DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2018/02/22

テクノロジーの進化で、2030年のコミュニケーションはどう変わる?
ゴリラ研究の第一人者、山極壽一・京都大学総長が語る、「これからのコミュニティとは」

Written by: 呉本謙勝(POTETO

テクノロジーの進化、グローバリズムの広がり、人口減少――。東京五輪を経た2030年の日本社会は、どんな姿になっているのだろうか。

2018年2月15日夜、「朝日新聞DIALOG」が主催するU25連続セッションの2回目が東京・築地の朝日新聞東京本社で開かれた。テーマは、「テクノロジー時代における、コミュニケーションとコミュニティのあり方」。ゴリラ研究の第一人者である山極壽一・京都大学総長が講師を務め、若手世代のオピニオンリーダーら11人と対話した。

連続セッションは、様々な分野のトップランナーを招いて複数回開催する方針だ。基調講演では山極総長が、霊長類の進化の歴史から、現代の「サル化」する人間社会について講演。「サルの社会は効率優先の序列社会。人間も経済論理至上主義の中で、ルールやデータに縛られ、時間効率性ばかり追い求めるようになり、サル化しているのではないか」と語った。

また、通信やテクノロジーの進化により、本来は五感を使ってコミュニケーションをしていたのが、視覚と聴覚に偏りすぎになっているのではないかと指摘。それら2つの感覚に頼るコミュニケーションは、他者と居場所を共有しなくても成り立ち、相手を「だます」ことすらできてしまうとし、「嗅覚や味覚、触覚を共有することの方が、安心感や信頼関係の構築につながる」と述べた。

また山極総長は「情報化社会の中では個人がコミュニティと切り離され、不安の強い時代になる」とも指摘。参加者や聴講者ら総勢約110人が熱心に耳を傾けていた。

その後に行われた質疑応答では、「スペシャリストとオールラウンダー、どちらの人材がAI時代の2030年に生き残れると思うか」や「SNS時代にどのように友達をつくっていくべきか」などの質問が出た。山極総長は「一つの専門しかない人はAIに仕事を奪われる可能性もある。若いうちから複線型のキャリアを考えておくべきだ。短期的、長期的な視野の両方が大切ではないか」「友達をつくるには、その人から見て自分が面白いと思ってもらえることが大事だ。自己主張しすぎれば嫌がられるし、しなければ無視される。人間は自分で自分を定義できない存在。他人からの評価によって自分をつくっている」などと語った。

山極壽一・京都大学総長の講演録はこちら
次回セッションは3月7日に開催予定。

【登壇者プロフィール】
山極壽一・京都大学総長
霊長類学、人類学者。理学博士。1952年、東京都生まれ。京都大学大学院博士課程退学。

【主な参加者プロフィール(敬称略)】
新居日南恵:慶應義塾大学大学院/株式会社mamma代表/文科省・内閣府委員
石黒和己:東京大学大学院/NPO法人 青春基地代表
菊池恵理子:株式会社タイガーモブ社長
喜多恒介:慶應義塾大学大学院/株式会社キタイエCEO
宮内 菜奈子:東京大学大学院/2018ミス日本酒 茨城代表
横島志城:ニート。元バーの店長。
牧浦土雅:Needs-One Co.,Ltd.共同創業者 ダボス会議グローバルシェイパー
河崎純真:GIFTED AGENT INC代表。慶應義塾大学生

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