2018/07/12

AI時代のワークスタイル
AIフォーラムレポート

朝日新聞DIALOG編集部

石川 善樹
(株)Campus for H 共同創業者、予防医学研究者

5月20日から5日間にわたって開催された「朝日新聞DIALOG AI FORUM 2018」。4日目のトップバッターは、予防医学研究者の石川善樹さんです。長寿化が進み、100歳まで生きることが当たり前の時代になりつつあります。これからを生きる人は、どのようにキャリアを築けばよいのでしょうか。また、そのなかで人工知能(AI)をどう活用すればよいのでしょうか。

人生100年時代。AIを味方に新しい生き方を。

AIというテーマを突き詰めてみると、未来をどう考えるのかという話になります。しかし、いくら未来を予測してみても、その通りになるわけではありません。私は、時代のつくられ方は基本的に「運」によると思っています。それこそ、アメリカでトランプ大統領が誕生するなんて予測できませんでした。

ただ、パターンはあります。とくにルネサンス以降は、「テクノロジーが未来をつくる」というのが一種のパターンだと思っています。例えば、ワークスタイルに最初に大きな影響を与えたテクノロジーは「時計」でした。時計ができたおかげで、労働者は決まった時間に工場に行って、帰ることができた。ある意味、テクノロジーが時代を牽引していく役割を担っているのではないかと思います。

そこで、AI時代のワークスタイルを、テクノロジーの方向から考えてみます。そもそもAIと仕事をするとは、どういうことなのでしょうか。これまでAIを使った経験はあっても、AIとバリバリ一緒に仕事をしている人は意外に少ないと思います。コンピューターは、正解が明確な大量のデータを処理するのが得意です。対して人間は、大量なデータは処理できませんが、複雑なものを考えるのが得意です。

例えば、多くの企業で課題となっている新規事業の創出ですが、ネタとなる情報は膨大な量があります。必要となる情報を仮に10個とします。古今東西、無数にある情報のなかから優先順位をつけて10個選ぶのは人間には無理ですが、AIなら、世界中の情報から会社の状況と照らし合わせて10個の情報を選び出すことは可能です。分かりやすく言えば、AIと働くということは、こういうことだと思います。人間では処理できない大量のデータをAIが処理してくれて、それをもとに人間が複雑なものをつくっていく。これがAI時代のワークスタイルです。

次にAI時代のワークスタイルについて、人生の側面から考えていきましょう。昔は「人生50年」と言われていましたが、いまはそれが90歳になっています。平均で90歳ですから100歳まで生きる可能性が高いと思っておいたほうがいい。100歳まで生きるとなると、これまでのような「学ぶ、働く、休む」の3ステージではなく、人生の枠組みはおそらく四つになるでしょう。この増えた部分を「サードエイジ」と呼んでいます。年齢でいうと50歳から75歳。ここをどう過ごすかが問題です。

50歳くらいから準備して、今までとは違う働き方にシフトしていかなくてはなりません。仕事一辺倒ではなく、学びながら仕事をしたり、遊びながら学んだり、バランスをとっていく時代です。とはいえ、いきなりそう言われても、何を学んで、どういう働き方をすればいいのか分かりませんよね。そこで登場するのがAIです。これまでの人脈、経験をもとに、これから何をするべきか、AIが道を示してくれる。そんな時代になるのではないかと考えています。

石川 善樹
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよりよく生きるとは何か(Well-being)」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。

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