2018/05/25

5G、AGI、ブロックチェーンの構想から、ものづくりの現場レポートまで 
AIフォーラム3日目のレポート

朝日新聞DIALOG編集部

東京ミッドタウン日比谷で開催中の「朝日新聞DIALOG AI FORUM」。3日目の最初のセッションは、(株)NTTドコモ(NTT DOCOMO)5G推進室室長の中村武宏さんが登壇。「5Gが切り開く未来の展望〜パートナーの強みを融合させた世界〜」をテーマに講演しました。

通信の高速・大容量化を実現する、第5世代移動通信システム(5G)。その実効速度は現行の4G(LTE)の100倍とされ、NTTドコモは2020年の実用化を目指しています。中村さんは、NTTドコモが推進している5Gを生かした最新技術を紹介。スポーツを立体的に生中継するAR(拡張現実)技術や、時速300kmで移動していても通信速度を低下させない技術など、データを大量・高速に伝送できる特性を生かした事例について、実験映像を交えながら熱く語りました。

午後の最初のセッションでは、最初に株式会社ドワンゴの山川宏・ドワンゴ人工知能研究所所長が登壇。「汎用人工知能の開発を脳に学んでBeneficialなものとする」をテーマに講演しました。

山川さんは、人間の脳のように「多様な課題解決機能を、経験を通じて獲得することができる」AIの開発を本格的に進めています。「脳全体のアーキテクチャから学んだ、人間のような汎用人工知能(AGI)」を、2030年をめどに完成させるのが目標です。「未知情報を推論できることが汎用性であり、それを可能とするAGIのインパクトは産業革命以降で最大になるという予測もある」と語りました。

また、「脳に学ぶAGI開発を促進する意義」について山川さんは、人間のように思考するAIの開発を目指すからこそのリスクを指摘。「作られる技術の安全性が担保された上で、公益性が高い開発を心がけなければならない。高性能なAIが独占されてしまうことは危険なため、AGI開発やその使用はオープンにして『民主化』を進めるべきだ」と語りました。

次に登壇したアスラテック株式会社事業開発部の羽田卓生部長は、「ロボットとAIで無人経済は実現するのか」をテーマに、AIを実装したロボットがビジネス分野で活躍する事例と課題について語りました。

羽田さんは「ロボットやAIはバズワード。だからこそ、定義を持つことが重要」とした上で、テクノロジーに対する期待値を正しく持ち、コントロールする必要性があると指摘。ロボットという言葉が人によって意味が異なることを示し、「鉄腕アトムやドラえもんは現時点の技術では作成不可能。しかし、AIとロボットは業務の最適化に必ず役に立つ。現実的なロボットの使い方を見据えてほしい」と語りました。

国立保健医療科学院健康危機管理研究部の金谷泰宏部長は「人工知能による新たな災害時の保健医療支援」をテーマに講演。実際に行われている医療支援、避難者支援におけるAI活用の事例について語りました。

30年以内に起きる確率が70%と言われる首都直下型地震。金谷さんは「甚大な被害とともに、約700万人の避難者が発生する。災害医療や救急搬送、避難生活を最適化する上で、AIは非常に有用だ」と述べ、重傷者の搬送能力を向上させるプログラムの開発や、保健医療情報の処理、避難所への救援人材や物資の配分の最適化に、AIがどのように使われているかについて力説しました。

ディープラーニングの技術を中心としたAI開発を行うABEJA, Inc.代表取締役社長の岡田陽介さんと、その技術を検品システムで活用している自動車部品メーカー・武蔵精密工業代表取締役社長の大塚浩史さんは「『人工知能の眼』による検品自動化」をテーマに対談しました。

「ものづくり×AIで、製造現場にイノベーションを起こす」と語った岡田さんは、自社が武蔵精密工業と共同開発した自動検品システムで、どのようにAIが活用されているかを解説しました。また、大塚さんは「全てをAIに取って代えるのではなく、培ってきたノウハウやプロセスのどこにAIを活用できるかを考えることが大事」と語り、AIサービスを提供する企業と、ものづくりの現場が連携して、互いの強みを生かした活用方法を模索する重要性を語りました。

この日の最終セッションには、株式会社ブロックチェーンハブCSO(チーフ・サイエンス・オフィサー)の斉藤賢爾さんが登壇し、「ブロックチェーンの課題と未来社会」をテーマに講演。社会の機構がデジタルに置き換えられつつある時代において、貨幣や金融の先にある財のあり方や、社会のあり方について語りました。また、記録の内容や存在が誰にも改ざんされないことがブロックチェーンの大前提だとし、現在の開発モデルや課題について、事例を交えて説明しました。

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