2018/01/24

〈U25連続セッション〉2030年に求められる人材。鈴木寛・文科大臣補佐官が語り、若手世代が考える「これからの日本と、そこで求められるスキル」とは。

Written by: 呉本謙勝(POTETO)

テクノロジーの進化、グローバリズムの広がり、人口減少――。東京五輪を経た2030年の日本社会は、どんな姿になっているのだろうか。

2018年1月16日夜、東京大学本郷キャンパスにて、2030年の社会を担う人材に求められるスキルを考える公開勉強会が開かれた。これは、朝日新聞DIALOGが主催する連続セッション「U25が考える 2030年に求められる人材とは」の初回として開催され、NPO代表や会社経営者ら、若手世代のオピニオンリーダー14人が参加した。

鈴木寛・文部科学大臣補佐官は基調講演で「300年ぶりの大変革を迎える世界。思いもよらないリスクがあるが、思いもよらないチャンスもある。皆さんは、そんな素敵な時代の主役だ」と語り、その後、参加者で活発な議論が交わされた。

この連続セッションは1~4月にかけて様々な分野のトップランナーを招き、2030年の日本を担うU25の若手世代とともに、テクノロジーの進化が社会をどう変えるのかを考える。複数回のセッションを行った後、議論をまとめた提言書を公開することも予定している。

鈴木氏は日本の将来について「いかにモノを生産・消費するかという20世紀の『物質文明』で日本は大成功したが、テクノロジーの発展でそのモデルが崩壊しつつある。これからはモノではなく、知を生み出す社会が必要」と語った。

東京大学と慶應義塾大学で教鞭をとる傍ら、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合したこれからの社会「Society5.0」を議論する文科省の懇談会の座長代理も務める鈴木氏。2030年に求められる人材について「想定外や板挟みと向き合い、乗り越えられる人材。言われたことをちゃんとやる、ということは確実にテクノロジーに代替されるのだから、『ひと』や『難題』としっかり対話できるスキルが必要」と指摘し、参加者や聴講者ら総勢約50人が熱心に耳を傾けた。

また、医療面でのテクノロジーの発展から「これからは人間が100年生きられる時代が来る」と前置きし、「私はいま、(官僚や政治家、教育者など)4度目の人生で、そのたびに学びなおしてきた。本当に100年の人生になれば、これからの世界に生きる人は、いくつもの人生を歩むことになると思う」と、自身の経験と重ねながら、ライフサイエンス新時代の展望を語った。

日本が迎える危機に関する質問には、「(既存のシステムを)維持するための有効な手立てはなくなってきている。だが、終戦直後のように物理的に根こそぎ破壊されるわけではない。今の枠組みが壊れても、生きていける。大事なのは、パニックを起こさず、何がどれくらい壊れるのかを冷静に想定すること」と語った。

その後に行われたディスカッションでは、2030年の幸福論や多文化共生、テクノロジーが発達した先にある社会システムなど、様々な分野で意見が交わされた。

参加者で、バーの店長だった横島さんから「2030年に皆、どうなっていたら幸せなのか?」という質問が出ると、全員が一気に考え込む場面も。その結果、「幸せは人それぞれの嗜好の問題。今でも、2030年でも、自分の幸せを見つめることの大切さは変わらないのでは」という意見が出た。

英単語の暗記に役立つアプリ「mikan」の開発会社社長で、参加者の宇佐美さんは「何が幸せか、どんな社会をつくるべきか、といった抽象的なテーマについて、このような規模で議論したことがなく、とても面白かった」と話した。一方で、鈴木氏がセッション終了時に「みんな『ゴール』を求めすぎでは。議論を深めたい時には、無理してゴールを設定する必要はない」と指摘したことに触れて、「ずっとゴールを意識していた分、そういう考え方があるのかと、とても参考になった」と、新たな学びを得た喜びを語った。

また、10代向けウェブメディアを制作するNPO法人「青春基地」代表理事の石黒さんは終了後、「とても面白いテーマなので、分野ごとにもっと語り合いたい」と話した。

鈴木寛・文部科学大臣補佐官の講演録はこちら
次回セッションは2月に開催予定。

【登壇者プロフィール】
鈴木寛・文部科学大臣補佐官
東京大学教授、慶應義塾大学教授。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年に通商産業省(現経済産業省)に入省。2001年に参院議員に初当選。12年間の在任中、文部科学副大臣を2期務める。2015年より現職。

【参加者プロフィール(敬称略、アイウエオ順)】
石黒和己:東京大学大学院/NPO法人 青春基地代表理事
宇佐美峻:株式会社mikan代表取締役
亀岡恭昴:東京大学/一般社団法人Fora 理事兼共同代表
菊池恵理子:株式会社タイガーモブ社長
喜多恒介:慶應義塾大学大学院/株式会社キタイエCEO
徐東輝:NPO法人Mielka代表/弁護士
新居日南恵:慶應義塾大学大学院/株式会社mamma代表/文科省・内閣府委員
古井康介:慶應義塾大学経済学部4年/株式会社POTETO Media代表取締役
三上洋一郎:慶應SFC2年/内閣府 人生100年時代構想会議 有識者議員
宮内 菜奈子:東京大学大学院/2018ミス日本酒 茨城代表
山内奏人:高校生/ONE FINANCIAL CEO
横島志城:ニート。元バーの店長。夜の世界の住人。

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