DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2017/12/20

ジェンダー平等の先進国 スウェーデンのパパのリアル育児とは?

朝日新聞DIALOG編集部

「世界一、子育てがしやすい国」と言われる北欧の国、スウェーデン。スウェーデン文化交流協会が主催する写真展「スウェーデンのパパたち」が来年7月まで、日本各地で開かれています。この写真展のもととなった写真集「Swedish Dads」を出版したカメラマンのヨハン・ベーヴマンさん(35)が来日し、12月7日に東京都内でプレス向けのイベントに出席しました。イベントにはマグヌス・ローバック駐日スウェーデン大使も同席し、女性の働き方や男性の育児参加などに詳しいジャーナリストの治部れんげさんがモデレーターを務めました。ジェンダー平等の先進国、スウェーデンの実態とは・・・?

子どもをおんぶしながら掃除機をかけたり、泣いている女の子の髪を結んだり――。写真集「Swedish Dads」には、ママではなく、パパが家事や育児をしている場面だけが登場します。ベーヴマンさんが、育休中のパパたちの様子を撮り始めたきっかけは、5年前に自身がパパになったことでした。育児休暇を6カ月間取ったものの、近くにロールモデルとなるパパがいない上、父親視点の育児情報を見つけるのにも苦労したそうです。そこで、パパの育児のリアルを撮ることで、他のパパの参考にしてもらおうと思い立ちました。「育児は疲れるし、大変なこと。完璧な父親になる必要はなく、失敗しながら父親になっていけばいいんです」(ベーヴマンさん)

写真はどれも、親子の自然な表情をとらえたものばかりで、見る人の心を優しくします。撮影の秘訣(ひけつ)について、ベーヴマンさんは「生活に溶け込んで、被写体となる親子と信頼関係を築くことです」と明かしました。実際、写真を撮影する際は、相手の親子と一緒に何時間も過ごして、精神的な距離を縮めているそうです。

また、育児休暇で得られたものについて尋ねられると、ベーヴマンさんは「妻がいると妻に頼ってしまうので、息子と1対1で向き合う時間が大切だと思いました。育休は、息子との関係の基礎を築けたプライスレスな経験でした」と答えました。共働きのため、夫婦でサポートし合い、互いにキャリアを築いていこうとしているそうです。

ローバック大使も、育休を取得した経験を振り返って、妻の出張中に双子の世話をした際は「あまりに大変で、禅の境地を悟りました」と語りました。さらに「妻も私も、『子どもとキャリアのどちらが大切か』という同じ悩みを持っていました」と明かしました。治部さんは「日本では仕事と子育ての両立は、女性だけの問題としてとらえられているけれど、スウェーデンでは男女双方の問題なのですね」と、日本との違いを指摘しました。

カップルに認められる合計育休日数の約25%は父親が取得しているなど、ジェンダーの平等が進んでいるスウェーデン。しかし、写真に添えられているパパたちの言葉を見ると、現状には満足していないことがうかがえます。例えば、「育児休暇中の男性は、家で子どもの面倒をみていると、母親ではあり得ないような過大なほめられ方をするように感じます」「(男女)平等な子育ての分担が、当然のことにならなければなりません」「ほんの短い期間なのに、収入が減ると、やりくりできないと考えている父親がこんなに多いのは信じられないです」などの声が紹介されていました。スウェーデンのジェンダーの平等について、ベーヴマンさんも被写体のパパたちと同じように「まだまだ改善する必要がある」と断言。ローバック大使も「『ほとんど平等』ではなく、『完全な平等』を期待している」と力を込めました。

「スウェーデンのパパたち」の写真展は25日まで、港区北青山のグローカルカフェで開かれています。1月13日から25日までは岡山市の男女共同参画社会推進センターで開催予定です。その後の詳しい日程は、同大使館のHPに掲載されています。
http://www.swedenabroad.com/swedishdads/jp

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