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「もちろん、泣かせます」 泉ピン子「おんな太閤記」主演

2007年06月02日15時27分

 テレビの人情ドラマで活躍する泉ピン子が、4日から東京・新橋演舞場で始まる舞台「おんな太閤記 あさひの巻」(橋田寿賀子作、石井ふく子演出)で主演する。役は豊臣秀吉の妹で、政略にもてあそばれる悲劇の女性、あさひ。泉は「ひたむきさ全開で向かいます」と意気込む。

写真「花道も烈火のごとく駆け抜けちゃうかも」と泉ピン子

 81年放送のNHK大河ドラマをもとにして94年に舞台化、初演された。「舞台は『よーい、どん』で走り出したら止まれず、プレッシャーばかり。格好よくも見せたいけれど、ゆとりがなくて。初演はガチャガチャ、ドタバタで終わっちゃった。当時の感触を覚えているんですが、これを思い出すとかえってじゃまになるんです」と話す。

 時は安土桃山時代。秀吉が関白になったのに伴い、あさひは突然、相思相愛の夫副田甚兵衛(村田雄浩)との離別を強いられる。人質同然の身で、徳川家康の正室になるためだった。物語は、あさひをめぐる女性たちを中心に描く。

 けいこに先立つ4〜5月、泉は橋田とともにテレビ番組の収録で、クロアチア、トルコなどを旅した。リュックの中に台本を携え、体力づくりのため極力歩き、昇降には階段を使った。バスでも船でも遺跡でも、台本を取り出して「じんべえさ〜」などと、せりふを練習したという。

 この旅が、役作りにも影響する。「戦国時代は日本もばらばらで、いつも戦争があった。クロアチアが経験した最近の戦争が、舞台の世界とだぶります。あさひも甚兵衛も、ものや地位でなく心の豊かさが欲しかっただけ。舞台を通じて、お客さまにも平和を実感していただければ」

 今回は甚兵衛との場面で、情愛をたっぷりとにじませたいという。「ふがいないおなごじゃ」と自ら哀れむせりふにも思い入れがある。「あさひはもとは農家の女性。自害の仕方もわからないんですよ。こんなせりふを言う主の人生を、一生懸命に生きるしかないです」

 「おしん」「美空ひばり誕生物語」などの人情ドラマの一方、バラエティー番組「ぴったんこカン・カン」などでは当意即妙、コメディエンヌぶりも発揮する。“喜劇に強きは悲劇にも”なのか。「初演の時は客席からすすり泣く音が伝わってきました。今回ですか? もちろん、泣かせます」

 26日まで。淡島千景、波乃久里子、渡辺徹らも出演。昼夜2部制で、夜の部は休演もある。1万3650〜2520円。チケットホン松竹(03・5565・6000)。

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