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週刊人間国宝

工芸技術 金工(6)

鍛金と銅鑼

白石和己 山梨県立美術館長

 鍛金(たんきん)は金属を金鎚(かなづち)などで打って、延ばしたり、絞ったり、曲げたり、接合(せつごう)したりして成形する技法である。古墳時代にすでに用いられており、出土品の武具や馬具などに、鍛金で制作されているものが見られる。その後も甲冑(かっちゅう)や刀剣などの武具、仏像仏具など仏教関係の作品、鍋、釜(かま)といった日用品から花瓶、置物などまで多様な分野の作品が制作されている。明治時代になると社会の大きな変化により、金工は苦難の時代を迎えるが、こうしたなか黒川栄勝(くろかわ・えいしょう)、平田宗幸(ひらた・むねゆき)や加賀(かが)の山田宗美(やまだ・そうび)らの鍛金家が活躍し、その後も平田の弟子の石田英一(いしだ・えいいち)らが新しい時代を担っていった。こうした人々の努力によって、鍛金は重要な工芸分野として認められるようになった。 [全文を読む]

初代魚住為楽/三代魚住為楽/関谷四郎/奥山峰石

もっと知るために

写真【伝統を学ぶ】

 カンカンッという乾いた音が教室中に響いている。 受講生が銅板を叩(たた)く音だ。 [全文を読む]

写真【記念室・展覧会・美術館・作品集・ビデオ・DVD】

【記念室】
関谷四郎記念室(秋田市立赤れんが郷土館内)  秋田市に生まれた関谷四郎の記念室。 代表的な作品を含む42点を所蔵している。 [全文を読む]

今週の人間国宝名鑑

◆初代魚住為楽(うおずみ・いらく)

1955年認定 1886.12.20−1964.7.15

1904年大阪の仏具師、山口徳蔵のもとで修業、のち銅鑼の制作に転じ、砂張(銅と錫などの合金)鋳造を研究し、合金や鋳造、熱処理などの技法を開拓。恵まれた音感で音色や余韻にすぐれた銅鑼を制作した。

◆三代魚住為楽(うおずみ・いらく)

2002年認定 1937.11.7−

伝統工芸と茶の湯の町・金沢市に生まれる。人間国宝だった祖父・初代魚住為楽に早くから銅鑼作りを学び、金属の中ではもっとも硬くて扱いにくい砂張の調整法や鋳造法、鍛造法を高度に習得し、そのわざを正確に伝承する。

◆関谷四郎(せきや・しろう)

1977年認定 1907.2.11−1994.12.3

秋田市生まれ。1928年上京して、河内宗明について鍛金技術を修業。熱した金属を鎚打って成形する鍛造、金属板を表裏から打ち起こす鎚起の技法、金属素材を鑞で接着させて表面を打つ接合の技法にすぐれた技を発揮した。

◆奥山峰石(おくやま・ほうせき)

1995年認定 1937.1.16−

山形県生まれ。1952年笠原宗峰に鍛金の基礎を学び、田中光輝に師事して伝統的技法を習得。硬くて鍛造がむずかしい朧銀の打ち出しや、銅合金の板金を鑞付けして打ち上げる接合の技法で、自然を題材におおらかな作品を制作。

2007年07月10日

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