル:

最新コメント一覧

  • クーデター後初、中国外相がミャンマー入り 国軍との関係強化探る?

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年7月4日11時18分 投稿

    【視点】インドネシアでのG20外相会合を控えて、中国は東南アジアへの根回しを強めています。王毅外相はミャンマーを皮切りに、タイ、フィリピン、インドネシアを訪ね、G20後にマレーシアにも寄ります。広西チワン族自治区南寧にベトナム、カンボジアの外相呼び寄せてそれぞれ二国間協議、ミャンマーでは瀾滄江メコン川協力会議(カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム+中国)の外相会合も。アジアは米中対立の舞台となっていますが、ASEANの国々は「米中どちらも選びたくない」とも言っている。中国のような「マメ」さは、米国にはないし、地理的にも時間距離も遠い。 では、自らがアジアに位置する日本は東南アジアの国々に、どう向き合ってきたのか、これから向き合うのか。「アジアの人たちはほんとうのところは、中国を嫌いなんだよね」。日本の関係者に対する取材でかつて、そんな言葉をしばしば耳にしました。これに対して「好きや嫌いで中国とはつきあえません」とアジアの政府や学界の人たちは言っていました。中国がミャンマーを含む「東南アジア」に対してどう働きかけているかという問題は、日本が東南アジアに対して、またミャンマー問題にどう向き合い、何を働きかけているのか、どうすれば声を届けられるのか、動かせるのか、という問いと合わせて考えていきたいと思います。

  • G7、NATO首脳会議前に対抗姿勢 中ロ首脳、BRICSで訴えた

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月25日12時48分 投稿

    【視点】BRICSで作る新開発銀行(NDB)はロシアへの新規の融資を保留しています。ロシアのウクライナ侵攻を受けて3月に発表しました。国際金融機関として、最大のコンプライアンス基準を続けて行くとも述べていました。金融機関として国際市場から資金も調達せねばならず、ロシアの意向だけでは動けないのでしょう。 加盟国は2015年の設立メンバーBRICS5カ国から、バングラデシュ、エジプト、アラブ首長国連邦、ウルグアイへと初めて拡大が決まりました。本部は上海、初代総裁はインド出身者(2代目にあたる現職はブラジル)でした。モディ首相には気をつかっており、上海本部以外に初めて作る地域センターも、首相の出身地インド・グラジャート州です。首相肝いりでスマートシティー開発を進める国際金融テックシティーに置くことが決まりました。 NDBは同床異夢を百も承知で設立された銀行です。それぞれが自らの利益を最大限にするために活用する方法を探っています。インドは経済。資金やプロジェクトをできるだけ多く自国に引っ張ってくること。加盟国数が増えれば自らの取り分が減ってしまうので嫌なのかも知れません。新規加盟の増加をもともとの加盟国が抵抗するケースは、アジア開発銀行(ADB)などでもありました。 中国についていえば、競争力がある中国企業がプロジェクトを受注できる経済的なメリットもありますが、政治的な狙いが大きい。部分的な連携をわかったうえで「仲間」を増やすことではないでしょうか。

  • 対ロ制裁は「身勝手」 習近平氏、BRICSサミット前に米欧を批判

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月23日22時41分 投稿

    【視点】中国とBRICSとの貿易はロシアを中心に伸びています。1~5月でみると中国からBRICS各国への輸出入総額は12・1%増。ご想像のとおり、ロシアが顕著で、資源を中心に輸入が43・9%も伸びました。ウクライナ侵攻で売り先を失いつつあるロシアから中国は石油やガスを安く大量に買っているのです。BRICS全体をみても資源(石油・ガス)、農産品(食糧)、金属・鉱石が輸出の76・3%占めています。 この買う力を中国は国際政治のパワーにしています。習氏はこの演説で「制裁はブーメラン、両刃の剣で世界経済を政治化、手段化、武器化し、国際金融・通貨システムの主導的地位を利用して恣意的に制裁することは最終的に災難をもたらす」と述べました。世界にはこれに共感する国が少なからずいるなか、主権が暴力によって侵されたウクライナの問題にどう対処すればよいのか。難題を突きつけられています。

  • 政権転覆罪に問われた著名民主活動家が初公判 中国、非公開で即結審

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月23日22時18分 投稿

    【視点】この画面の彼の写真は、私が撮影したものです。2005年秋、北京の大学街にある彼の事務所で取材した時でした。前向きなニュースでした。「新型「区議」北京で奮闘 党や政府の後押しなしの2人 中国」という見出しで国際面に掲載されました。許さんは人権派の法律家で大学講師として党・政府の支持なしで区議に立候補して当選したところだったのです。約1カ月間の運動費用はビラのコピーに使った数千円だけ。「法律を使って、法律の枠内で少しずつ世の中をよくしたい」と話していました。しかし、その後、会うたびに中国の「人権派」を取り囲む環境は悪くなっていきました。会えなくなりました。 彼は2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を機に広がった市民運動の旗手でした。人権や民主を訴えた活動で何年も捕らえられていましたが、釈放から約2年後、習政権のコロナ対応を批判し、習氏は「政治家にある賢さがない」と退任を求めていました。そして再び消息が途絶えました。今回の容疑は「19年12月、福建省アモイで約20人が参加する会合を開催し、非暴力的な方法で民主化を図る「カラー革命」を謀議していた」などとするもので、国家政権転覆罪です。 許さんのことを思い出すたび、民主・人権の動きが芽吹きつつあった05年ごろの中国を思い出します。17年後にここまで政治的な自由が封じ込まれ、削ぎ落とされるとは―。またいつの日か、許さんと大学街の湖南料理を食べながら中国の将来について議論できる日が来ることを心から祈っています。どうかご無事で。

  • 「全ての大国を尊重」 日米の対中連携呼びかけに距離置く東南アジア

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月12日22時40分 投稿

    【視点】「ウクライナ」が浮かび上がらせたのは、日米欧VS中ロだけではない。東西冷戦時代の「非同盟」のような、中立を目指す「塊」の国々の多さです。どちらにもつかない、つきたくない理由はさまざまですが、アフリカ、中東、中南米、インドネシア国防相の指摘のようにアジアに多くみられます。人権や民主主義の問題で欧米から説教されることに嫌気がさしている国もあれば、中国との貿易額が増えて重視せざるをえない国もあります。冷戦期と大きく異なるのは、新興・途上国を中心とした「中立」志向の国々の世界経済に占める比率が圧倒的に高くなっており、人口動態からみても今後も増していくことが見込まれることでしょう。米国が志向する価値観外交の限界を示しているともいえます。民主主義国VS専制主義国という対立軸が、果たしてどこまで有効なのか。有効性の有無にかかわらず、なおこだわるのか。では、正当性をどこにおくのか。「中立」志向の国々に対して回答はどこまで用意できているでしょうか。

  • 過疎地の特例高校、過去最多の29校に 北海道で高まる廃校のリスク

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月10日19時27分 投稿

    【視点】初任地和歌山で数々の廃校を取材しました。お猿がうろうろしている山道を下手な運転で抜けてたどりついて、最後の校歌を涙ながらに歌う地域の人たちを取材しながら、私ももらい泣きしました。のちに東京の経済部で有名な経済学者たちを取材すると、「ほんとうはね、できるならばね、高齢化が進むなか、過疎地への補助金は日本の競争力をそぐ。限られた予算なのだから過疎地から人は県庁所在地あたりへ移動させるべきだよ」とあっさりと話していました。岡山の農村育ち、1学年1クラスしかない小学校で学んだ私は、どう反応してよいのか、あいまいな表情で下を向いていました。心のなかでは、岡山や和歌山で知っている人たちの顔が浮かび、あの人たちを別の場所に移動させるって?!なんでそんなことを平気で言えるんだろう、これが経済学なのか?って思っていました。あのとき抱いた気持ちは、中国やアジアに駐在したり途上国をどう包摂していくかを取材したり、米国の「トランプ現象」をさまざまな角度から考える機会があったりした四半世紀過ぎたいまも忘れられません。分かりやすくはなしてくれたのかもしれませんが。 何を選択していくか。どう納得感、合意をつくっていくかは、「経済学」ではなく、政治の仕事なのでしょう。 この記事の最後にある、「地域連携特例校となっている夕張、長万部、豊富では、地元自治体がまちづくりの観点から、学校維持のために生徒募集の支援や、通学費用の助成に取り組んでいる。こうした自治体の支援を踏まえ、道教委は今回の配置計画案で、3校を再編整備の対象から一時外した」。この行方を見守りたいと思います。

  • 香港に故宮博物館、7月2日に一般公開 北京から陶磁器など914点

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月8日21時44分 投稿

    【視点】北京、台北につぐ3つめの故宮、「香港故宮」は極めて強い政治性を放っています。2017年に返還20周年記念として決まりました。雨傘運動(2014)などを経て、香港では若い世代を中心に「中国人」ではなく「香港人」意識がより強まった時期でした。中国共産党は薄れる一体感をつなぎとめる装置として、「故宮」を中華文明の象徴と見立てて利用しようとしているのだと思います。ちなみに、中台関係が良かった国民党政権時代は、その結びつきをしめすように故宮同士の交流も活発でした。その交流は関係悪化とともに止まっています。

  • 値上げ許容度発言 黒田総裁が一部修正 「批判を甘受」 撤回応じず

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月7日18時50分 投稿

    【視点】「甘受」。国語辞典の例文には「苦しみを~する」という例文がありました。黒田総裁が批判を納得していないことを示しています。 「家計の値上げ許容度が高まっている」という見方は日銀の文書などにもあり、専門家にとっては初出ではありませんし、経済の方向性としても違和感を抱かない専門家もいると思います。ただ、総裁の発言は、経済金融の専門家だけがきくわけではない。経済に限らず、専門性の高い言葉が指す意味と、その言葉が持つ語感に乖離がある場合は少なくない。どの言葉を選ぶか。周囲の同質な意見を持つ人とだけではなく、異質な意見を持つ相手と幅広く議論したり、専門家ではない国民への説明責任を意識して記者会見をしたりすることで、説得力を持つ言葉を探れる面があると思います。専門性の高い分野の政策の遂行においてこそ、言葉を選ぶ力が大切なのではないでしょうか。

  • 対米不信があらわになった中国 戦争の先に待ち受ける「分断世界」

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年6月7日18時29分 投稿

    【視点】「緊張をコントロールするための冷静で重層的な努力」には手間がかかります。米国がアジアを「留守」がちにしていたあいだ、中国は押したり引いたり脅かしたりなだめたりして、耕していました。日本政府でもアジアを担当している方々は、中国が力を増していく地域で、地域の重要性を常に指摘されてきたと思いますが、それがどこまで届いていたか、疑問な部分もあります。アジアの国々の思考方法やニーズ、そして各国の中国との関係について知識を得ていかしていくことは、それぞれ違うし、手間ひまがかかることだと思いますが、不可欠な時代だと感じます。 ウクライナ戦争で明らかになったのは、「やっぱりG7の団結だよね」だけではすまない、アジアの中でいきる日本の姿ではないでしょうか。 「1月、日本外務省が東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々で行った世論調査で、「今後重要なパートナーとなる国」のトップが中国だったことは、経済も含めて複雑に結びつくこの地域のリアルな側面だろう」。記事の指摘に付け加えておきたいのは、重要なパートナーとしてだけではなく、「信頼」する相手としても、中国が首位で、日本はもちろん米国よりポイントが高かったことです。

  • ASEAN選ぶ「重要パートナー」1位は中国 日本抜いて07年以来

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年5月29日5時36分 投稿

    【視点】最も信頼できる相手も中国が19%、日本が16%。中国>日本は「重要なパートナー」だけではなかったことを、調査結果の基礎データの部分を読んでいて知りました。 調査はミャンマーのぞく9カ国の各国300人が対象で、G20の中で最も信頼できる国や機関をたずねる質問です。回答のトップはASEANで20%、そして中国、日本、米国(14%)と続きます。中国>日本は、ラオス、カンボジア、マレーシア、シンガポール。日本>中国は、フィリピン、ベトナム。インドネシア、タイとブルネイでは、日中がほぼ拮抗しています。 「信頼」の背景として「友好関係」「経済的な結びつき」「世界経済への貢献」などをあげた人が多かった。 米国をトップにあげたのは、フィリピンだけでした。ASEANから見せる世界、中国の姿は、日米から見える風景とは異なることを鮮明に表しています。同時に、日本社会が期待するASEANのイメージとも違う面があるかもしれません。この現実を踏まえて、アジア各国にどう向き合っていくか、働きかけていくかが大事だと思います。

  • 葛西敬之・JR東海名誉会長が死去、81歳 国鉄民営化、改革3人組

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年5月27日15時35分 投稿

    【視点】「JR東海社長に葛西敬之氏」。95年4月、私が運輸省を担当して3週間たったころ、夕刊に突っ込んだ短い記事が、最初の取材だった。その後、社内はもちろん取引先の製造業に対しても、社長時代よりも退いてからますます影響力を増していったと思う。ぴりぴりする空気もあった。政治への影響力がより強まったからだろう。メーカー各社も、とても気をつかっていた。  私が中国特派員になってからは、新幹線の輸出問題で取材をした。「産業振興だけでなく、外交や安全保障の延長として考えるべきだ」。20年前からそう話していた。印象深いのは、朱鎔基首相が来日した2000年のこと。山梨リニア実験線に乗りたがった。葛西氏は「見せたくない」と主張し、案内したがった日本政府と対立した。日本は当時、北京=上海高速鉄道商戦で仏独と競争していたので、日本政府は「見学しただけで何かを盗めるものでもないし、気持ちよくみてもらって日本の新幹線を中国に売り込もう」といっていた。葛西氏は「安全保障上、ありえない」と主張した。結局、朱氏は夫妻でリニアに乗った。時の運輸大臣も次官も同行したが、葛西氏は姿を見せず、副社長に任せた。後日、「朱氏は機嫌が悪かったそうだね」と話していたことをおぼえている。  最後にインタビューしたのは17年秋だった。「中国が一帯一路戦略で、鉄道の輸出を「覇権」や国内の過剰生産力の排出先に用いるような動きを強める今、(当時からの主張に)より確信を持った」と繰り返していた。  ただ、執着していた同盟国米国への新幹線輸出は、相手先の事情もあってはかばかしくない。社内には、自然消滅を期待する声もあるときく。  新橋から列車が走って150周年の今年、「国鉄改革三人組」と呼ばれた葛西氏が亡くなった。JR東海自身だけでなく、リニア問題、鉄道業界はどのように変わっていくだろうか。取材を続けたいと思います。

  • 米の肝いり経済構想「IPEF」の舞台裏 対中国にらむ日本の思惑は

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年5月23日23時18分 投稿

    【視点】中国はIPEFに強く反発しています。専門家の発言を借りて「三つの弱点」「三つの事実」を指摘する論考を共産党機関紙人民日報系「環球時報」に寄せている。興味深いので紹介したい。 欠点とは、①目的がはっきりしない。米国のためか「インド太平洋」のためか。セールスポイントを並べようとしても苦心惨憺だ②理念が自国(←米国を指す)の損得ばかりにこだわっている。地政学地経学が中和したにおいがする③ルールがばらばら。関税削減や市場参入の支援がない。3つの事実とは、①アジア太平洋諸国は中国との協力を放棄するはずはない。多くにとって最大の貿易相手だ。②ルールによる拘束がないため、米国の政局の変化と共に米国の態度が変化しかねない③米国内にも妨害要因がある―。黒竜江省社会科学院北東アジア研究所長の笪志剛氏の寄稿です。 まとめとして、こう断じています。「中米競争が激化、ロシア・ウクライナ紛争が続くなかで急ごしらえで描いた青写真であり、本質的には経済の大義名分によって中国の影響力を最大限封じ込め、米国のインド太平洋における地経学的主導力を確立することに狙いがある」。これを読むと、米国の狙いはそのまま通じているともいえます。 この前提で、アジアの国々に対して、アジアの経済統合が阻まれ、サプライチェーンが政治化され、地域の交流が陣営化され、同様と混乱を生み出しかねないと認識する必要がある、と促しています。中国はアジア各国に対して硬軟とりまぜて働きかけを強めていくでしょう。それにアジアの国々はどう向き合うか。シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、インドネシア、ブルネイ、マレーシアの今後の動きにも注目したいと思います。日本もアジアにいっそう関与を強めるべきでしょう。

  • 林氏、ウクライナで中国に「責任ある役割」要求 オンライン外相協議

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年5月18日21時11分 投稿

    【視点】バイデン米大統領の来日前に、日本側から申し入れて日中外相が会談。ほぼ半年ぶりで、ロシアのウクライナ侵攻以後、初めて。必ずしも中国の姿勢に賛同していない、むしろ批判的な欧米先進国が首脳レベルでも協議を重ねているなか、隣国どうし互いに「シカト」しあっているほうが不自然だった。 日本側はロシアを非難し、中国に責任ある役割を求めたが、中国側の発表では触れていない。日中国交正常化50年にあたって協力の重要性を説き、経済が関係の安定、推進装置になること、台湾問題にかかわる日本の姿勢を批判したことを強調し、ロシアの侵攻や北朝鮮の問題などについては「互いに関心を寄せる地域・国際問題について意見を交換した」とだけ書いてあった。二国間に閉じたかたちでの発表になっている。 ロシアのウクライナ侵攻以降、中国政府は「味方」作りのための新興・途上国だけでなく、ロシアを強く非難する欧米とも会談してきた。日本はエアポケットのようになっていた。バイデン氏の来日前に、日本側からの申し出で外相が会談したのは良い判断だと思う。日米首脳会談では当然のことながら、「ウクライナ」を含めて中国の対応ついて議論し、中国を批判したり牽制したりすることになるだろう。尖閣諸島をはじめとする東シナ海、南シナ海の問題、香港や、新疆ウイグル自治区の人権問題への懸念、台湾の問題、言うべきことはまず直接言っておくことは、当事者として必須だったと思います。

  • 米政権、東南アジアに1億5千万ドル投資へ 沿岸警備隊の船派遣など

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年5月13日19時43分 投稿

    【視点】中国外交部報道官は「向こう3年で15億ドル(←米国の10倍)の援助を約束している」と13日の会見で述べている。金額は内容によるので単純には比べられませんが、米国の1.5億ドルは中国が比べて語りたくなる数字だったのでしょう。「向こう5年で1500億ドルの農産品を買う」とも。ASEANにとって中国は最大の貿易パートナーですが、中国にとっても地域でくくればASEANはEU、米国、日本を上回る最大の貿易相手です。しかも米中対立の中で伸びている。「中国とASEANはゼロサムゲームはしない。中国も米国もアジア太平洋の国だ。アジア各国の声をきいて尊重し、協力してWINWINの関係を」とも述べた。いつも通りの話ですが、ASEANの国々も米中どちらかを選ぶつもりはない。ASEANにとって米国は、地域の大国中国とバランスをとるための非常に重要な国です。 では、米国は、そのASEANに対して何ができるか。TPPに変わる米国主導の経済枠組みは、米国市場の開放抜きで実効性を持つのか。ASEANの国々とって、ワシントンで得た手応えは、どの程度評価できるものなのか。アジアの声をきいてみたいと思います。

  • 「上海の強制隔離は違法」と憲法学者が当局批判 意見書公表後に削除

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年5月9日22時10分 投稿

    【視点】「わが国の防疫政策を疑い、否定するあらゆる言動と断固戦う」という習近平氏の発言に、私の古い知人の上海人は怒りに満ちていた。車での移動制限も激しいので、当局が発行する通行許可証は日本円で千万単位で売り買いされているという。「上海は文革時代に戻ってしまった」。中国が世界に誇る国際都市上海の現在の状況は、当局が支配するメディアがどれほど伏せてもSNSや口こみを通じて世界に伝わる。「わかりあえない、国際的に話が通じない人たちだ」と思われる、その代償の大きさは、上海人がもっとも嫌うものだろう。

  • マスク氏がツイッター買収 ネットの言論空間が変わる可能性も

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年4月28日21時8分 投稿

    【視点】テスラにとって中国は米国と並ぶ市場であり生産拠点です。中国当局も重視しており、上海の工場は進出の合意から2年足らずで稼働にこぎつけました。コロナで都市封鎖が続くなかでも、4月19日には3週間あまり停止していた生産をいち早く再開させました。いっぽう、よく知られるとおり、中国は言論統制の一環としてツィッターの国内での利用を厳しく制限しています(←海外では、中国外交官も世界中で対外宣伝に活用し、戦狼外交のツールにもなってていますが・・・。それはともかく)。中国市場を重視せざるをえないテスラの買収によって、ツィッターの対中国戦略は変わるのか、変わらないのか。ツィッターの言論空間に対して、中国の影響力は強まるのかどうか。中国とのかかわりからも注目したいと思います。

  • 南シナ海の埋め立て、得たものと失ったものは 中国の専門家に聞いた

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年4月28日13時30分 投稿

    【視点】相手の言動、ふるまいが肯定できるものでなければないほど、記者であれば取材し、考える材料を提供する必要があると思います。彼らはなぜ、そうした行動をとるのか。それはなぜなのか。林望中国総局長の呉士存・中国南海研究院名誉院長へのインタビューも、それにこたえようとしたものだと思います。共感も同意もできない話であったとしても、むしろあればあるほど、中国側の理屈や論理がどこにあるのかを深くほりさげ知り抜いてこそ、より有効な対処の方法を探れると思います。それは、ウクライナを侵攻したロシアについても同じことが言えると、日々のニュースに接しながら感じています。

  • 膨らむ巨大経済圏の足元 蜜月の国で大規模開発、中国軍の拠点に?

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年4月25日15時26分 投稿

    【視点】中国がコッコン州で進める港や空港などが一体となった大規模開発はカンボジアの海岸線の2割を占めるといいます。ここから車で4時間ほどでカンボジアを代表する港シアヌークビルがあります。日本が長く支援して開発し、後背地の工業団地にはプノンペンで店舗を展開するイオンモールの進出も決まりました。物流センターを造るそうです。中国は要衝シアヌークビルの港の権限をほしがっていましたが、日本が手放さないのは安全保障上の理由もありました。 しかし、この記事にあるように中国はその近くに位置するコッコンに自ら港や空港を造りつつあります。さらにフンセン氏や経済のつながりだけでなく王室と中国共産党は近しい関係にあります。カンボジアのシアヌーク国王が12年に亡くなったのは度々治療のために滞在していた北京でした。現在のシハモニ国王も北京をたびたび訪ね、今年の2月には北京冬季五輪の開幕式にも出席し、3月には前王妃モニク氏をともない特別機で再訪しています。フンセン氏と習近平氏が強調する「鉄の絆」は王室ともつながっています。 いっぽうで、興味深いのは、カンボジアは自国通貨リエルよりもドルの信頼が圧倒的に厚く、現金の8割、預金の9割が米ドルを中心にした外貨です。アジアでも米ドル流通率が高い国のひとつです。中国の圧倒的影響下にあるカンボジアで、この通貨構造は米国にとってどのような意味を持つのか。かつて宋銭は国際貿易通貨でもありました。アジアだけでなく、中東やアフリカでも使われました。デジタル化が進むなかで人民元はどのような力を持ちうるのか。21世紀における通貨の攻防も注目したいと思います。

  • 「中国船に海まで盗まれる」 立ち上がった漁師、でも魚を買うのは…

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年4月24日20時31分 投稿

    【視点】東南アジアの国々を中国に引き寄せる磁力の大きな要素が経済であるならば、米国はなにをしているのだろうか。TPP交渉にかかわった日本政府の関係者がそう、指摘していました。共通のルールをアジア・太平洋に作ろうとしてTPPをたちあげたはずが、トランプ政権で一方的に離脱。米国市場があるからこそ、国内経済を改革してでも加盟する意欲がわきます。米国の巨大市場にかわる国は現在のTPP加盟国にはありません。これに対して、中国は少なくともRCEPの枠組みでアジアに対して恩恵を与えていると、この関係者は話していました。 振り返れば、東西冷戦時代、民主化前で開発独裁下にあった東南アジアの国々を「反共」のとりでとして米国に引きよせたのは、果たして価値観だったのでしょうか。安全保障とあわせて経済力も大きかったと思います。 バイデン大統領は5月中旬、ASEAN首脳をワシントンに招いて特別会議を開きます。米ASEAN関係樹立45周年を記念したものです。3月末に予定されていましたが、日程があわず、延期になっていました。米国の大統領が招集しても、予定があわないと言える時代になったのだなあ、と感じました。 バイデン政権が準備を進めているとされる「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」について、特別会合にあわせて何か発表があるかどうか注目されています。米国への輸出増を目指すASEANの国々に対して、米国は何ができるか。この問題は、アジアの「海」の安定とも結びついていると思います。

  • 「心臓がえぐられる思いだ」 日清戦争の激戦地で習近平がつぶやいた

    吉岡桂子
    吉岡桂子
    朝日新聞編集委員=中国など国際関係
    2022年4月23日20時4分 投稿

    【視点】中国の交通地図には台湾海峡に太い計画線が書き込まれています。京台高速鉄道。北京と台北を結ぶ鉄路は、習近平氏が17年間にわたって勤務した福建省の福州から、平譚島までは2年前に橋が架けられ開通しました。北京から2350㌔の道のりを毎日12時間かけて高速列車が走っています。全線を通して乗る人はほぼいないでしょう。政治的なプロパガンダ路線です。 その先、台湾海峡を越えて台北へ。昨秋には「列車に乗って台湾へ行こう」という曲まで作られました。習政権下で打ち出された2035年までの国家総合立体交通網計画概要によれば、平譚島と台湾本島を長さ130㌔の橋か海底トンネルで結び、鉄道と道路を造る構想です。実は、この計画はそのものは新しくない。私が取材を始めた2000年代初めからずっと語られてきました。ただ、風が非常に強い地域とされ、そこに橋をかけるには高度な技術が必要とされていました、平譚島まで延びたことは、中国の技術はそれをこなしたことを示しています。 長年にわたって絵空事のように思えた構想ですが、中国にはすでにお金も技術もある。この記事にあるように、習近平氏は台湾問題にこれまでのトップ以上の執念もある。事実上のトップを35年あたりまで務めるのではないか、ともみられています。  ないものは信頼です。私は中台をつなぐ橋やトンネルはかつてより遠のいたと感じます。台湾側はかねてこの計画を相手にしてきませんでしたが、国力が強まるに連れて強硬になる中国に、ますます警戒し、関係に距離ができているからです。京台高速鉄道の行方は、超長期的なスパンで、中台関係を占うことになると思います。

コメンテーター一覧