2018/05/09

「U25が考える 2030年に求められる人材とは」アフターセッション 
若手のオピニオンリーダーが考えた「2030年の社会」

Written by 呉本謙勝・齋藤里南(POTETO) with 朝日新聞DIALOG編集部

テクノロジーの進化、グローバリズムの広がり、人口減少――。東京五輪を経た2030年の日本社会は、どんな姿になっているのだろうか。

2018年4月10日夜、朝日新聞東京本社(東京都中央区)で、朝日新聞DIALOGが主催する連続セッション「U25が考える 2030年に求められる人材とは」全4回分の取りまとめ会が開かれ、若手のオピニオンリーダー6人が参加した。

この連続セッションでは、1月からテクノロジーの進化に造詣の深い専門家を招き、日本の未来を担うU25の若手世代とともに、2030年視点から様々な社会課題について考えてきた。今回の取りまとめ会の議論を受け、参加者の有志で提言書を公開することを予定している。

取りまとめ会では、2030年の日本と世界が、①どんな社会になるか、②ライフスタイルはどう変わるか、③そのとき求められるのはどんなスキルか、を軸に、参加者が一人ずつ自分なりの見方を示し、活発な議論が交わされた。

参加者の間では、「人生100年時代に突入するので、健康にかかわる領域が拡大する」「テクノロジーの進化によって、創造性や好奇心、コミュニケーションスキルが今以上に求められる社会になる」「そうしたスキルを身につけるには、教え込むことよりも体験やフィードバックが教育の軸になる」といった認識で大まかに意見が一致した。

喜多恒介さんは、2030年の社会像について「基本的にはディストピア。物質的には豊かになるかもしれないが、精神的には貧しくなる。生きる意味のある人とない人で、格差社会が生まれる」と語り、「学び直し」の大切さを強調した。求められるスキルとしては「幼少期からの好奇心やモチベーションの造成」「コミュニケーションスキル」などを列挙。それを身につけるには「スキルを持った人間からのフィードバックが必要。フィードバックの質を上げるために、社会経験の豊富な大人が教師になるべきでは」と述べた。「これからはお金ではなく、社会関係資本を分配する社会になるべき」という喜多さんの意見には、多くの参加者がうなずいた。

石黒和己さんは2030年の社会では「感情のコントロールが重要になる。(テクノロジーの発達や社会問題の深刻化などで)めまぐるしく変化する環境になるので、そこで生じるストレスの解消がうまい人とそうでない人とで大きな差が出てくる」と指摘。「教育分野では、そうしたストレスにどのように対処するかが大切になる。五感を通じた体験を経て世界の操作不可能性に気づかせ、不確定要素を受け入れられるような教育が望ましい」と語った。

与那覇竜太さんは、2030年の社会では「健康をテーマとした産業が拡大し、スポーツとは別の切り口で展開される運動ビジネスが盛り上がる」と予測。教育に関しては「個人の価値観が新たな製品やビジネスの誕生につながるような、創造性を高める教育が必要だ」と話した。

横島志城さんは、「精神的な豊かさはコミュニティーによって変わり、新たにコミュニティー格差が生まれるのではないか」と予測した。そして「コミュニティーの社会的な価値と個人の主観的な価値は異なる。社会の価値観とずれていても、本人が幸せなら、それでよいのではないか」という意見に対しては、他の参加者から「短期的な幸福は滅びの幸福であり、人とのつながりを大切にするような、人間が本来持っていた幸福を大事にすべきだ」といった指摘も出た。

最後に、司会の新居日南恵さんが、「個人の好奇心の引き出し方や、不確定要素から生まれる不安との向き合い方は、様々な大人と出会うなかで学ぶことができる。そうした仕組みをサポートするには、(大人に対して)ある種の強制力が必要となる」と今までの論点をまとめるとともに、「そのような社会関係資本を、どのようにしてすべての人に還元していくかが新たな課題になるだろう」と締めくくった。‬

【参加者プロフィル(敬称略、アイウエオ順)】
石黒和己:東京大学大学院/NPO法人青春基地代表理事
喜多恒介:慶應義塾大学大学院/株式会社キタイエCEO
新居日南恵:慶應義塾大学大学院/株式会社manma代表
横島志城:東京通信大学/バーの元店長
与那覇竜太:慶應義塾大学大学院/元レスリング全日本学生選手権優勝選手 ‬

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