現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>演劇> 記事

〈第6回朝日舞台芸術賞 舞台芸術賞〉麻実れいさん

2007年02月01日17時50分

 三島由紀夫作「黒蜥蜴(とかげ)」の耽美(たんび)的な女賊を、華麗かつ妖艶(ようえん)に演じた。

写真麻実れいさん

 台本より先に戯曲の初版本を借りて読んだ。古びた本の香りに三島を感じ、そこからすべてが始まった。

 「この作品は、三島さんが選び抜いた美しい言葉を丁寧にお客様に届ければ大丈夫、との思いがしたんです。言葉さえ自分のものに出来れば、あとは自由に演じても許される作品だと」

 軽くステップを踏むなど、ト書きにない遊びも採り入れた。女賊だけれども、両性具有的な面を持っている人間と解釈し、「黒蜥蜴に、深く色づけすることができた」と語る。

 根底にあるのはやはり宝塚での男役だという。発声の自在さが、退団後も強い女を演じ続ける上で支えとなった。ミュージカル「蜘蛛女のキス」でも毒性のあるオーラを放った。「サド侯爵夫人」など三島作品への出演で、演出のD・ルボーに「三島世界のセクシーさ」を学んだ。

 「これまで培ってきたことを存分に生かせるいい作品に、いい時期に巡り合えた。以前だったらマダムの色気を出せなかっただろうし、もっと先だと美を追う女性に合わない」

 ベニサン・ピットの、息づかいが通る密室的な劇場空間も、官能的な波動を共鳴させてくれた、と振り返る。

 「何かが、この作品のために動いている気がしました。神様がほほえんでくれたんです」

    ◇

 〈あさみ・れい〉 50年生まれ。70年に宝塚歌劇団に入団、男役トップとして活躍。退団後の主な舞台に「ハムレット」「グリークス」「桜の園」「サラ」「AOI」「タイタス・アンドロニカス」など。

    ◇

●受賞あいさつから

 いい時期に「黒蜥蜴」という作品に出あえました。三島由紀夫さんの言葉にしがみついて格闘して、苦しさがいつしか喜びになった。その過程を思う存分楽しませていただきました。スタッフ、キャストの方々、そして、このドラマを育んでくださったお客様、どうもありがとうございました。

PR情報

このページのトップに戻る