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それぞれ喜び語る 第144回芥川・直木賞贈呈式

2011年2月21日10時54分

写真:右から朝吹真理子さん、西村賢太さん、木内昇さん、道尾秀介さん拡大右から朝吹真理子さん、西村賢太さん、木内昇さん、道尾秀介さん

 第144回芥川賞・直木賞の贈呈式が18日、東京都内であった。芥川賞を受けた「きことわ」の朝吹真理子さんと「苦役列車」の西村賢太さん、直木賞を受けた『漂砂のうたう』の木内昇さんと『月と蟹(かに)』の道尾秀介さんが、それぞれ喜びを語った。

■「真摯に野蛮に心つくす」朝吹さん/「相変わらずなもの書く」西村さん

 作風も経歴も対照的で話題になった芥川賞は、選考委員の高樹のぶ子さんが講評でさらに対照をきわだたせた。

 「朝吹さんはすばらしい感受性と表現力を持っている。挑戦して変わってほしい。一方、人間の美質を描こうとする私の作品と対極的な西村作品が売れているのはショッキング。自分のアイデンティティーを壊しかねない人の末路を見定めたいので、このまま変わらず書き続けてほしい」

 朝吹さんは「このたびは芥川賞をちょうだいして心よりうれしく思っています」とあいさつ。「いま長編小説を書いています。読み手であるあなたに届くよう、毎日、真摯(しんし)に野蛮に心をつくして書いてまいりたいと思います」と話した。

 西村さんは「あ、どうもすみません。西村と申します」ときり出し、「高樹さんという大先輩でありながらすてきな読者を1人獲得できましたので、それを励みに、同じような、相変わらずのものを書いていきます」と話した。

■「静かで正しい観察者に」木内さん/「勘違いをし続けたい」道尾さん

 直木賞は新選考委員の伊集院静さんが講評。「木内さんは遊郭という新人には困難な題材を見事にクリアした。5回目で受賞した道尾さんは日本のモーパッサンかと思えるほど描写が素晴らしい」

 木内さんは「小説に向き合うきっかけは職人だった父の存在です。父の作ったものはなくなってしまうが、誰かが生きたというささやかな足跡はどこかに残る。私は丁寧に歴史の地層を掘り起こして、いろんな形をした足跡の静かで正しい観察者になりたいと思った」とあいさつした。

 道尾さんは「落選したときの選評は読まないようにしてきた。小説は同じだと面白くないものの代表なので、自分が書くものが一番面白いという勘違いをし続けていきたい」と話した。(加藤修)

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