個性や多様性を尊重したインクルーシブな社会づくりをめざして
株式会社朝日新聞社は2020年12月、ビジネスにおける障がい者インクルージョンを推進することでインクルーシブな社会づくりを目指すムーブメント「The Valuable 500」に参加しました。

「The Valuable 500」は、インクルーシブなビジネスはインクルーシブな社会をつくるという考えのもと、2019年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にて発足しました。障がい者がビジネス、社会、経済に与える潜在的な価値を発揮できるように、ビジネスリーダーが自社のビジネスをインクルーシブにする改革を起こすことを目的としています。世界で500社のCEOの賛同を得ることを目指しています。
朝日新聞社はこのプロジェクトの趣旨に賛同し、参加にあたって障がい者インクルーシブな社会をつくるためのアクションについてのコミットメントを発表いたしました。コミットメントの骨子は以下の3つです。
- インクルーシブを広げるメディア
様々な人々が分け隔てなく生活し、ともに歩んでいける社会を目指した報道やイベントを継続、発展させることで、心のバリアフリーを広げることに貢献します。 - インクルーシブな使い勝手のメディア
すべての人が朝日新聞社の情報を利用できるよう、ユニバーサルデザインや情報保障の考え方を取り入れた取り組みを加速させます。 - インクルーシブな働き方のメディア
弊社では社内のいろいろな部署で、さまざまな障がいのある従業員が活躍しています。障がいのある従業員がさらに働きやすい職場環境を作っていくことで、すべての従業員がより働きやすい会社になるようにします。
今後もインクルーシブな社会を実現するために、さまざまなアクションを継続していきます。
The Valuable 500 朝日新聞社コミットメント(全文)
朝日新聞社は障がいの有無に限らず、誰もがお互いの人格を認めて支え合い、すべての人の個性や多様性を尊重できる暮らしやすい社会になるように努めます。インクルーシブな社会の実現に向け、報道やイベントを発展させてまいります。
1.インクルーシブを広げるメディア
様々な人々が分け隔てなく生活し、ともに歩んでいける社会を目指した報道やイベントを継続、発展させることで、心のバリアフリーを広げることに貢献します。
- 多様性を重んじ、障がいに限らず様々なからだや心の特性などについて読者の皆様が理解を深め、自分のことに置き換えて考えられるような報道・イベントをめざします。当社では1928年に朝日新聞厚生文化事業団を設立しました。「お互いに支え合い、だれもが安心して暮らせる社会」の実現のため、「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」「精神疾患のある親をもつ子どものつどい」など様々な事業に取り組んでいます。設立のきっかけは1923年の関東大震災だったことから、災害時の障がい者支援にも積極的に取り組んでいます。人と人のつながりを通じて互いの人格や個性を認め合うことに役立てていただける情報をこれからも発信します。
- 障がいのある方もない方も、だれもが分け隔てなく参加して一緒に楽しめる事業やイベントを企画、実施します。
2. インクルーシブな使い勝手のメディア
すべての人が朝日新聞社の情報を利用できるよう、ユニバーサルデザインや情報保障の考え方を取り入れた取り組みを加速させます。
- どのような人でも情報にアクセスできるよう、伝わりやすさを重視したデザインのグラフィックを使ったり、活字に限らず多様なチャネルを通じて情報発信したりすることで、情報伝達の幅を広げていきます。朝日新聞デジタルの「チャレンジド wonder athletes(http://www.asahi.com/special/challenged/)」のように、写真や動画、CGなど多彩な表現を、障がいの有無や年齢などに関係なくどんな環境の方々でもアクセスして理解できるように、ウェブ・アクセシビリティに配慮したコンテンツづくりを目指します。
- 読者の皆様の使いやすさを向上させるため、寄せられたご意見を情報発信の改善に取り入れます。また、音声ニュースサービス「朝日新聞アルキキ」や「朝日新聞ポッドキャスト」の開発など、最新のテクノロジーを駆使して情報へのアクセスのしやすさを確保します。
3. インクルーシブな働き方のメディア
社内のいろいろな部署で、さまざまな障がいのある従業員が活躍しています。障がいのある従業員がさらに働きやすい職場環境を作っていくことで、すべての従業員がより働きやすい会社になるようにします。
- 障がいへの理解を深め、他者とのコミュニケーションの大切さを再認識するなどの社内研修を取り入れています。こうした体験を通じてひとりひとりが能力や個性を発揮できる取り組みを継続し、発展させていきます。
- 支援機器の配備や社内のバリアフリー化をさらに進め、障がいの有無や種類にかかわらず、誰もが活躍でき、快適に仕事ができるオフィス環境づくりに努めます。
「ビジネス・アシスト・オフィス」の取り組み
朝日新聞社は障がいのある方の採用にも積極的に取り組んでいます。その一環として、2018年4月、障がいのある方が働く専門部署「ビジネス・アシスト・オフィス(BAO)」を東京本社内に設けました。障害のあるスタッフが、専門知識を持ったサポーターのもとで勤務し、社内の多数の部署から依頼を受けて日々作業や業務にあたっています。
BAOが支える本社の取り組みの一つに、NIE(新聞を教育に)活動で使われるSDGsふせんがあります。

SDGsふせんとは、SDGsの17目標が書かれたふせんと、利用者が自由に書き込める白紙のふせんがセットになったものです。余白部分に自分が気づいたことを書き込んで新聞記事に貼ることで、思考の見える化や、意見の共有に役立ちます。

BAOのスタッフはこのふせんの製作に携わっています。制作には、ふせんを貼る前に、台紙に折り線どおり折り目を付ける▽台紙からのりがはみ出ないよう、ふせん裏中央に適量ののりをつける▽目印どおりの位置にふせんを貼り付ける▽のりが乾いたら台紙を1枚ずつビニールに入れる……など、細かな作業が求められます。
BAOでは他にも、社が主催する展覧会・博覧会の配布物や「朝日新聞SHOP」の商品カタログ梱包(こんぽう)発送、パソコンを使った作業、契約書などのPDF化などを行ってきました。