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第143回芥川賞・直木賞 歴史見つめ新たな光(1/2ページ)

2010年7月17日11時51分

写真:記者会見場で握手する芥川賞の赤染晶子さん(左)と直木賞の中島京子さん=15日、東京都千代田区、竹谷俊之撮影記者会見場で握手する芥川賞の赤染晶子さん(左)と直木賞の中島京子さん=15日、東京都千代田区、竹谷俊之撮影

 第143回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)は、芥川賞が赤染晶子(あかぞめ・あきこ)さんの「乙女の密告」(新潮6月号)、直木賞が中島京子(なかじま・きょうこ)さん(46)の『小さいおうち』(文芸春秋)に決まった。それぞれの方法で歴史を見つめ、新たな光を当てている。

◆芥川賞「乙女の密告」 巧みさ評価、圧倒的支持

 芥川賞に決まった赤染さんは、アンネ・フランクが昨年生誕80年を迎えたことをきっかけに『アンネの日記』を再び手に取った。受賞作は、その『日記』の本質を、外国語大学の女学生である「乙女」が理解していく物語。「日本人の女の子たちの世界を乙女という作り物にして描くことで、アンネの日記の世界のリアリティーを強調したかった」

 自らの問題意識のもとで歴史をユーモラスに再検証する作風について選考委員の小川洋子さんは「ある区切られた空間の中にある人数の人が集まると、理不尽なことが起きる。大学の教室の中で乙女と呼ばれる生徒たちが二つの派閥に分かれて争い、密告が起こるというのは、アンネ・フランクの身に起きたことに重なる。二つの世界が結びつく巧みな小説」と評価した。

 小川さんによれば、赤染作品は最初の投票から過半数の支持を集め続けたという。同時受賞の可能性があったのは、鹿島田真希さんの「その暁のぬるさ」(すばる4月号)だった。「平安朝の女房文学風の技巧的な、色気のある文章で、この世界を作ったことを評価する人もいたが、その語りの波に乗れないという人もおり賛否が分かれた」という。

 また、注目されたシリン・ネザマフィさんの「拍動」(文学界6月号)については「全候補作の中で最も人間の本質的な部分にふれる題材を扱っていると評価する人もいたが、主人公の通訳の女性があわてふためいているのにつられて、書き手もあわててしまったようで、一場面一場面を客観的に描けていなかった」と話した。

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