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「権鎮圭(クォン・ジンギュ)―韓国近代彫刻の先覚者」展(1/2ページ)

2009年11月18日16時4分

 最近ではまれなほど、ずしりと重い美術展が、東京の2カ所で開かれている。「権鎮圭(クォン・ジンギュ)―韓国近代彫刻の先覚者」展だ。

 権は1922年、現在の北朝鮮に生まれた。第2次大戦中の43年ごろ一度東京に訪れたけれど、翌年故郷に戻る。戦後48年に密航して来日し、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大)彫刻科に入学して、故・清水多嘉示に師事する。59年、母の介護のために韓国に帰り、ソウルで制作を続けたものの、73年に「人生は空、破滅」のことばを残して自らの命を絶つ。

 その彫刻や素描を、東京国立近代美術館に約30点、武蔵野美術大学美術資料図書館に約100点と分けて展示した。同近代美術館と大学館の共同企画展は初めて。

 骨格正しい作品群である。師の清水は23年から28年まで渡仏し、記念碑的作品で知られるブールデルに学んだ。その系譜に連なり、より骨太いモデリング(肉付け)を施す資質を持つと見える。

 驚くべきは多様な挑戦だ。基本はリアリズムによる、人体や女性胸像。また「首」(53年ごろ)を始めとする自刻像の多さが際立つ。ほかに動物像あり、仏像あり、抽象のレリーフまである。素材・技法もテラコッタ、石彫、木彫、乾漆と幅広い。

 肖像の表情には東洋的・伝統的美意識を宿し、自らの根っこを探るものがある。馬の像などはイタリアのM・マリーニを吸収したか。ほかにイタリアのG・マンズーや日本の佐藤忠良らに触発されたかと想像できる跡も見える。そうして徐々に、無駄をそぎ落として簡潔になり、女性像も「春葉尼」(67年)のように髪を落とした「比丘尼」像に昇華していく。虚飾をはがした「存在の構造」を示すかのように。

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