2018/07/03

GPUディープラーニングで加速するAIの社会実装とスタートアップ企業の活躍

朝日新聞DIALOG編集部

山田 泰永さん エヌビディア(同) エンタープライズ事業部 メディカル・ライフサイエンス領域マネージャー/ AIスタートアップ・技術パートナー支援担当
石山 洸さん  (株)エクサウィザーズ 代表取締役社長
藤原 弘将さん (株)Laboro.AI 代表取締役CTO

エヌビディア合同会社の山田泰永さん、株式会社エクサウィザーズの石山洸さん、株式会社Laboro.AIの藤原弘将さんが、「朝日新聞DIALOG AI FORUM 2018」の2日目に登壇し、「GPUディープラーニングで加速するAIの社会実装とスタートアップ企業の活躍」と題した鼎談を行いました。スタートアップ企業だからこそ見えてきた、業界の次の課題とは何なのでしょうか。

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まず考えるべきことは「どのように社会を良くしたいのか」

山田 スタートアップ企業として苦労している点や、課題、目標など、スタートアップ企業ならではのお話をまずは聞かせてください。

石山 私は前職で、比較的大きな企業の人工知能の研究所にいまして、その会社は“動きが早い”と言われている会社だったのですが、それと比べてもやっぱりスタートアップは圧倒的に動きが早い。リスクをとったチャレンジがしやすいというのも特徴です。

藤原 やはり、大企業ではなかなか動きづらい部分があるので、そういうところは社会のシステムの中でスタートアップが担っていくのが非常に重要だと思っています。

山田 実際にAIを社会実装していくなかで感じている今後の課題や改善点があれば教えてください。

藤原 AIを使うことに対する企業側の意識は高まっていると見ていいと思います。ただ、我々のようなベンダーが、その価値をきちんと提供できていないケースも残念ながらあります。その要因は、現状の技術水準と、求められているニーズとのギャップにある。今のAIの精度は訓練されていない人間ぐらいのもので、どんな領域でも導入できるわけではありません。そこをきちんと整理する必要があるのかなと思っています。

山田 確かに「AIを使えるか、使えないか」の議論はもう過ぎていて、今は「実際にどういうところなら使えるか」に進んでいるように思います。得意、不得意の見極めは非常に重要だと、私も日々、感じています。「AIの目利き力」といいますか、身近な自分事としてAIが利く可能性を考えるところが大事になってくると思います。では次に、今後のビジョンについて聞かせてください。

石山 日本の介護費は、2030年を待たずに2025年ぐらいで20兆円を超える見通しです。でもテクノロジーを使うと、20兆を18兆、15兆に減らせるかもしれない。人工知能の世界では、アルゴリズムが大切とか、データが大切などという話になりがちですが、実は、何を予測するか、どういう評価関数をつくるか、何を最適化するかといったゴールを設定すること自体がすごく大切です。まずは22兆にしたいのか、18兆にしたいのかということを決める。この社会をどういうふうにつくっていき、技術でどのように後押しするのか。そういったことを2030年に向かって考えていければな、と思っています。

藤原 技術の進化のスパンを考えると、おそらく12年後くらいには、認知能力という意味では、人間のエキスパートくらいの精度ではできるようになっていると思います。そうすると世界は大きく変わるはずで、ほとんどの企業でAI技術が導入可能になる。その“AIに置き換え可能”なタイミングが、この12年のうちのどこかで出てくるでしょう。そこを、社会としてどうやって正しく見つけ、正しく活用していくかが重要なポイントになると考えています。

山田 泰永
1998年より日系半導体メーカーや商社にてセールスおよびプロダクトマーケティングに従事。2004年にNVIDIAに入社し、PC/ワークステーション向けGPUやタブレット端末向けTegra SoCのセールスやプロジェクトサポートを担当。15年より組み込み用途向けのディープラーニング、さらに16年よりメディカル・ライフサイエンス領域のビジネス開拓を担当。また、AIスタートアップ企業の支援や連携によるエコシステム構築も推進

藤原 弘将 
京都大学大学院情報学研究科博士課程修了。博士(情報学)。大学院修士課程修了後、2007年に産業技術総合研究所 情報技術研究部門に入所。機械学習を用いた音声/音楽の自動理解の研究に従事。専門は機械学習・音響信号処理・自然言語処理。09年、京都大学大学院で博士 (情報学) を取得。12年にボストンコンサルティンググループに入社。その後、AI系のスタートアップ企業を経て、2016年に株式会社Laboro.AIを創業した

石山 洸
東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻修士課程修了。2006年4月、株式会社リクルートホールディングスに入社。14年、メディアテクノロジーラボ所長に就任。15年、リクルートのAI研究所であるRecruit Institute of Technologyを設立し、初代所長に。2017年3月、デジタルセンセーション株式会社取締役COOに就任。17年10月の合併を機に、現職。静岡大学客員教授、東京大学政策ビジョン研究センター客員准教授

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