朝日新聞社と国立天文台は9月13日、米ハワイ島のマウナケア山頂付近にある「すばる望遠鏡」の施設に設置した「星空ライブカメラ」について、運用などに関する協定を締結しました。同日、東京都中央区の東京本社でメディア11社が集まった調印式と記者会見が行われ、中村史郎社長=写真左=と国立天文台の常田佐久台長=同右=が協定書に署名しました。

ハワイ・マウナケアの星空

 マウナケア山は太平洋の真ん中にそびえる標高約4200mの火山。人工の光が少なく、気流が安定していて晴天率も高いため、世界各国の13基の大型望遠鏡が集まる世界有数の天体観測地として知られています。朝日新聞社は国立天文台の協力を受け、すばる望遠鏡のドームに星空ライブカメラを設置し、山頂からの映像を365日24時間、Youtubeチャンネル「朝日新聞宇宙部」でライブ配信する試験運用を2021年4月に始めました。

 防水ボックスや配信システムも朝日新聞社が開発し、山頂付近を管理してきた米ハワイ大など関連機関と国立天文台が交渉して設置の許可を得ました。同年8月からは、ソニーマーケティング株式会社から貸与を受けたカメラとレンズにより、より精細な映像が得られるようになりました。

 激しい寒暖差や、酸素量が地上の60%という空気の薄さなど、過酷な自然環境のなか、技術的な問題を少しずつ解決し、1年半にわたってほぼ途切れなく配信を続けることに成功しました。同年のふたご座流星群がピークを迎えた12月14~15日の夜には、チャンネルの視聴回数が一晩で約150万PVとなるなど、高い関心を集めました。チャンネル登録者数は5万人を超えています。

ハワイ・マウナケアの流星クラスター

 こうした成果が上がっていることや、技術的に配信が安定してきたことなどから、ライブ配信のさらなる発展を期し、朝日新聞社と国立天文台で正式に協定を結び、本格運用を始めることで合意しました。

 調印式で常田台長は「マウナケア山頂付近は素晴らしい星空が広がる世界屈指の天体観測地で、ここに今回、朝日新聞社の協力で星空ライブカメラを設置し、安定運用できることになったことは、天文学のみならず、科学の裾野を広げることにつながり、国立天文台としても大変意義深いことだと考えております」。中村社長は「天文台と新聞社の連携協定は、日本ではかなりユニークな取り組みではないかと思います。個人的にも、今回の協定締結には胸が躍る思いです。今回の協定により、国立天文台と朝日新聞社の協力が深まり、ひいては基礎科学の発展の一助になることを祈念しております」と語りました。調印式の模様は「朝日新聞宇宙部」で生中継され、見逃し配信もされました。

 今回の協定により、双方が協力して星空カメラとライブ配信にかかわり、さらなる発展と情報発信に取り組みます。例えば、流星群や月食のような天文イベントを分かりやすく解説したり、読者の疑問に双方向で答えるコンテンツ制作を検討したりします。新聞社と研究機関が協力し、宇宙や天文学のすばらしさを世界に発信する、新しい取り組みに挑んでいきます。