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週刊人間国宝

工芸技術 諸工芸(1)

截金

白石和己 山梨県立美術館長

 截金(きりかね)とは金銀箔(きんぎんはく)を細線や三角、菱形(ひしがた)などに切って、それらを貼り、文様を表現する方法である。日本には仏教伝来とともに朝鮮半島より伝えられ、法隆寺(ほうりゅうじ)の玉虫厨子(たまむしのずし)(国宝)や正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)中にもその作例が見られる。截金は仏教美術を中心に発展してきたが、平安時代は截金が最も隆盛した時代で、当時の仏像・仏画には繊細優美な截金が施されている。鎌倉時代になると、文様などに新しい表現が生まれたが、その後、室町時代から江戸時代には形式化していった。仏像・仏画へは、現代でも行われているが、工芸品に積極的に応用されるようになったのは、近代になってからである。1955年(昭和30)に「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として東京の西出大三(にしで・だいぞう)、京都の北村喜市(きたむら・きいち)、永田清高(ながた・きよたか)の3人の技術が選択された。人間国宝としては81年に齋田梅亭(さいた・ばいてい)、85年に西出大三、2002年に江里佐代子(えり・さよこ)が認定されている。 [全文を読む]

斎田梅亭/西出大三/江里佐代子

もっと知るために

写真【伝統を学ぶ】

 型紙(かたがみ)に貼(は)りつけた「箔(はく)」を刷毛(はけ)で払う。 すると、型に描かれた花文様がくっきりと浮きあがる。 [全文を読む]

写真【美術館・博物館・ビデオ・本】

【美術館・博物館】
石川県立美術館  石川県ゆかりの美術工芸品などを中心に所蔵・展示する。 特に加賀蒔絵(かがまきえ)などの大名道具や、九谷焼(くたにやき)のコレクション、数多くの人間国宝の作品を中心とする伝統工芸の展示が見どころのひとつ。 [全文を読む]

今週の人間国宝名鑑

◆斎田梅亭(さいだ・ばいてい)

1981年認定 1900.4.6−1981.6.1

生家は西本願寺専属の截金仏画を家業とする。京都市立美術工芸学校を卒業後、兄の五代斎田晨三郎について截金技術を修業。兄の没後、六代目を継いで截金仏画を制作。のち飾筥や茶器などに繊細典雅な作品を制作。

◆西出大三(にしで・だいぞう)

1985年認定 1913.6.7−1995.7.8

石川県生まれ。東京美術学校で木彫などの修理技術を学ぶ。仏像に加飾された截金に関心をもち、全国の仏像を調査し、截金技法を研究、技術を習得。岩絵の具で彩色した上に截金で装飾した香合、合子、置物、盤などの作品を制作。

◆江里佐代子(えり・さよこ)

2002年認定 1945.7.19−

学生時代に日本画と染色を学ぶ。仏師を家業とする江里家に嫁ぎ、截金の保存を痛感。北村起祥のもとで伝統技術を習得する。のち筥、香合、屏風、衝立などの工芸品に截金装飾の作域を拓き、繊細で華麗な作風を形成。

2007年05月01日

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