日本新聞協会は9月6日、2023年度の新聞技術賞を発表し、新聞印刷のコストや環境負荷の軽減を実現した朝日新聞社の「ブランケット復活装置の開発」が選ばれました。
ブランケット復活装置は、新聞印刷の過程で用いるゴム「ブランケット」について、使用した後でも厚みを復活させ、再び使うことができるようにした装置です。新品購入費の約10分の1でブランケットを復活させることができ、捨てていたブランケットを再び使うことで、環境負荷も減らすことができます。朝日新聞社が主導し、子会社である株式会社朝日プリンテックと共同で開発しました。
授賞理由
朝日新聞社は、これまで廃棄されてきた使用済みのノーマルブランケットを再び輪転機に使用できるように復活させる装置を、子会社の朝日プリンテックと共同開発した。
ブランケットの継続使用による印刷品質劣化の主要因を、緻密な検証により基布層の厚み低下だと突き止め、同層に樹脂を平滑に塗布することで再利用を可能にした。再生されたブランケットは新品よりも耐久性が高く、厚み復活のコストも低廉であり、製作費用と環境負荷の両面で大きな削減効果をもたらした。
資材価格の高騰、製作部門のコスト削減、環境への配慮が各社共通の課題となる中、ブランケットのリサイクルという斬新な発想を長年の試行錯誤を経て実現した技術は革新的で、業界全体の課題への解決策を示す取り組みとして高く評価され、新聞技術賞に値する。
新聞技術賞とは
新聞技術賞(旧・新聞協会賞技術部門)は、新聞界(通信・放送を含む)全体の信用と権威を高めるような活動を促進するとともに、新聞にかかわる優れた技術を顕彰する目的で、顕著な功績のあった新聞協会加盟社所属の新聞人に対して贈られます。
新聞協会賞はもともと「編集」「技術」「経営・業務」の3部門構成でしたが、2020年に再編され、編集部門を「新聞協会賞」、技術部門を「新聞技術賞」、経営・業務部門を「新聞経営賞」として表彰しています。
授賞式は、10月18日(水)長野県軽井沢町で開かれる第76回新聞大会式典の席上で行われます。