DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2018/05/02

「私たちはAIとどう生きるのか?~社会実装の現状と課題~」
産業技術総合研究所 人工知能研究センター 辻井潤一センター長が考える2030年の未来とは

Written by 丹羽菜々香(POTETO)with 朝日新聞DIALOG編集部

5月20日から5日間にわたって、朝日新聞DIALOGのAIフォーラムが東京ミッドタウン日比谷で開催される。初日の基調講演には、国立研究開発法人産業技術総合研究所人工知能研究センターの辻井潤一センター長が登壇する。超高齢化時代を迎える日本の諸問題を解決するため、人工知能(AI)の社会実装の旗振り役を務めている辻井さんに、私たちはAIとどう付き合えばよいのかを聞いた。

Q.2030年の日本では、AIはどのように社会実装されていると思いますか
AIは、現代世界における「電気」のような生活基盤になると思います。一つの分野だけではなく、様々な分野の基礎となり活躍していくでしょう。これまでは検索エンジンやネットショッピングなど、人間が意識的に情報の世界に接触してきましたが、これからは意識せずに使っていく時代になっていきます。情報の世界と実世界が融合し、境目がなくなっていくと思います。

AIには2種類あります。一つは、人格を持っていて、言ったことをやってくれる話せるロボットのようなAI。そしてもう一つは人格を持っていないAIです。これまで熟練技術者がしていたことを人工知能が代替するようになる。機械が知能を持つイメージですね。

Q.AIが社会実装されていく過程で、どのような課題が生じると思いますか
やはり、データ流出問題です。利用者の見えないところで何かが起こっていくので、自分たちでは対処できません。また、優秀なAIは権力と結びついていることも多い。人間が意識して使うという「AIの道具性」がしだいに薄れてきています。便利にはなりますが、AIが自律的に動くため、人間の意思が直接反映できない危険性があります。また、AIを操作できる人たちと、できない人たちとの間の格差問題も出てくるでしょう。AIの発達の先に待っているのはユートピアなのか、それともディストピアなのか。私たちがどれくらいAIをコントロールできるかが、これからの鍵になります。

よく課題として出されるのが、AIに人類が滅ぼされるのではないかという問いです。人間より頭がよくなったら暴走するのではないかという考えから生まれる疑問でしょう。しかし、人間の知能とAIはそもそも質が違います。今のAIは、ある決められた範囲の仕事をするものです。特定の範囲で人間に勝るAIは、これからあらゆる場面で出てくるでしょう。しかし、一つのことに対する能力が高いことと、人間のようにいろんなことが満遍なくできることとはレベルが全く違います。

Q.これからの日本社会で、AIに期待することは何ですか
AIはもろ刃の剣なので、使っていく私たちの判断が重要になってきます。現代の日本には、少子高齢化をはじめ、解決すべき社会課題がたくさんあります。そこにAIで貢献していきたいと思っています。

AIは、意味のない労働から人間を解放していくでしょう。私たちは、人間をある型にはめ、創造性を抑圧して生産性を上げることで、今の社会を築いてきました。これから、そのような労働はAIが取って代わります。人間は創造性を生かす仕事につくようになると思います。AIが普遍化すると、AI技術者が得をする時代は終わり、イノベーションを起こせるクリエーティブな人材や、AIを使いこなせる力を持った人材が重要になっていくと思います。

社会実装フェーズにある人工知能を中心としたテクノロジーの可能性について考えるイベント「朝日新聞DIALOG AI FORUM」。
辻井センター長にもご登壇いただくほか、5/20~24の5日間にわたり「テクノロジー」「ビジネス」「社会課題」に架橋するキーパーソン、フロントランナー、アントレプレナーに多数登壇していただきます。

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