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2012年3月23日10時14分
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音楽ホールは「人材育てる機関」 劇場法案を国会提出へ

 劇場や音楽ホールの社会的役割を定め、公的支援の根拠とする「劇場法」の骨子がまとまった。1月に文化庁長官の検討会が発表した「まとめ」で、創造活動や専門の人材育成を担う「機関」が劇場や音楽ホールであると規定、法に基づく運営指針を国が設けるとした。法案はこれをもとに、超党派の議員立法で今国会にも提出される。

 当初議論された、「作る劇場」「見る劇場」「交流施設」に階層化して「作る劇場」へ集中投資する内容は盛り込まなかった。小規模施設の切り捨てにつながるという異論に配慮した。穏当になった半面、自治体任せの部分が多く、実効性を疑問視する声もある。

 「まとめ」では劇場や音楽ホールを、心豊かな生活や活力ある社会を構築する「機関」と定義。公演を自前で企画制作し、そのための人材育成もする創造の拠点と位置づける。貸館は機能の一つに過ぎなくなる。

 国や自治体の責務も定めた。国はトップレベルの創造活動を引っ張る。自治体は地域特性をふまえた文化振興策を作り劇場を活用する。民間施設は必要に応じて国や自治体と連携する。

 運営指針では専門職員の配置を定める。学芸員や司書のような資格は見送り、人数も施設に任せる。事業の質を勘案する評価指標の設定も。経費節減目的になりがちな指定管理者制度は「安かろう悪かろう」にならない歯止めをかける。

 法制化の理由を旗振り役の鈴木寛参院議員(民主)は「芸術活動と人材育成を国家の意思として行うメッセージ。予算獲得にも有利だ」と語る。バブル期をはさみ乱立した施設すべての支援は難しく、対象や内容を絞る必要もあった。

 劇場の階層化は内閣官房参与だった劇作家の平田オリザさんが提唱。だが、1893施設(2008年、300席以上)ある劇場やホールの9割以上は自治体のもの。「国が切り分けることは地方分権に反する」(関係者)と見送られた。ただ、助成金額など実質的な取捨選択はありうる。鈴木議員は「創造活動や人材育成に力を注ぐ施設への支援は促進される」と話す。

 劇場法制定を独自に提言してきた日本芸能実演家団体協議会の米屋尚子・芸能文化振興部長は「劇場を機関と認めたことは前進」としつつ、「予算がつき、専門家が置かれるかどうかは自治体に委ねられており、地域格差が広がる可能性もある」と懸念する。

 神戸大学大学院の藤野一夫教授(文化政策)は「自治体は職員1人増やすのもままならない。力のある施設の一人勝ちにせず、ノウハウを広域的に共有する仕組みが必要だ」と語る。(星野学、木村尚貴)

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